上柳昌彦 ラジオの人

2018.11.16

今朝のメールから

16日金曜日の4時台の「あさぼらけ」でこのようなメールを紹介しました。

14日の夕方に札幌から頂いた「るう」さんというラジオネームの56才の男性でした。

おそらくSTVラジオで30分間だけ聴いている方でしょう。

「るう」さんは単身赴任で東京に住んでいた10年前、当時私が朝に担当していた「お早うGood Day」を毎朝聴いていたとありました。

ところが「るう」さんを鼓膜がガン細胞に侵されるという病魔が襲い、両耳の聴力を完全に失ってしまいます。

音のない生活は不便というよりもはや恐怖でしかなく、3年ほどは一人で外出もできない状態が続きました。

頭の中では常にハウリングのような耳鳴りがしていて、放送では表現を変えましたが文面通り紹介すると「気が狂いそうになった」とありました。

人生の途中で聴力を失うという、私の想像をはるかに超える経験を「るう」さんはしたのでした。

しかし10年の間、様々な治療とリハビリを重ねたことでしょう。先日からようやく右耳が聴こえるようになったのです。

「るう」さんは久しぶりにラジオのスイッチを入れました。

早朝のSTVラジオから流れてきたのは、10年ぶりの私の声でした。

「るう」さんは放送を聴きながら頬を伝う涙を止めることが出来なかったとメールにはありました。

メールを読み終え「るう」さんからのリクエストを紹介しました。

イントロに乗せて私は『「るう」さんお帰りなさい……』と言うのがやっとでした。

「るう」さんからのリクエストは、10年前の秋にラジオからよく流れていたアンジェラ・アキさんの「手紙~拝啓 十五の君へ~」でした。

このような物語を紡ぎながら、今朝も有楽町のスタジオのマイクに向かっている私なのです。