2012年10月03日

鉄正月

 どうも、飯田です。
前回はなんだか政治の硬い話だったんで、今回はシュミ全開、鉄道の話です。

 

 先日、10月1日に、復原なった東京駅丸の内駅舎のグランドオープンがありました。100年前と同じ丸いドームの優美な姿に、鉄道ファンのみならずとも魅せられた一日でありました。


 さて、10月1日といえば、かつて鉄道ファンには特別な日でした。サンロクトオ(S36.10)、ヨンサントオ(S43.10)など、国鉄の全国一斉白紙ダイヤ改正は、10月1日をもって行うことが通例だったんです。全国を背骨のごとく貫く国鉄の幹線がダイヤ改正すればそれに接続する私鉄各線も合わせてダイヤを改正するわけで、この日は鉄道ファンにとっては、いわば「鉄正月」というような特別な日だったわけなんですね。

 

 どうして10月1日だったのかといえば、これはかつて国鉄がお役所だったからに他なりません。今年も環境税導入など、年度の下半期が始まる10月1日には大きな変更事があります。日本の鉄道をひっくり返すようなダイヤ改正ですから、実施するのは4月1日(年度初め)か、10月1日しかありません。しかしながら、4月1日は年度初めの人事異動期。忙しい時期にさらに忙しくなるダイヤ改正をするバカはいません。必然的に10月1日が「鉄正月」となるわけです。

 

 しかしながら、国鉄がJRに変わってから、10月1日=鉄正月という不文律が変わりました。役所のカレンダーではキリが良くても、私企業にとってはちっともキリがよくありません。秋の行楽シーズンの始まりにいきなりダイヤが変わっては、お客さんが混乱するのは目に見えています。その上、分社化してJRとなったので、全国一斉にダイヤ改正する必要性もなくなりました。では柔軟に、一年365日の中で一番キリがいいのはいつなのか...?

 

 いつだと思います?

 

 正解は...、3月の中旬。ダイヤを改正すれば、多かれ少なかれお客さんに影響が及びます。それゆえ、お客さんが少ない時期を選べばいいわけです。そこで、商売の世界での格言。2・8(ニッパチ)といって、2月と8月はお客さんが少なくなるといわれています。ま、8月は夏休みの行楽シーズンなのでやるわけにいきません。
じゃあ2月!となりがちなんですが、2月には鉄道に特別な需要が発生するんですね。2月に主に行われる、人生が決まるといっても過言ではない一大イベントといえば...。

 

 そう、受験。

 

 この1本の電車を逃したら、受験できずに人生が変わってしまう!そんな時期にダイヤ改正をできるほど、鉄道は非情ではありません。そこで、3月の中旬まで待ちましょうということになったのです。

 役所と民間、ダイヤ改正一つとっても考え方が随分違うんですねぇ。どちらが利用者に有益かは言うまでもありません。

書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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