台風10号が西日本に近づきつつあった先週、私は渋谷のNHK-FMの第5スタジオで9時間の生放送を担当していました。
ニッポン放送のイマジンスタジオの2倍はあろうかというスタジオは天井もとんでもなく高く、フルオーケストラの収録もできる巨大なスタジオでした。
このスタジオで「今日は一日YMO三昧」を音楽プロデューサの藤井丈司さんに解説をお願いしながらYMOにゆかりの深い方々にご登場いただきました。
松武秀樹さんは日本のシンセサイザーアーティストの祖である富田勲さんのアシスタントを務めた後に独立し、当時600万円から700万円はしたというシンセサイザー「モーグⅢC」を購入した方。
そしてYMOの第四のメンバーとしてレコーディングやライブに
おいてYMOと言えばという音を作り出していきます。
なんと当日松武さんはスタジオに「モーグⅢC」を運び込んでいただき、様々な電子音を聴かせてもらいました。

70年代のトランジスターを使用した「タンス」という愛称もある機械です。ホコリなどで接触不良を起こすこともありますが、まったく問題なく作動するそうです。
今ならパソコンで簡単にできることも、当時はなかなか操作に時間がかかりましたが、一からすべてを作り出すことをいとわなかったYMOメンバーとスタッフの皆さんに頭が下がる思いです。
そして今「打ち込み」と言われる様々な音楽のルーツの多くはYMOにあることと、当時電子的に作られた音だと思っていたベースや鍵盤楽器やドラムの意外と多くの音が、細野晴臣さん、坂本龍一さん、高橋幸宏さんの演奏であったことも知りました。
超絶の演奏技術を持った3人がコンピューターを使った音楽に、なんの抵抗もなく真っ先に取り組んだことに驚きます。

私ですら当時「コンピューターで人工的に作った音ってどうなんだろう……やっぱり生演奏じゃないのかねぇ」と思っていたくらいですから、プロのミュージシャンの方々にも様々な反応があった中での取り組みだったのです。
YMOはまさに今の音楽の礎を作った先駆者であり、それに甘んじることなくいつもよい意味で聴き手を裏切り続けた方々であることを痛感した9時間でありました

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