昨日、第181臨時国会がスタートしました。総理の所信表明演説の原稿を見て、「あ、これは年内解散はないな」と思わずつぶやいてしまいました。それは、いわゆる一票の格差問題にふれたこの一文を見たときです。
「最高裁判所から違憲状態との警告がなされている衆参両院における1票の格差の是正と、定数削減を含む選挙制度改革は、もはや一刻の猶予も許されません。必ず、この国会中に結論を見いだしてまいります。」
今国会中に必ず結論を出す。それを、結論を出さなければ解散はない。その期限は、今国会末の11月30日まで。
そう読むと、年内解散はスケジュール的に非常に厳しいのです。
仮に、自民党の石破幹事長の言うように、12月16日の都知事選とのダブル選挙になるとして、スケジュールを考えていきましょう。一票の格差を解消するために区割りを変更したあと、慣例では1か月ほどの周知期間をとります。すると、11月の中旬、15日前後には区割りまですべて確定していなければならないのです。
ちなみに、衆院選挙区画定審議会(区割り審)が新たな区割りを確定させるには、正規の手続きを踏むと3か月~半年かかるそうです。ということで、本来であれば現時点ですでにゲームオーバー。無理やり解散すれば、「違憲状態」覚悟での衆院選となります。先日、参院選での一票の格差も「違憲状態」の判決が出ました。ここまで司法を無視していいものか?という議論が当然出てきます。
百歩譲って、「今国会で改正公職選挙法を成立させて、努力の跡を見せてから解散。」となると、「解散から40日以内の投開票、公示から12日以内に投開票」というルールぎりぎりなのは、今国会会期末の11月30日。そこで、昨日の所信表明演説です。
「今国会中に必ず結論を出す。」
前回通常国会で、9か月かけて結論が出なかったものを、1か月で出せるのか?
開会前に藤村官房長官は記者会見で、
「臨時国会は2回まで延長できますから」
と述べていますので、そもそも官邸サイドは先送りする気満々のようです。
となれば、残された年内解散の道は、衆院での内閣不信任案の可決です。昨日、熊田篤嗣・水野智彦両衆議院議員が民主党離党届を提出しました。これが受理されれば、国民新党との与党統一会派はあと6議席で過半数割れとなります。いわば、過半数割れマジックが2つ減って「6」となったわけです。これを受けて、新聞紙上でも、私自身も、「野田政権は風前の灯」「不信任可決間近」と思うわけですが、冷静に考えるとそうでもないらしい。
これは、番組でジャーナリストの長谷川幸洋さんに言われてハタと思ったんですが、このままマジックが減っていってマジック「1」まで来ると、次に離党する人は自動的に解散の引き金を引くことになります。すると、空気がガラッと変わります。
今まで離党してきた人は、どちらかといえば選挙が厳しい、次の衆院選を民主党で戦ったら落選が見えているような人。
共通するメンタリティは、「できれば早期解散してほしくない!」。そして、万が一早期解散になった時のために、少しでも当選の可能性の高い第3極にすがるわけです。ところが、その第3極もちょっと怪しくなってきた。とてつもなく強い風が吹いていれば離党に踏み切ることもできますが、現状では、どの世論調査を見てみても、政党支持率2~3%。これでは飛び出すのは厳しいわけです。一時期鳩山さんのグループが、有力離党予備軍と言われていましたが、最近の情勢分析では鳩山さん自身が選挙区で相当厳しい。これでは身動きが取れません。
では、どんな人なら離党できるのかと言えば、それは「どんな逆風選挙でも勝てる人」。地盤がしっかりしていて、知名度もある人。ん~、そんな人は、そもそも離党しないですよね。
というわけで、皆さんいろいろなことを言いますが、結局は野田さんの目論見通り、解散は先送り。年明け解散が本命のようです。
1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。
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