ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2022.11.13

サンデー早起キネマ『土を喰らう十二ヵ月 』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
11/13は、俳優陣が作り出す世界にどっぷり浸ってしまうヒューマンドラマを3本ご紹介。

1本目は、沢田研二さん主演、四季折々の食で綴るヒューマンドラマ
『土を喰らう十二ヵ月 』

原作は、「飢餓海峡」などのベストセラー作家・水上勉氏の料理エッセイ。
少年時代に京都の禅寺で精進料理を学んだ水上氏が、自ら収穫した野菜や山菜を駆使して料理を作り、食べる喜びや料理にまつわる思い出を書き綴っています。
その世界観を元に、脚本を書いて映画に仕立て上げたのは、『ナビィの恋』『盆唄』の中江裕司監督。

舞台は、北アルプスを望む人里離れた信州の山荘。
作家のツトムは、犬のさんしょ、そして13年前に亡くなった妻・八重子の遺骨と暮らしています。
畑で育てた野菜や山で収穫したキノコや山菜で作る料理は、日々の楽しみのひとつ。
担当編集者で恋人でもある真知子が東京から訪ねてくる日は、一層心が華やぎます。
二十四節気、美しい信州の季節の移り変わりと共にツトムの1年間を追った作品の始まりは立春。
啓蟄、清明、立夏と季節が進み、やがて白露の頃、2人の心境を変化させる出来事が起きるのです。

この作品の最大の魅力、その時々の旬の食材で作る料理は、料理研究家の土井善晴氏が目にも耳にもおいしく再現。映画の料理に携わったのは今回初めてだそうですが、手間暇をかけ愛情を込め、素材の良さを最大限生かしたシンプルな料理には、ことのほか家庭料理を大切にされている土井氏の技と心が生きています。

その料理を手ずから丁寧に作り出し、自然と共に山で生きていく姿を体現したのが、沢田研二さん。
沢田さんのカメラの前に立つ役者としての覚悟と、ツトムが自然と共に暮らすと決めた覚悟が重なって感じられるような、静かな自然体の演技がとっても心に沁みました。
恋人真知子役は、松たか子さん。若い恋人としての無邪気さとある決心をした時の凛とした感じが同じ女性として共感できました。おふたりの大人の愛の機微がスクリーンから伝わってきます。

タイトルの「土を喰らう」とは「旬を喰らう」こと、自然の恵みを有難く頂くこと。今この瞬間を大切に生きることなのです。それは、よりよく死ぬことにもつながります。
朝起きて夜寝るという生き物としての営みは、朝生まれて夜死ぬことなのかもしれません。
日々の忙しさに追われ、旬を感じることも難しい私たちに人として豊かな生き方を教えてくれます。

『土を喰らう十二ヵ月 』 
11 月 11 日(金)より 、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座他にて全国公開

公式サイト:tsuchiwokurau12.jp
出演:沢田研二 松たか子 西田尚美 尾美としのり 瀧 川鯉八 檀 ふみ 火野正平 奈良岡朋子
監督・脚本:中江裕司
原案:水上勉
『土を喰う日々-わが精進十二ヵ月- 』(新潮文庫刊) 『土を喰ふ日々 わが精進十二ヶ月』(文化出版局刊)
料理:土井善晴
音楽:大友良英
製作:『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会
配給:日活
制作:オフィス・シロウズ
©2022『土を喰らう十二ヵ月』製作委員会 

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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