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11/6は、唯一無二の素晴らしい人物・卓越した役者…壮絶な人生を描いた作品を3本。
3本目は、当時世間を騒がせた事の顛末をご存知の方もいらっしゃるでしょう。
瀬戸内寂聴、井上光晴、そしてその妻をモデルに、男女3人の特別な関係を描いた
『あちらにいる鬼』
去年11月99歳でこの世を去った瀬戸内寂聴さんが1973年51歳で出家したのは、妻子ある作家・井上光晴氏との道ならぬ恋のためでした。
2人の関係を承知しながらも添い遂げた井上氏の妻。その渦中で育った井上夫妻の長女で直木賞作家の井上荒野氏が3人をモデルに書き上げた小説が原作の「あちらにいる鬼」なのです。
1966年春、実体験をもとにした恋愛小説で成功した人気作家・長内みはるは、講演会で出会った気鋭の小説家・白木篤郎と男女の仲になっていきます。
みはるには年下のパートナー、篤郎には妻・笙子と2人の子どもがいる道ならぬ恋…でも2人は、作家としてのお互いの才能にも男女としても惹かれ合い、のめり込んでいきます。
篤郎が自分一人のものにならないと知りつつ、長年連れ添った男と別れるみはるに対して、篤郎は家庭を捨てないばかりか、見境なく多くの女たちに手を出します。
しかも篤郎はどうしようもない嘘つき!その見え透いた沢山の嘘までも愛し、逆に篤郎に愛されたみはると笙子には、いつしか同志のような感情が芽生えます。
そして篤郎との関係が7年になった1973年、みはるは出家を決意するのです…。
みはる後の寂光を演じたのは寺島しのぶさん、白木篤郎役は豊川悦司さん、笙子に広末涼子さん。
この三人の演技がものすごいんです。周りを気にせずやりたいことに突き進むみはるの可愛さと快活さ、しかも才能ある女性ですよ、篤郎も好きにならずにいられなかったんでしょうね。
しかもこの篤郎、シレっとつく嘘がまたズルいんですよ。「あんたが一番!」って。途中までは「とんでもない男だ!」って思うんですが、その小物っぷりがだんだん可愛くさえ見えてきちゃうんです。
そんな夫の全てを知った上で、まったく動じない妻・笙子。すごく好きなシーンがあるんですが、何度か関係を持った女性が家に押しかけてきて、慌てふためく篤郎が彼女を連れて外に出て行った後、お茶を一口飲んで「ああ、美味しい…」って平然としている姿…天晴れです!
なかなか理解できない3人の関係に戸惑うこともあるのですが、観終わったあと清々しささえ感じます。
最後の一連のシーンをみて、ものすごく感動しました。三人のお芝居に引き込まれていきます。
人間の身勝手さやそれでも抗えない魅力にすべてを許してしまうという、きれいごとなしの人間の生きざま、業のようなものを見せつけられました。壮絶です!
やっぱり寂聴さんってすごい方なんですね…もうすぐ11/9は一周忌です。
『あちらにいる鬼』
2022年11月11日(金)全国ロードショー
公式サイト:happinet-phantom.com/achira-oni
寺島しのぶ 豊川悦司/広末涼子
高良健吾 村上淳 蓮佛美沙子 佐野岳 宇野祥平 丘みつ子
監督:廣木隆一
脚本:荒井晴彦
原作:井上荒野「あちらにいる鬼」(朝日文庫)
音楽:鈴木正人
2022/日本/139 分/5.1ch/シネマスコープサイズ/カラー/デジタル R15+
配給:ハピネットファントム・スタジオ
Ⓒ2022「あちらにいる鬼」製作委員会
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