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2024.12.20

#7【広津崇亮さん】いち早く「線虫」に注目。“科学者”としての目線で「N-NOSE®」を広めたい

『スルミ presents トップジャム』は、さまざまな業界で活躍するビジネスのトップリーダーをお迎えして、成功に至るまでの歩みやほかでは聞けない素顔に迫る番組です。

今回のゲストは、株式会社HIROTSUバイオサイエンス代表取締役社長、広津崇亮(ひろつ・たかあき)さんです。がんの線虫検査サービス「N-NOSE®(エヌノーズ)」の販売を行っているのが、このHIROTSUバイオサイエンス。最近タクシーの車内CMなどでよく見かけるようになった、と話す福田さんと石塚さん。

さて、本日はどんなお話が聞けるでしょうか。

福田いろいろとお話を伺っていければと思います。まずは広津さんのプロフィールをご紹介しましょう。
広津崇亮さんは山口県出身。東京大学理学部生物学科卒業後、東大の大学院に進み、サントリーに入社。退社後は、東京大学大学院博士課程在学中に書いていた線虫の嗅覚に関する論文がイギリスの科学誌『Nature』に掲載されました。2013年頃から。線虫のがんのにおいの嗅ぎ分けに関する研究をスタート。2016年に株式会社HIROTSUバイオサイエンスを設立し、線虫がん検査サービスN-NOSE®が大きな話題となりました。

去年のダボス会議には日本のスタートアップとして唯一招かれたということで、本当に世界でも話題になっているこのビジネスですけれども、これだけインパクトを与えるって思ってらっしゃいましたか。

広津いちばん最初、まだ大学の先生だったときにこの技術を発明したんですけども、そのときはマスコミにものすごい取り上げられました。「よくわからないけど精度が上がりました」とかじゃなくて、線虫が寄っていく・逃げるみたいな動いてるのがやっぱりわかりやすいんですよね。

福田私そのニュース覚えてます。こんなことが世の中で研究されていたんだ、っていうのがすごくびっくりして。

石塚一度、サントリーに入社されていますよね。サントリーでも医療系の研究ってされてると思うんですが、それをやめて独立をして研究しようとした経緯は何だったんですか?

広津サントリーのときはお茶の商品開発をしていました。私は基礎研究やりたいです、って言って受かったはずなのに、毎日お茶を混ぜてるわけですけね。これ永遠混ぜるのかな、とふと気づいて1年で辞めて、博士課程に行ったんです。

元々は線虫の嗅覚の研究していたんです。モデル生物といって生物学でよく使われている生きものって限られているんですね、マウスとかハエとか。線虫は実はその一種で、ノーベル賞を取った人も8人います。だから生物学では線虫って有名な生きものでした。私が大学院生になった頃はまだマウスの研究とかできない頃で。酵母の研究室にいたんですけど、動かなくて面白くないなと思ったら、アメリカから帰ってきた先生に「線虫が流行ってるぞ」って聞いて、1人で線虫を飼い始めたのがスタートです。

福田線虫を飼うのは低コスト、みたいな噂も聞いたんですが。

広津ほっといたら勝手に増えますから、オスメスじゃないんです。雌雄同体(しゆうどうたい)といって、1匹で受精卵を産めるので。新しいシャーレにポンと移しておくと、勝手に卵を大体100個ぐらいバーっと産んでくれて。卵から大人になるまで4日間なので、4日後に100倍、4日後に100倍。それが低コストに繋がってるんですね。

石塚素人にもわかりやすく教えていただきたいんですけど、線虫は何でがんに寄ってくるんですか?

広津何で寄るのかは、実はよくわからないといえばわからないんですけど、線虫が寄る理由はエサなんです、基本的に。だから多分、エサの匂いと勘違いしているんですね。

石塚がん細胞がエサだと?

広津がん細胞の放つ「におい」がエサだと勘違いして寄るんです、多分。

石塚ちなみに今、検査で何個のがんが見つけられるんですか?

広津今は、1回、尿を提出していただいたら全身24種類。最近は小児がんとか血液がんも入ってきました。

福田普通はがん検査って10万円とか高いお値段がかかりますよね。

広津でもN-NOSE®なら1万6800円からです。
これは「一次スクリーニング」という新しいコンセプトです。まず全身網羅的に尿だけでわかる検査があり、可能性があるとなってから面倒な検査を受けた方が効率的ですよね。
やっぱり安いとか精度高いとか大事なので、そういうのを作りたかった。

福田だからこそ、ビジネスとしても企業と組むのではなく、ご自身でやりたかったっていうことなんですね。

広津そうですね、大学の先生だったということもあったのと、最初は企業と組もうと思ってたんですけど考え直しました。
なぜかというと、科学者としては安い検査として世の中に広げたいわけです。でもビジネス上は、高い検査が売りやすいし儲けやすい。だったら(安い検査としてやるなら)、自分がやろうと思って大学を辞めて、ベンチャーを作ったんです。

