上柳昌彦 ラジオの人

2015.11.19

パリの劇場

パリで同時多発テロが発生し、そのことを「今夜もオトパラ!」でどのように取り上げるか様々考えた月曜日の放送でした。

そして火曜日、仕事仲間の知り合いの30代日本人女性がパリ在住で、連絡を取ったところ事件当日に襲撃のあったバタクラン劇場でコンサートをご主人と観ていたことがわかりました。

精神的に辛い状況ではあったと思いますが17日火曜日の放送、18時冒頭から16分間、劇場での経験を語っていただきました。

●劇場内は椅子がなく、オールスタンディングでイス席は2階にあるだけであったこと。
●女性は一階フロアーの下手側の壁際に立っていたこと。
●演奏の最中に光がパッパツと見えたが、バンドメンバーが一人ステージに上がっていなかったのでサプライズで登場したのかと思ったこと。
●ご主人はそれが銃の発砲とすぐに気が付いて女性の体に覆いかぶさるように二人で床に倒れ込んだこと。
●場内の照明が明るくなったが、自分の下にも人がいたことと、目の前にまとわりつく自分の髪の毛しか見えなかったこと。
●銃声と悲鳴、「動くな」という声が聞こえたが犯人の顔は見ていないこと。30分ぐらい身を伏せていたと思ったら、後で考えると10分ほどの時間だったこと。(一部報道によると犯人は2階席から一階客席に銃を乱射したもよう)
●銃声が鳴りやんだので壁にある非常口から脱出を試みたが、体が動かず(恐怖からか)ご主人とはぐれてしまい床に身を伏せていたこと。かなりの人が非常口から脱出したようで周りにはだれもいなくなったこと。
●舞台とは反対側の正面入り口から脱出する人がいたのでそこから外に出られたこと。
●外には警官が数名到着していたが、手を出せない状況だったこと。
●はからずも先に外に出てしまったご主人と無事に会えたこと。

以上のことを大変にわかりやすく語ってくださいましたが、知り合いの方々の安否を伺ったところ言葉に詰まらせてしまいました。
恐らくは体験をされたことを、まだ冷静に語れるという精神状態ではなかったのだと思います。
申し訳ない気持ちと、気持ちを奮い立たせてインタビューに答えていただいた感謝の気持ちで一杯になりました。

ラジオに聴き入ってしまったという感想も番組にいただきましたが、
興味本位なことをするべきではないという意見もありました。
インタビューすることとしないこと、どちらが正しいのでしょうか。

ただ私の役目は、あらゆる立場の方々の話を伺う事と考えています。

今は、お話しいただいた方の気持ちが一日でも早く穏やかなものになることを心から願うことと、銃の乱射の被害を受けた方々は、ヨーロッパでも中東でもアフリカでもアジアでも、大変に辛い精神状態にいることに思いを馳せることだと思っています。