上柳昌彦 ラジオの人

2021.08.13

36年目の夏

大雨と新型コロナと停電の情報が次々に入ってきた13日のお盆の入りの生放送でした。

前日12日は日航機墜落事故から36年目の日。あの日の夜は羽田空港で乗客名簿を書き写しているさなかに有楽町に呼び戻され午前1時から5時までの生放送を担当しています。

そのあたりの経緯については拙著「定年ラジオ」にも書きましが、周りにはあの日の体験を語り合える仕事仲間はまったくいないことに改めて気が付かされます。

当時の事を知っている日航の社員は3%しかいないという報道にも驚きましたが、27才だった私もとうの昔にニッポン放送を定年退職しています。

番組宛には群馬出身の方からあの頃は母親の腕の中で泣きじゃくる幼子であったけれど、群馬県民としていつかは御巣鷹の尾根を訪れなければと思っていたとメールが届きました。

その方は30年目に慰霊登山がかなったそうです。

私も初めて伺ったのは31年目の夏でした。駐車場から尾根の慰霊碑まで800メートルほどの登山道は、かなり整備されてはいるとは言えご高齢のご遺族の方々にとっては大変な道のりであると思いました。

12日の毎日新聞には「御巣鷹の尾根 迫る危機」と、2019年の台風で登山道が崩落した箇所があり復旧や登山道に通じる村道の維持や管理には上野村の負担がかなり大きいとありましました。

この惨事を後世に伝えるためにも国レベルでこの遺構を守るべきとインタビューに答える作家の柳田邦夫さんの意見に深くうなずく盆の入りであります。

どうぞ皆様もご安全に、この様々あるお盆の時期をお過ごしくださいませ。