石塚実は会社を一度立ち上げられて一回閉じているんですね。1回目はなぜ失敗したんでしょうか。

広津そのときは九州大学の教員でしたが、「大学の先生は社長になっちゃいけない」「お金勘定ができるわけない」って散々言われたので、外部から社長を連れてきたんです。そしたら全然うまくいかなかった。
その理由はいろいろあると思うんですけど、やっぱり科学者が先頭に立った方が信用が増すんですよね。

福田ちゃんと説明できる人が必要だということですよね。

広津だから私、全部1人で説明できます、技術のこともビジネスのこともお金のことも。普通はそれを3人ぐらいやらないといけないので、時間がかかっちゃいますよね。でも、(1回目の会社では)1年かかって何も起こらなかった。
それで東京に次の会社を作ったとき、創業メンバーに、「あなた社長をやりなさい」って急に言われて。やってみたらうまくいったというか。

福田それで2016年8月の創業からわずか5年で評価額1000億円を突破。これは想像されてましたか。

広津目指してたのはありますよね。別に企業価値を高めたかったってわけじゃないんですけど、世界に通用したければ日本のベンチャーみたいな小さな企業価値だと相手にもしてくれないので、早く企業価値を上げて注目されないと、という思いはありました。

石塚バイオテクノロジーって、会社が有象無象にある中で、うちは本物です、と戦っていくのって大変だったと思うんですけど、そこの戦略はどうされてたんですか?

広津科学の世界での戦い方と一般の戦い方があると思います。科学の世界での戦い方でいうと『Nature』とか『Science』で論文書いてたので、そこは大丈夫でした。
ただ一般になると、訳のわからない絡まれ方もありましたね。科学者って、表に出ちゃだめとかマスコミに出ちゃだめってみんな言うんですよ。私も忠告を受けていたんですが。知っていただかない限りは広がらないので、変な叩かれ方をしても仕方ないと思って覚悟を持ってやってました。

福田科学の世界で根拠があってもやっぱり叩かれるんですね。
これだけのサービスを世界に広めていくとき、日本から世界に出ていくときっていうのは、何か壁があったりしましたか。

広津どっちかといえば、世界の方が早いですし、日本が一番難しいですね。
日本はまず値段が高くてできない、保険がききすぎてるから。それで新しいものが嫌い。なので、世界の方が全然話がしやすいです。

福田最後に、今後の展望やこれからビジネスを始められる方へメッセージなどいただけたらうれしいです。

広津日本人はやっぱりまだベンチャー作ったりって少ないと思うんですけど、でも逆に言うと、日本って失敗してもいきなり死んでしまうような国でもないじゃないですか。
やっぱり社会がよくできていて、のたれ死にするわけでもないので、実は冒険してもいい国だと思うんですよ。だから若い人たちにはぜひ冒険してほしいと思っています。

 

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    福田典子

    福田典子

    1991年生まれ。株式会社SCOグループ広報・COC兼アナウンサー。
    2013年立教大学経営学部を卒業後、RKB毎日放送入社。情報番組やスポーツ番組を担当し、福岡ソフトバンクホークス番リポーターとして活躍。2016年テレビ東京に中途入社。「モヤモヤさまぁ〜ず2」の3代目アシスタントに抜擢。そのほか主な担当番組は「よじごじDays」「追跡LIVE!SPORTSウォッチャー」等。野球、ゴルフ、卓球、フィギュアスケート、柔道、競輪、ソフトボールなどスポーツ中継の経験を生かし、リオ、平昌、東京と3大会のオリンピック報道にも携わった。2024年3月末日にテレビ東京を退職し、フリーアナウンサーとしても活動する。一児の母。

パートナー
  • 株式会社スルミ 代表取締役CEO 石塚つばさ
    株式会社スルミ 代表取締役CEO 石塚つばさ
    株式会社スルミ 代表取締役CEO 石塚つばさ

    株式会社スルミ 代表取締役CEO 石塚つばさ

    日本大学大学院法学研究科知的財産専攻博士前期課程修了。
    経営者の祖父の影響を受け大学在学中である2020年に株式会社スルミを創業。
    女性活躍支援、DX人材の育成および生成AIのプロダクト開発やコンサルティングを行っている。
    大学在学中に芸能活動を経て、ミスワールド・ミスユニバースなど
    世界的ミスコンのファイナリストとしてSDGsをテーマに世界に向けて発信し受賞歴もある。
    青年版ダボス会議”One Young World"Manchester Summit2022および
    ILS TOP100スタートアップにも選出された。一般社団法人生成AI普及活用協会
    (GUGA)執行委員、一般社団法人デジタルサロン協会 理事、日経xwomanアンバサダー、
    NewsPicksプロピッカー、TSUTAYA「Discover us」コラムニストなども務める。