上柳昌彦 ラジオの人

2015.07.05

スカイツリー!

梅雨らしい天候が続きます。雨用のスニーカーを連日履くことになっていますが、これも作物にとっては天の恵みと考えて適度な雨ならばしばらくは我慢しましょう。

そんな梅雨の合間に「東京スカイツリー」に登ってきました。と言っても地上350mの第1展望台や450mの第2展望台ではありません。さらにその上の540mまで梯子のように直立した階段で登ったのです。

ニッポン放送、文化放送、TBSラジオの3局が今年の秋から冬にかけてFMでも聴けるようになりますよとさかんにお知らせしていますが、その各局のFMの電波を東京スカイツリーに設置した放送用送信アンテナから送り出すことになるのです。ちなみにニッポン放送は93メガヘルツです。

そのアンテナ設置工事が今まさに行われていて、弊社の放送技術部のYさんが工事の進捗状況を見に行くと言うので同行させてもらったという訳です。

保安上の理由もあって細かい場所や写真などは掲載できないのですが、AMラジオ局がこんなことに取り組んでいることを少しでも知ってもらいたいあぁと思いまして。

業務用のエレベーターで第一展望台まで上がり、将来的に各社の機器室になる大きな部屋に入りまず準備をします。スマホやメガネなどが落ちないようにストラップやゴムバンドを装着します。ですからメモ帳やペンは部屋に置いて行きました。現場で下に落としたら大事故ですから。そしてヘルメットに黄色いビブス?的なものに安全ベルトを着けました。

そこから再び業務用のエレベータに乗って第2展望台の屋根の部分に出て厳重な鉄の扉を開けるとそこは地上450mの吹きっさらしの世界です。そこから例の階段で数十m登ると何人かの方が作業をしているやや広い場所に出ます。足元は鉄の格子で下は丸見え状態ですが部品が落ちないようにその上をネットが覆っています。

ここから上にゲイン塔と呼ばれるTV各局などのアンテナがすでに設置されているエリアになりますが、その空いた部分に足場を組んで3局のF用の共同アンテナを新たに取り付けるのです。これ地上約500mでの作業となります!

しかも開業前ならクレーンで釣り上げることが可能な建設資材ですが、今回はすべて分解してそんなに広くはない業務用のエレベーターで第2展望台まで上げ、そこからは電動ウインチや滑車を使って人力で釣り上げるのです。大きな資材は終業後にお客さんを乗せるエレベーターも使って上げるそうです。いずれにせよ最後は人力です。

足場用のパイプからボルトやナット、そしてアンテナの膨大な量の機材までを落下事故を防ぎながら運んでそして設置するのですから、私立文系の私などの想像をはるかに超えた気の遠くなるような作業です。そしてこれが梅雨から猛暑そして寒風と様々な気候の中延々と続けられるわけです。

現場からさらに高尾山より少し低い地点まで上がりました。ヘリコプターが飛行する高さで。曇り空だったので視界は開けていませんでしたが下を見下ろすとこのような状況です。もちろん手前には手すりはありますが、なかなかの景色です。

作業場にはトイレはありませんから、作業に携わる方々は朝地上で用を済ませると昼休までがまん。途中の展望台のトイレは使用を禁じられています。頻尿気味な私などそれだけでも悩ましい。夏は水分補給も大切なのでさらに悩ましい……

最新の土木技術を駆使して完成した東京スカイツリーからは地上波デジタルや一部FM局の電波などがすでに送出されています。そこから新たにFM波を出すには総務省との長時間にわたる交渉があったことでしょう。またどんなに自動化が進んでもアンテナ設置の最後は極めてアナログな手作業であることも痛切に感じました。

さらにその電波を使ってお送りする番組は、これまた実にしみじみと人の力の結集なのであります。立派な施設をお借りしてお届けするのですから、私としてはさらに「話術」てぇものを磨いて少しでも多くの方が「聴きたくなるよなぁ。」てな内容にいたしやす……ってアナログだからと言って落語口調にすればいいというものではないのですが。

ちなみにスタジオの中にいかにアナログ感が漂っているかを「金曜ブラボー。」における私の敬愛する番組パートナー望月理恵さんの、放送中の机の上をご覧いただき感じていただければ幸いです。

追伸
モッチ―、ごめんなさい!