ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

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2022.02.20

サンデー早起キネマ『GAGARINE/ガガーリン』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
2/20は、3つの国から届いた登場人物がとても魅力的な作品をご紹介。

2本目は、フランスから届いたエモーショナルな青春映画
『GAGARINE/ガガーリン』

ガガーリンと聞いたら思い浮かべるのは旧ソ連の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリン少佐でしょう。1961年人類初の有人宇宙飛行を成し遂げ、「地球は青かった」という名言を残しました。
実は、フランスのパリ郊外に彼の名前を付けた大規模な公営住宅があったのです。
第二次世界大戦後、足りない労働力を移民に求めたフランスは、彼らを受け入れるための低家賃の大規模住宅を建設します。ガガーリンもその一つでした。
しかし、2024年のパリ・オリンピックを見越した再開発のため、2019年に取り壊されました。

消えゆく団地・ガガーリンの歴史と人々の生活を映画という形でレガシィに昇華させたのは、ファニー・リアタールとジェレミー・トルイユ、2人の監督です。2014年からガガーリン団地に入り込み人々と交流する中で、素晴らしい物語が練り上げられました。

老朽化で取壊しの噂が流れる赤レンガの大きな公営住宅ガガーリン。
ここで育ったガガーリンと同じ名前の少年ユーリは、宇宙飛行士になることを夢見る16歳。母は恋人のところに行ってしまい、一人で暮らしています。
彼は大切な思い出が刻まれたこの場所を守るため、友達と一緒に解体を阻止しようと動き出します。自由で快活なロマの少女ディアナや親友フサーム、団地の人達との交流で少しずつ成長するユーリ。
しかし、行政当局の調査で団地の解体が正式に決定。
住民たちは次々と退去し、母親にも完全に見捨てられてしまったユーリは、深い悲しみの中で途方もないミッションに乗り出します。
それは、誰もいない空っぽになった団地を宇宙船に改造し、思い出のこの場所を守り抜くこと。しかしユーリの孤軍奮闘も虚しく、やがて団地が爆破解体される日がやってきます……。

ユーリ役、はこの作品でデビューしたアルセニ・バティリ。新人とは思えない演技力です。
解体の危機から守ろうと団地のあちこちを修繕したり、宇宙船を作り出す器用さとたくましさに驚きます。かと思えば、お母さんに捨てられた哀しさと初恋に揺れる初々しさに胸キュンです。
その初恋の人ディアナ役は、リナ・クードリ。このコーナーでも『フレンチ・ディスパッチ』や『パピチャ』などの出演作をご紹介してきました。強さと可愛さが同居する唯一無二の存在です。

若者達の瑞々しくも切ない終わりと始まりの物語は、忘れていた何かを思い出させてくれます。

『GAGARINE/ガガーリン』

2月25日(金)より、新宿ピカデリー他全国公開

公式サイト:gagarine-japan.com

監督:ファニー・リアタード&ジェレミー・トルイル
出演:アルセニ・バティリ、リナ・クードリ、ジャミル・マクレイヴン、ドニ・ラヴァンほか
2020|フランス|95分|カラー|シネスコ|5.1ch|フランス語|原題:Gagarine
配給:ツイン
©2020 Haut et Court – France 3 CINÉMA

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      ひろたみゆ紀

      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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