テリー伊藤さんと「テリーとうえちゃんのってけラジオ」という午後のワイド番組を担当していた時「テリーさんの番組なら!」という事で、本当に綺羅星のごとく超有名人の方々が連日ゲストにお越しいただきました。
長嶋茂雄さん、王貞治さん、野村克也さんなど野球界のレジェンドの皆さんにお会いできたのも「のってけラジオ」のおかげだと今でも感謝しています。
星野仙一さんも忘れられないお一人でした。
2001年のナイターオフ。ゲストにお願いしていた星野さんに「阪神監督就任か!?」という報道が湧き上がり星野さんがどのような発言をするか世間の注目が集まりました。
このようなデリケートな時期に果たして星野さんはあのテリーさんのインタビューに答えてくださるのか?それとも出演を見合わせるのかスタッフともどもハラハラした展開になりました。
しかし星野さんは「一度交わした約束を破ることはしない」ということで多くの報道陣とともにスタジオにお越しくださいました。
一方でテリーさんは「阪神監督の要請を受ける」という一言を引き出すために、スタジオになんと阪神のユニフォームとキャップを用意して待ち受けます。
お話を伺う限り星野さんは阪神の監督を受けるのだなぁという雰囲気でしたが、テリーさんが「じゃぁ星野さん!阪神のユニフォームにちょっと袖を通しちゃって下さいよぉ!」と言うのですが星野さんは「いや、いかにテリーさんのお願いでも今はまだやめておきましょう!」という爆笑のやり取りが何回も続きました。
私たちの無理なお願いを大人の対応で星野さんはちゃんと笑いに変えて下さったのです。
星野さんは中日の監督時代に試合中に血圧が上がり何回か現場を離れて監督室で気づかれないように休んでいたことがあったそうです。そのことから星野さんの二人の娘さんは激務である阪神監督を引き受けることを非常に心配しているという記事が当時載ってたのです。
また最愛の奥様は1997年に51才の若さで他界されています。
そのようなことがふと私の頭をよぎり思わず「天国の奥様はどのように思っていらっしゃるでしょう」と伺ってしまったのです。
その瞬間星野さんは拳をグッと握りしめ一瞬言葉を飲み込みました。そして拳が細かく震えだしたのです。私は「しまった。そのような質問をすべきではなかったか」と思いましたが、もう星野さんの答えを待つしかありません。
しばらくの沈黙の後「背中を押してくれていると思います」と絞り出すような声でお答えいただきました。
星野さんの目は真っ赤でした。おそらくは泣き声になってはいけないという沈黙だったのだと思います。
初めてお会いしたようなアナウンサーの不用意な質問にも真摯にお答えくださったことに申し訳なさと感謝の気持ちが入り交じり、こちらが涙声にならないようにするのが大変だったことを思い出します。
テリーさんが「あなたとハッピー」で話していましたが、結局星野さんは阪神のユニフォームを体に当ててカメラマンの方を向くという大サービスもして下さいました。
翌日のスポーツ紙、特にデイリースポーツ一面はテリーさんと星野さんのツーショットが大きく掲載されましたが、後日「のってけラジオ」の大ファンというデイリースポーツのカメラマンの方から「本当は上柳さんも入ったスリーショットを載せたかったのですが、デスクの判断でカットすることになりました。すいませんでした!」
という丁寧なお詫びのメールを頂きました。
なんだかわからない局アナを一面に載せる方がおかしいでしょと思いましたが、確かに私の立っていたところには「星野氏阪神監督就任へ!!」的な大きな活字がドーンと載っていましたねぇ。
短い時間しかお会いしていないにもかかわらず、様々なことを改めて思い出しました。
星野仙一さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
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