10/3(木)からスタートした新番組『スルミ presents トップジャム』は、「ビジネスの“トップ”(会社のトップという意味で)が、ラジオで“ジャム”る(トークセッションする)番組」。各界で活躍する多彩な方を毎回ゲストにお迎えし、新たなビジネスシーンを紹介しています。
放送2回目のゲストは、Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香さん。
ゲストをお迎えする前には、「面識はあるけどきちんと話を聞くのは初めてなので、楽しみにしています」という福田アナ。「女性として様々なハードシングスがあったと思うので、そのあたりをお伺いしたいです」という石塚さん。
さて、どんなお話が飛び出すでしょうか!?
福田:まずは谷本さんのプロフィールをご紹介します。
谷本さんは証券会社、ブルームバーグTVで金融経済アンカーを務めた後、2004年にアメリカでMBAを取得。その後、経済専門チャンネル『日経CNBC』でキャスターやコメンテーターに従事されました。インタビュアーとして、イギリスのトニーブレア元首相やスターバックス元会長兼CEOのハワード・シュルツなど3000人を超える世界のVIPのインタビューを担当。現在はForbesJAPANのWeb編集長、経済ジャーナリストとして活躍されています。
ご経歴だけでも本当に輝かしいんですが、学生時代からすでに経済に興味があったのでしょうか。
谷本: 全然そんなことはなくって、元々は文学部で文学大好き少女だったんですね。バブルを味わってはいないんですが、バブルを横目に見ながら成長してきた世代でもあるんですよね。なので、大人になったらこんなに輝かしく華やかな世界が待っているんだと思ったら、なんか雲行きが怪しいぞと。それで社会に出る前にバブルが崩壊して。そういう様子を見てきた中で、経済って何なんだろう、って間近で感じることができたっていうんでしょうか。それで興味を持ちましたね。
福田:なるほど。それで証券会社に入社されたっていうことなんですね。
石塚:他のインタビューをちょっと拝見したところ、山一証券に。あれが結構ターニングポイントになったと。そのあたりを伺いたいです。
谷本:やっぱり一つの大きな会社が潰れるっていうことは、どういうことかっていうことなんですよね。私達自身も経済というものを信じてやってきてるわけですよね。信頼を重ねてきた会社がこんな簡単に信用を失うわけがないと思っていた。
それが、ある種の不祥事で信用というものがどんどん剥落(はくらく)していくのを間近で見ながら、金融経済ってなんて儚いんであろうと。こういった思いをする人を減らしていくにはどうしたらいいのか、それが私自身のキャリアや人生観にかなり影響したことが大きかったです。
石塚:すごい事件でしたもんね。その後にフリーランスで経済キャスターになられたんですか。
谷本:どうしてもやっぱり経済に携わりたくて。株も大好きだったんですが、私のようにお客さんを持ってない人間はどこも採ってくれないんですよね。どういう形だったらば経済に携わることができるか考えたときに、少なくとも企業内のアナウンサーであったけれども、経済キャスターとかそういったことであるならば、もしかすると私自身もこの世界の中で生きていくことができるんではないかと。「自称経済キャスター」になるっていうような格好で自身で勉強をずっとしてきて、今に至るみたいな形なんですよね。
福田:どうしてMBAを取得しなければと思われたんですか。
谷本:フリーランスって今は少しだけ民主化されたような気がするんですけど、当時、フリーランスで生きてこうって決めたときに、「フリーターですか」みたいな言われ方をしていたわけですよね。自分の腕1本で生きていかなければいけないと考えたときに、やっぱり何らか寄り添う資格や能力がなくちゃいけない。当時まだまだすごく取ってる方たちが少ない時代だったんですけども、ビジネススクールに行けば、何らか生き残っていくことができるんではないか、と考えたことが大きかったですね。
福田:会社が倒産した後も順風満帆に見えるような気がするんですけれども、ご自身ではどのように振り返られていますか?
谷本:まさに茨の道でした。それは多分おふたりならわかっていただけると思うんですけど、女性ということも大きかったんですよね。
本当に能力を示していかないと認めてもらえない。だから金額面や条件面、様々な面で苦労はしましたけれども、1個1個その積み重ねていくとやっぱり少しずつ、少しずつ近づけていくところもあるような気がしていて。そういった意味においては遠回りをしてきたような気はしますけど、だからこそ認めてもらえたりとか、もしくはお話をできるようなコミュニティに入れてもらえたような気もしますね。
石塚:結婚や妊娠で仕事がかなり減ったとは思うんですが、それをどう乗り越えて女性としてここまで力強く生きてこれたのでしょうか。
谷本:私自身、いわゆるダイバーシティや女性活躍みたいなものを20年ぐらい取材をしてきて思うのは、やっぱり我々は女性だからこそ、もしくはマイノリティだからこその戦い方があるような気がするんですよね。
感情によって定性的なところで訴えていくとすごく難しい気がしていますが、やっぱり数字で示す必要があるんですよ。例えば、私が自分が企画した番組が視聴率でトップを取ったとか、あとは何万人の方たちに視聴いただいたとかが、やっぱり説得材料になるんですよね。
数字は嘘はつかないし数字は万国共通だから、その強みをいかに生かしていくかというところは重要な要素であったような気がしますね。
石塚:昔、ドラマで、女性が男性の輪の中に入ると急に男性の結束力が崩れるから女性を入れたくない、女性に入って欲しくないし、男性は男性の社会を築いていきたいんだ、っていうセリフがあって、私いまだにその言葉を覚えているんです。その世界を見てきた有香さんは、やっぱりそういう感覚がありましたか。
谷本:私は各企業の女性の取締役がどういう方なのか必ずチェックするようにしています。いらっしゃったら必ずお話を聞くようにしてるんですよね。そうすると、「女性ポジション」に入れさせてもらったのかなって人がやっぱり多いんですよ。柔らかくて、すごくわかりやすく言えば、綺麗だったり優しかったり。チャーミングであったりとか。そういう枠の中に当てはまっているのは大企業が多い印象です。そこで私は「◯◯さんは本当に自分らしさを発揮できていますか」と意地悪な質問をするんですよね。そうすると大体はもちろん発揮できてる、とおっしゃるんですけど。
でも、トイザらスのアジア・パシフィックのトップだったモニカ・メルツさんは、「有香はいいことを聞いてくれた。私は実はトップになるまで、つまりボードメンバーだったときは優しくていい人を演じていた。あなたたちご飯は食べてる?と言って振る舞うことによってライバルとしてみなされないんだ」ということなんですよね。
そこで初めて能力を認めてもらって、今のポジションでようやく今、自分らしく生きていくことができるっていうのを聞いたときに、この人たちでもそうなのかって思ったんですよね。だからそういった方たちがどんどん増えていくように、自分らしくいられる女性リーダーを作っていくお手伝いをメディアとしてして担わなければいけないと思います。
福田:谷本さんの心から溢れてくる言葉の数々からすごく力強さを感じましたね。荒波に揉まれてきた分、優しさを現代に還元してくださってるといいますか。本当に素敵でした。
次回は、グルメエンターテイナーのフォーリンデブはっしーさんにお越しいただきます。お楽しみに。
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