東京で再びオリンピックをとなった時、個人的にはもういいんじゃないかぁと思っていました。しかし子供たちには見せてあげたいなぁとも思っていました。
1964の年東京オリンピック閉会式。当時小学1年生の私にとって各国の選手が入乱れて入場し、皆が大はしゃぎをして日本人旗手が外国人選手たちに肩車をされるシーンなど忘れられないです。
悲しい時だけでなく感動しても鼻の奥がツーンとなって涙が出そうになることを少年が初めて知った瞬間でした。
そんなとは絵空事だよと言われても、その後の私の世界観に多大なる影響を与えたことは間違いありません。
当時と違いネットで簡単に世界と繋がってしまうとわかっていても、東京でオリンピックを開催することで、今の子供たちに様々な経験をして欲しい訳です。
しかしそれには条件があると、番組やブログで何回も訴えたのですが、さすが何の発信力のない私であります。東京オリンピックはなんだか妙な方向に向かおうとしています。
どのような条件かというと、オリンピックを金儲けや国威高揚の手段にするなよという事です。
「なんだか地味で質素だけど、東京のオリンピックの開会式の主役は選手と応援する子供たちだったよねぇ。」とか「東京からなんか雰囲気が変わったよね、オリンピックって」となりませんかねぇ。
ド派手で競技場周辺に花火がボンボン上がって、だけど選手たちは会場の外で3時間も待っていたなどという開会式も閉会式ももうやめにしましょうよ。
主役は選手、競技、応援する子供たち。オリンピックを金儲けと国威高揚の手段から競技者のものに取り戻すきっかけの大会にしましょうよ、東京は。
昨年の秋に初台の東京オペラシティーに新国立競技場のデザインが選ばれたザハ・ハディド氏の展覧会を見に行きました。曲線を駆使した複雑なデザインの作品がたくさん展示されていました。
実際に建設された作品の多くは広大な平原や山腹の中に突如!という感じで建っていました。土地に余裕があれば建物のインパクトの強さとも共存できるのかもしれません。街中の建造物はさすがに巨大なものはなく、その唐突感は日常の中に非日常が出現してしまいましたという面白さを感じました。
展示された作品を見る限り、彼女の作品は周囲の景観に良くも悪くも折り合いをつけず強烈な存在感を主張するというものでした。
さてそのザハ・ハディト氏のデザインが神宮の杜に降臨です。これまた放送で何回も旧国立競技場を改装して雰囲気を残すべしと申し上げましたが今となっては後の祭りです。
構造的にも本当に莫大な予算がかかるあの大きな亀のような宇宙船のようなヘルメットのような建造物を後世に残すのでありましょうか。
日本は神社仏閣に関してはかなり大事に残すものの、それ以外の建造物は簡単に解体しがちです。有楽町で言えば三信ビルなんて本当に雰囲気のあるビルでしたもの。
民間のビルなら収益などのことも考えしかたがないこともありますが、50年前に建てられた国立競技場は国立であることを考えればその存在をもっと大切にすべきではなかったと思います。国会議事堂を50年ごとに建て替えるなんて変ですもの。
オリンピックの主役は奇抜なデザインの競技場ではなく、競技者とそこで様々な発見をするであろう子どもたちであるべきと思うのですよ。
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