おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
6/26は、それぞれの国のある時代を切り取る3つの国の作品をご紹介。
1本目は、フランス。貧しく厳しい環境の中で見つけた奇跡の物語
『母へ捧げる僕たちのアリア』
『オートクチュール』『GAGARINE/ガガーリン』、今年このコーナーでもご紹介したフランスの作品です。
共通するのは移民が多く住む地域の集合住宅で暮らし、社会から疎外され貧しさから抜け出せない若者たちの今、フランス社会の今の一面を描いていること。この作品もまた然り。
舞台は、南フランスの海沿い、移民が多く貧しくも美しい街。
主人公は、古びた公営住宅で、3人の兄たちと暮らす14歳のヌール。
父を亡くし兄弟4人、昏睡状態で人工呼吸器をつけた母を自宅で介護しています。
ヌールは夕方になると、兄たちに怒られながらも母が大好きなオペラを大きな音で聴かせてあげることが日課です。
明日から待望の夏休みが始まりますが、彼らの生活は苦しく、中学生のヌールも兄の仕事の手伝いと家事に追われています。
そんなある日、教育奉仕作業の一環で学校内を清掃していたヌールは、オペラの夏期レッスンをしていた講師のサラに呼び止められ、歌うことに魅せられていくのですが…。
夏休みの前日から終わるまでのヌールのひと夏の経験は、彼に何をもたらしてくれるのでしょうか?
原題を翻訳機で訳してみると『椿姫 兄たちと僕』という感じでしょうか。
作品の中では、レッスンでオペラの曲を習いますが、特に「椿姫」が重要な役割を果たします。
4兄弟は、威圧的で暴力的な長男アベル、優しくお調子者の次男モー、反抗的な問題児の三男エディ、素直で音楽を愛する四男のヌール。この4兄弟が個性的でとてもいいんですよね。常にケンカ腰で一見バラバラですが、実は深い絆で結ばれています。そして、ヌールが音楽と本当の出会いを果たすことで、兄たちも考え方や行動が変わり、やがて彼らの関係も大きく変わっていきます。
オペラの講師をしているサラは実はオペラ歌手で、劇中でもステージで歌を披露するのですが、これが素晴らしい!サラを演じたジュディット・シュムラは、女優であり歌手。世界中を驚かせた大火災からおよそ1年後、ノートルダム大聖堂で行われた聖金曜日の典礼で「アヴェマリア」を歌い話題になりました。
この作品のヨアン・マンカ監督のパートナーでもあります。
ある時芸術と出会うことで、思いがけない人生の道が広がっていく…監督の経験も生かされての脚本です。
本当に人生は何がきっかけで大きく変わるかわかりません。
ヌールをはじめとした兄弟のこれからを是非一緒に見守りませんか?
『母へ捧げる僕たちのアリア』
6月24日(金)より、シネスイッチ銀座ほか、全国順次公開
公式サイト:hark3.com/aria
監督・脚本:ヨアン・マンカ
出演:マエル・ルーアン=べランドゥ、ジュディット・シュムラ、ダリ・ベンサーラ、ソフィアン・カーメ、モンセフ・ファルファー
2021年 /フランス /フランス語 /108分 /カラー /ビスタ サイズ /5.1chデジタル / PG12
原題:La Traviata Mes frères et moi
© 2021 – Single Man Productions – Ad Vitam – JM Films
配給:ハーク
配給協力: FLIKK 字幕翻訳:手束紀子
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
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