上柳昌彦 ラジオの人

2021.01.22

稽古の現場から

先週に続いて1月4日から始まった明治座公演、第一部のお芝居「こちとら大奥様だぜぃ!」の稽古の話です。

初日は着席して台本を皆さんで読んでいく「本読み」から始まり、そしてその後はすぐに立ち稽古となりました。

通常より少ない稽古日数なので公演初日まで休みなく13時から19時まで稽古は続きます。

(森下の明治座稽古場。仮のセットが組まれています)

普通は弁当や差し入れのお菓子をつまみながらとなるそうですが、コロナ禍なので稽古場内では水以外の飲食は基本的に禁止となっています。

なので稽古場外のスペースに設置されたアクリルボードに囲まれたテーブルで食べたい人は順番にササっと食べています。

稽古前半の時期は場面場面を何回も演じてセリフや立ち位置を、演出・脚本の宅間孝行さんがディレクターチェアーにドカッと座って細かくチェックしていきます。これはもう気が遠くなるほどの時間がかかる作業でなのです。

まるで完成図がわからないジグソーパズルの何百もある小さなピースが一つ一つはめ込まれていくのを見る思いです。

稽古に来られない人には代わりに演じる人が立てられますが、代役の方々が偉いのは台本がすべて頭に入っていることです。

演出の宅間さんは役者として舞台に立ちますし、しかもセリフの量も多いのです。

ですから宅間さんの代役の人は稽古場では大変なのですが、本番の舞台には立たないわけです。こういった人にも支えられていることを知りました。

そして公演まであと1週間と言ったところで、いよいよ宅間さんも舞台に立っての稽古となりますが、やはり雰囲気がパッとかわり、ポンポンポーンとテンポのよい江戸っ子言葉が宅間さんから発せられて、私は思わず心の中で「そうそう!これだよねぇこれっ!そうこなくっちゃぁ!」と拍手喝采ですよ。

演出家として厳しくも大変に優才能のある方ですが、役者としては立ち姿に花があって口跡もいいよなぁとホントに感心してしまいます。

さて残念なお知らせです。お芝居の冒頭で軽快な音楽に乗って物語の登場人物が次々と現れるというカッコいいシーンのナレーションを担当していたのですが、これが時間の関係で全部カットになってしまいましたぁ。

コロナ禍のおかげで夜の部は20時までに幕を下ろさなくてはならないので、泣く泣くカットです。

フルボリュームで延々シャウトしてなんとか収録したのになぁ…コロナの野郎め!と思ってしまいますよ、まったく!

前川清さんの独特のセリフ回しと間合い、田中美佐子さんの振り切れていてそして可愛いコメディエンヌぶり、原田龍二さんは着物姿がピシッと決まり自虐ネタもなんのその、磯山さやかさんはチャーミングでなおかつ達者なのはさすが「志村魂」仕込み、落語の「らくだの馬」はそうやって話すのかと始めて教えて下さったやまもとまさみさん、そしてボソッとしたつぶやきすら笑いを確実に取るさすがさすがの東貴博さん、ダブルキャストのハマカーン浜谷健司さんは…すいません!まだ観ていません!コロナ明けで遅れて登場の松村邦洋さんは果敢にダンスのシーンにチャレンジしています。

という事でいよいよ1月29日(金)から幕が上がります!
どうぞ体調万全にしていただいて足をお運びくださいませ!