上柳昌彦 ラジオの人

2015.09.02

「人間として耐えられず」

オリンピックエンブレム問題、東京五輪エンブレム問題、佐野研太郎氏は「人間として耐えられず」ということで作品を取り下げることになりました。

盗作は否定されていますが、他人の作品等をネットで見つけてコピペして加工してという事が事実ならば、こりゃスタップ細胞の時と同じですねぇ。あの時、似たような論文が他にないかを調べるソフトがあるなんてことを知りました。この論文のこの部分はあの論文からの引用で文章は80%がそのままです、なんてことを瞬時に判断できたと記憶しています。

論文ですらこうなのですから、似通ったデザインを検索するソフトだってそりゃありますよねぇ。

近々新しいエンブレムも発表されるでしょうが、もうほとんどこじつけの世
界に近い感じであれに似ているこれに似ているとなってしまうのでしょうか……ちょっとヤレヤレな感じです。

一方で、この問題を伝える私たちメディアの人間もエラそうなことを言えないのです。テレビでは「雑学」を競いあい、「海外で暮らす日本人」を探しだし、「路線バス」に乗って、「ぶらりと街歩き」がそこここにあっていったいどれが本家本元なんだかもうわかりませんもの。柳の下にドジョウが何匹もいるということです。

ネットから持ってきちゃったという話ならウィキペディアなんぞチラチラ見ながら得々と解説してしまう私なんぞも完全にアウトです。なるべくウィキ情報なんですけどねと言うようにしていますけれど。(あんた、ウィキばっかりじゃんと揶揄されますけどね)

エンブレム関連の記事を読んでいると、出てくる大会組織委員会の正式名称や活動の中身って何?事務総長の武藤敏郎さんてどんな経歴の人だっけと思う訳ですが、さてネットのなかった時代こういったことってどうやって調べてましたっけ?

ちなみに大会組織委員会は「公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」で、「公益財団法人日本オリンピック委員会」(JOC)と東京都によって設立しています。会長は森喜朗元首相で専務理事が事務総長の武藤敏郎さん。

武藤さんは東大法学部から大蔵省に入り後に大蔵省接待汚職事件(あのノーパンしゃぶしゃぶ事件ですね)の監督責任を問われて一時更迭されたものの、中央省庁再編で大蔵省が財務省になった時に初代財務省事務次官になった人。

その後日銀副総裁に就任し、福井総裁の後に総裁候補に挙げられたものの民主党など野党の国会同意人事の不同意、つまり反対ですったもんだの上で白川総裁に決まったなんてことがあったなぁなんてことが、、これまたウィキを見ながら瞬時に分かった次第です。

新聞をひっくり返して調べると言う時代にもう一度戻れと言われたらもう人間として耐えられない……かな。