おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
9/1は、邦画特集。何度も見返したくなるヒューマンドラマ2本と新しい才能が発見できる映画祭をご紹介します。
1本目は、愛のいびつな衝動と暴走を、緊迫感あふれるタッチで描いたヒューマンサスペンス
『愛に乱暴』

原作は、数々のベストセラーの映画化が相次ぐ吉田修一さんの同名の小説。
この作品を今映画化する意味があると感じた森ガキ侑大監督がメガホンを取りました。
「生産性ばかりを求めている社会で、世の中の隅に追いやられ孤立している人がいる気がしていた」といいます。
そう、これは失いそうになる自分の居場所を必死に守ろうとする1人の女性の物語です。

主人公は専業主婦の桃子。結婚して8年、夫・真守の実家の敷地にある“はなれ”で暮らしています。
隣の母屋で一人暮らしをしている姑から受ける微量のストレスと、夫の自分への無関心を振り払うように、センスのある装い、手の込んだ料理などいわゆる“丁寧な暮らし”に勤しみ毎日を充実させていました。
そんな桃子の周囲で不審な出来事が起こり始めます。近所のゴミ捨て場の不審火が相次ぎ、可愛がっていた野良猫ぴーちゃんが失踪、不気味な不倫アカウントを目にするようになります。
平穏だったはずの日常は少しずつ乱れ始め、やがて追い詰められた桃子は、いつしか床下への異常な執着を募らせていくのです…。

桃子を演じたのは、映画・ドラマの出演が相次ぐ実力派俳優・江口のりこさん。
不穏な出来事によって居場所を奪われ壊れていく主婦を、美しくも哀しい、でもおかしみもある怪物ヒロインとして演じ切り、誰が見ても新たな境地に達しています。
桃子には無関心、常に上の空の夫・真守には、明るく優しい良い人オーラを捨てて臨んだ小泉孝太郎さん。あまりに印象が違っていたので、途中まで小泉さんだと気づきませんでした。見事な演技で、こちらも新境地。
1人で母屋に住む真守の母親、悪気なく桃子にストレスを与える姑には、これまたピッタリな風吹ジュンさん。そして、真守の愛人には馬場ふみかさんと、見事な布陣です。

物語が進むにつれて暴かれていく思いがけない真実に「え?そうだったの?」驚きの連続!うっかりしていられない、伏線は初めからずっと続いているのです。
いつの間にか噛み合わなくなって行く歯車、少しずつ溜まって行くストレス。
幸せなはずだったのに、こんなはずじゃなかったのに…人は誰でもそんな思いを持っているのでは?
だからこそ、極端な行動に走ることもあるけれど、桃子の気持ちがわかるんですよね。

『愛に乱暴』
8月30日(金)より、全国ロードショー
公式サイト:www.ainiranbou.com
江口のりこ
小泉孝太郎 馬場ふみか / 風吹ジュン
原作:吉田修一『愛に乱暴』(新潮文庫刊)
監督・脚本:森ガキ侑大
脚本:山﨑佐保子/鈴木史子
音楽:岩代太郎
配給:東京テアトル
Ⓒ2013 吉田修一/新潮社 Ⓒ2024「愛に乱暴」製作委員会

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