番組宛に、出版してもう3年もたつ拙著「定年ラジオ」を読んだというメールが届きました。
アマゾン的なもので今でも入手できることに感謝しつつメールを拝読すると「最後に書いてあった『居場所』についての箇所で不覚にも涙が出た」と感想がありました。
それほど感動的な文章でもないのですが、定年になって局アナから半年ごとに契約更改があるフリーアナウンサーになった際、さて自分の居場所ってどこにあるのだろうと思っている頃に書き綴ったものでした。
思えば、小中と転校を繰り返したり授業について行けない高校時代、大学時代はさてどんな仕事が向いているのかと思いつつ授業には出ない日々。
そしてアナウンサーになったものの思い通りにはならずに試行錯誤を繰り返すうちにあっという間に定年の日を迎えたという己が人生を振り返れば、なんだかいつも居場所を探し求めていたような気がします。
盟友、松本秀夫さんにしてもスポーツアナウンサーと釣りをを極めこのままサラリーマン人生を全うすると思いきや、早期退職で独立しチェンジアップという会社を立ち上げました。
松本さんも松本さんなりに何らかの居場所を探していたのかもしれません。
かつて二人でナイターオフの夜の番組を担当した時は本当に楽しかったし、ここが二人にとっての居場所になればなと淡い期待を抱いた時もありました。
しかし私の早朝の番組が、また松本さんの夕方の帯番組がそれぞれ始まるに至り、これで二人でのレギュラー番組の可能性はほぼなくなったなと思ったものです。
そこで私たちは「松の上」というトークライブをちんまりと始めトークや女優の恩田愛さんを迎えて朗読や芝居にもトライし、これはもうもっともっと様々やってみようぜ!となりました。
そしてそこへ襲ったこのコロナ禍で、ライブもなかなか難しい状況になってしまった時に配信で朗読劇が出来ないかと松本さんが誘ってくれました。
聞けば野球の「代打」をテーマにした脚本をすでに書き出していて、ではと読ませてもらうとこれが面白いと二人で盛り上がっていました。
そこへ連休中はデイゲームが多いのでナイターの無い日にその枠で放送しましょうとプロデューサーM氏から声をかけてもらったことが、今回の朗読劇「代打 存在証明」の放送につながりました。
久しぶりの役者としてのラジオドラマの収録やダビングという完成作業、そして作品を松本さんと聴きながの生放送という一連の流れは本当に楽しくも奥深いものでありました。
そして結局「居場所」というものは自分で作り出すものであることと、友人というものはありがたいのだと実感したのでありました。

今回のご褒美にプロデューサーのM氏からこのように過分なギャラまで頂いてしまいましたが、このことはどうか私の所属するミックスゾーンにはご内密にお願いいたします!
5月15日(土)の夕方までラジコで聴けますのでどうぞドラマ前の17時54分くらいからお聴きください。
松本さんがゴルフのマスターズで優勝したら私は泣けるのかというシュールな話から始まっています。

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