【プロ野球 オリックス・バファローズ】
2位ロッテに15.5ゲームもの大差をつけて独走し、パ・リーグ3連覇を達成したオリックス・バファローズ。オリックスの3連覇は、前身にあたる阪急ブレーブスが1975年~78年に4連覇を達成して以来の偉業です。その強さの源は強力な投手陣。チーム防御率は、リーグトップの2.73。中でも防御率1.21で最優秀防御率のタイトルを獲得した山本由伸投手は、16勝6敗と1人で貯金を10作ってチームの独走に貢献し、3年連続MVPにも輝きました。エースの活躍に引っ張られるように、高卒4年目の宮城大弥投手が3年連続2ケタ勝利を挙げると、高卒3年目の山下舜平大投手が9勝を挙げ新人王を獲得。育成出身の高卒6年目、東晃平投手も無傷の6連勝でブレークを果たしました。
今年のオリックスのチームスローガンは「全員で勝つ」。この言葉どおり、誰かが欠けると誰かがその穴を補ったのも印象的でした。メジャーリーグに移籍した吉田正尚選手に代わって主砲を務めたのが、埼玉西武からFA移籍した森友哉選手です。森選手は主砲と同時に正捕手として守りの要も担いましたが、7月に左太もも裏を痛めて戦線を離脱。代わりの若月健矢選手が好リードで投手陣を支え、自身初となる捕手部門でのゴールデングラブ賞を受賞します。また5年目の頓宮裕真選手が大きく成長し、打率3割7厘で初の首位打者に輝くなど打線を牽引。誰かが抜けたら他の選手にチャンスを与え、結果を残せばその後も起用するというチーム方針は、主力が欠けても容易に崩れない層の厚さにつながりました。来年はエース・山本由伸投手と、11勝を挙げた山﨑福也投手の先発2人が抜けることになりますが、そこを厚い選手層で補うのがオリックスの強みです。まだまだ伸びしろのあるチームと語る中嶋聡監督が目指すのは、リーグ4連覇と日本一奪回です。
【プロ野球 阪神タイガース】
岡田彰布監督が15年ぶりに復帰してチームを一つにまとめ、独走で18年ぶりの”アレ”こと、セ・リーグ制覇を果たした阪神タイガース。ファンが歓喜にひたる中、次なる目標は、1985年以来となる38年ぶりの日本一でした。岡田監督は85年の日本一を現役選手で味わった一方で、監督としては2005年に千葉ロッテマリーンズとの日本シリーズを4連敗のストレート負けという苦い経験をしています。そのため今回の日本シリーズは、18年前の屈辱を晴らす絶好の機会でした。相手は、パ・リーグ3連覇を果たしたオリックス・バファローズ。京セラドーム大阪で行われた第1戦は、阪神打線がオリックスのエース・山本由伸投手から7点を奪い快勝しますが、第2戦とホーム・甲子園球場で行われた第3戦を落とし連敗。オリックスに傾きかけた流れを引き戻したのが、第4戦のサヨナラ勝ちでした。大山悠輔選手のサヨナラヒットで対戦成績をタイに戻した阪神は、第5戦も連勝して日本一に王手を掛けます。ところが第6戦は山本投手に抑えられ3勝3敗に。
勝ったほうが日本一という注目の第7戦に、岡田監督はクライマックスシリーズで登板機会のなかった青柳晃洋投手を先発で起用します。2年連続で13勝を挙げたエースも、今シーズンは開幕から不振で8勝止まり。しかし青柳は監督の期待に応え、5回途中まで4安打無失点の好投を見せました。打ってはノイジー選手が、宮城大弥投手から2試合連続の先制スリーラン。その後も阪神打線は追加点を加え、最後は抑えの岩崎優投手が締めて7対1で快勝。岡田監督は、選手・監督の両方で日本一の歓喜を味わいました。
【プロ野球 山本由伸投手】
オリックス・バファローズのエースとして、毎年圧倒的かつ安定したピッチングを見せてきた山本投手。今シーズンは16勝6敗で最多勝、勝率7割2分7厘で最高勝率、防御率1.21で最優秀防御率、169奪三振で最多奪三振と投手タイトル四冠を3年連続で獲得。先発投手に与えられる最高の栄誉である沢村賞にも、3年連続で選出されました。3年連続で沢村賞を受賞したのは、400勝投手・金田正一さん以来史上2人目。パ・リーグでは初の快挙となりました。今年の成績の中でも特に目を見張るのは、防御率1.21です。この数字は1956年に西鉄ライオンズ・稲尾和久投手が作った1.06に次ぐパ・リーグ歴代2位の記録。エースらしい成績でオリックスのリーグ3連覇に貢献したとして、パ・リーグMVPも3年連続での受賞を果たしました。
今シーズンのピッチングで、山本投手が特に印象に残っている試合として挙げたのが、9月9日の千葉ロッテ戦で見せた快投です。この試合、序盤から150キロ台中盤の力強いストレートに加え、カーブや落差のあるフォークボールなど変化球のキレも抜群だった山本投手。ロッテ打線を手玉に取り、6回の先頭打者にフォアボールを与えるまで1人のランナーも許しませんでした。その後、出塁を許したのはデッドボールの1回のみ。球数102球、8つの三振を奪ってヒットを打たれないまま投げきり、昨年6月に続く自身2度目のノーヒットノーランを達成したのです。2年連続は実に82年ぶり。さらにNPB通算100度目のノーヒットノーランと、メモリアルな大記録になりました。今年は3月のWBC優勝メンバーから始まり、ペナントレースでもエースとしてチームを牽引した山本投手。その締めくくりは、阪神と戦った日本シリーズ第6戦です。最速158キロのストレートと150キロのフォークボールを武器に、日本シリーズ新記録となる1試合14奪三振をマーク。9回を1失点に抑え、日本シリーズ初勝利を完投で飾り、日本球界最後のピッチングを最高の形で締めくくってみせました。
