今回の台風19号は、当初風速90mの猛烈な風が15号の時のように電信柱をなぎ倒すのではという心配をよそに、大雨が川の氾濫を次々に誘発しました。
しかも被害は関東各県から長野県、福島県、宮城県など広範囲に及びました。
自然は時に私たち人間の予想をあざ笑うかのように思いもよらぬ災害をもたらします。
長野県の千曲川の歴史は水害との戦いの歴史と言っても過言ではなく、河川の改修や治水工事が繰り返し行われきたにもかかわらず、今回は堤防が70mにわたり決壊して甚大な被害が起こってしまいました。
一方で多摩川は、普段は河川敷の野球場やサッカー場、ゴルフ場が広い範囲で水没しました。
また多摩川の増水で、支流の平瀬川が本流に流れ込めず堤防を乗り越えました。
多摩川の歴史もこれまた水害との歴史で、氾濫のたびに川の流れはうねるように変わってしまい野毛、等々力、丸子、沼部というかつて一つだった集落が分断されたため東京都にも神奈川県にも同じ地名が今でも存在しています。
関東大震災を挟んで大規模な堤防の改修工事が行われ、氾濫はなくなったと思っていた1974年に、狛江水害が発生し19戸の民家が流失し、山田太一さんの原作脚本の「岸辺のアルバム」というドラマにもなったのはあまりにも有名です。
私は当時世田谷区の多摩川近くに住む高校生でしたが、台風の通過した次の日に犬の散歩で河川敷まで行き、あまりの濁流の激しさに息をのんだものでした。
今回は多摩川と南武線の間の道路に、おそらくは処理能力を超えた下水があふれ出し床上浸水した戸建てやマンションやコンビニもあったようです。
大きな災害に隠れて報道もされませんが、想像以上に広範囲に様々な被害をもたらした台風になりました。
地球環境の変化で台風は大型化し日本の近海で発生して、勢力を保ったまま直撃をすることが、残念ながら今後も多くなりそうです。
そしていかに治水工事を行っても、川はかつて氾濫していた時の流れを記憶していてもとに戻ろうとする習性があることを肝に銘じておかなければなりません。
とにもかくにも今回の19号台風で被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。
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