フォルクスワーゲンの排ガス不正問題。あのドイツの名門企業がなぜそんなことをと思います。アメリカでのクリーンディーゼル車の売り上げを伸ばすため、試験時と通常走行時を検知する違法ソフトを取り付けた訳です。
試験時は排ガス浄化機能を作動させ試験に合格させ、外を走るときには排ガス浄化をせず最大40倍の窒素酸化物をまき散らしながら走らせ、そのかわり燃費が良くなるという仕組み。
この違法なソフトが天から降ってくるものでもなく、社内の誰かが自主的にか命令されてか脅されてか作成し、誰かが承認したことになります。
かかわった人は数人ではないはずです。いったいどのような気持ちで作業をしたのでしょう。これは詐欺であるとか、こんなことやってもいつかはバレるでしょ、というような議論はなかったのでしょうか。
昨年亡くなられた自動車評論家の徳大寺有恒さんが「間違いだらけのクルマ選び」を初めて出版したのは1976年でした。当時浪人生だった私は、いつか車を購入することになったら何にするかと熟読したものです。この本で一番評価が高かったのはフォルクスワーゲンゴルフです。これこそこれからの時代に必要な車であるとありました。
国産車のレベルがグングン上がっている時代ですし、そもそも今ほど外車が走っている時代でもありません。たまにゴルフを街で見かけると憧れの目で眺めたものです。今回の不正を徳大寺さんが知ったらどのように論評したことでしょう。
そして今年は10月29日から東京ビッグサイトで「東京モーターショー」が開催されます。もちろんフォルクスワーゲンの出展があります。この事件がなければクリーンディーゼルの優位性を前面に押し出した展示をして幹部が大プレゼンテーションを行ったはずです。
こうなってしまったからには「わが社はいかに間違ってしまったか」を包み隠さず伝える姿勢を見せるしかないのでしょうが、あと1か月しか時間がないのはなかなか厳しい状況です。

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