【MLB ロナルド・アクーニャJr.選手】
アメリカメジャーリーグ、アトランタ・ブレーブスのアクーニャJr.選手は弱冠20歳でメジャーデビューした2018年、打率2割9分3厘、ホームラン26本、16盗塁の活躍でナショナルリーグの新人王に輝きます。この年のアメリカンリーグ新人王がロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手だったことから、メジャー入り同期のすごい選手として日本のファンにもおなじみになりました。そんなアクーニャJr.選手の評価がさらに上がったのが、メジャー2年目の19年です。長いメジャーの歴史の中でも達成者がわずか4人しかいない大記録、ホームラン40本・40盗塁をマークする「40・40」に挑んだのです。長打力と足の速さ、まったく別な2つの才能を要求される、難易度の高いこの記録。最終的にアクーニャJr.選手はホームラン41本、37盗塁と惜しくも大記録には届きませんでした。
今シーズン、アクーニャJr.選手はこの大記録に再び挑みます。7月3日の時点で早くもシーズン40盗塁を達成し、ホームランも21本を記録。オールスターゲーム前にホームラン20本・40盗塁を達成したのは、メジャー史上初の快挙でした。8月31日には30号アーチを放ち、この時点で盗塁数は61。ホームラン30本、60盗塁という、これもメジャー史上初の記録を打ち立てます。9月22日、ホームラン数はついに40本に到達し、念願の「40・40」どころか、さらに上を行く「40・60」を達成。最終的にシーズン盗塁数は70を超え、前人未到の「40・70」という大記録を打ち立てたアクーニャJr.選手。打率3割3分7厘、ホームラン41本、106打点、73盗塁という驚異的な成績でナショナルリーグのMVPに満票で選ばれ、最高の形で今年の野球界を締めくくりました。
【MLB 大谷翔平選手】
3月のWBCでは決勝戦で胴上げ投手となり、侍ジャパンを世界一に導いた大谷選手。その勢いは、シーズンが始まったロサンゼルス・エンゼルスでも変わりませんでした。ピッチャーとしては、4月からいきなり4勝・負けなし。前半戦だけで7勝を挙げ、被打率1割8分9厘は両リーグトップという抜群の安定感を披露します。バッターとしての活躍も凄まじく、特に6月は打率3割9分4厘、ホームラン15本、29打点といずれもリーグトップの数字で月間MVPに選出。中でも圧巻だったのは、6月30日に放った月間15本目のホームランでした。ど真ん中のスライダーを完璧に捉えると、打球はライトスタンドへ。推定飛距離150mの第30号超特大アーチを放ったのです。この飛距離は自己最長であり、今年のメジャーリーグ全体でも最長距離でした。大谷選手は7月にもリーグ最多のホームランを9本放ち、月間MVPを受賞。自身通算4回目で、自らが持つ日本選手の最多記録も更新しました。
二刀流・大谷選手の真骨頂とも言える試合が、7月に行われたデトロイト・タイガースとのダブルヘッダーです。まずは第1試合、先発を任された大谷選手は9回を投げきり、許したヒットは1本だけ。111球、8奪三振でメジャー6年目にして初完投・初完封の9勝目を収めます。その第1試合終了からわずか45分後に始まった第2試合は2番・指名打者でスタメン出場すると、第2打席で37号2ラン。続く第3打席でも2打席連続となる38号ソロホームランを放つ、まさに歴史的な一日となりました。その後、右ヒジや右脇腹を痛めたため、9月途中でシーズンを終えることになった大谷選手。投げては10勝、打っては44本のアーチを放ち、日本人選手初となるホームラン王のタイトルを獲得しました。シーズン終了後には、満票でリーグMVPを受賞。2年前のMVPも満票で受賞しており、2度目の満票もまた史上初の快挙でした。
来週のスポーツ伝説は……
1/1(月) 箱根駅伝 第99回・駒澤大学
1/2(火) 侍ジャパン井端弘和監督
1/3(水) プロ野球 小久保裕紀監督
1/4(木) プロ野球 阿部慎之助監督
1/5(金) プロ野球 銀次選手
お楽しみに!!
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2025年3月17日~21日の放送内容
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2025年3月10日~14日の放送内容
【プロ野球 田中将大投手】 昨年のオフ、東北楽天ゴールデンイーグルスを退団し、読売ジャイアンツへの入団を発表した田中投手。2006年に高校生ドラフト1位で東北楽天に入...
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2025年2月24日~28日の放送内容
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