【バスケットボール 渡邊雄太選手】
田臥勇太選手に次ぐ、日本人選手2人目のNBAプレーヤーとなった渡邊選手。NBA5年目の2022-23シーズンは、スリーポイント成功率がNBA全体で一時トップに立つなど、着実に成長を続けてきました。そんな渡邊選手がNBA同様にこだわり続けてきたのが、日本代表での活動です。しかし大学2年生で出場したリオオリンピック最終予選は2連敗で出場の切符を逃し、19年のワールドカップは白星なしの5連敗。東京オリンピックも3連敗と、主要の世界大会では一度も勝てず、10連敗を喫しました。迎えた今年の夏、沖縄で開催されたワールドカップでは、アジア1位の順位を勝ち取ればパリオリンピックの出場権も獲得できるという大一番を前に、渡邊選手は「今大会で日本をパリオリンピックに連れて行けないのなら、代表を引退する」と宣言。あえて背水の陣を敷きました。
大会直前に足首を捻挫して心配された渡邊選手でしたが、開幕のドイツ戦ではチーム最多の20得点を挙げ、試合には敗れたものの、改めて日本の大黒柱であることを
アピール。格上フィンランドとの第2戦では、日本が主要な国際大会で17年ぶりとなる勝利を挙げる立役者の1人となりました。この勝利で大きな自信を得た日本。順位決定ラウンド初戦のベネズエラ戦は、開始21秒で渡邊選手のスリーポイントシュートが決まり先制。その後も得点を重ねた渡邊選手がドイツ戦を上回る21得点を挙げ、日本は56年ぶりとなるワールドカップ1大会2勝を挙げました。そして、勝てばパリ行きが決まるカーボベルデ代表との一戦は40分フル出場して、チーム最多の10リバウンドと、守備でチームの勝利に貢献。日本は48年ぶりに、自力でオリンピック出場権を獲得したのです。
【バスケットボール 富樫勇樹選手】
Bリーグが誕生した2016年以降、その象徴的存在として活躍してきたのが千葉ジェッツの富樫選手です。圧倒的なスピードとテクニックを武器に、得点もアシストも量産。Bリーグ初年度からただ一人、7年連続でベストファイブに選出され、今年3月にはリーグ史上初となる、スリーポイントシュートの成功数が通算800本に到達しました。そんな冨樫選手にとってワールドカップは、前回悔しい思いをした特別な大会です。4年前は、予選で出場権獲得に貢献するも、本大会は直前の合宿で右手を骨折して欠場。5戦全敗に終わったチームを、コートの外から見守って戦いを終えていました。それだけに、キャプテンとして迎えた今大会は並々ならぬ闘志を燃やしていたのです。
身長167㎝の冨樫選手は、今回のワールドカップに出場した選手の中で最も低身長。しかしその存在感はとてつもなく大きなものでした。今大会、同じポジションで急成長を見せた22歳の河村勇輝選手が勝負どころで起用されても、不満の色を微塵も見せず、率先して声をあげ若手選手たちを鼓舞し続けました。キャプテンが自ら縁の下の力持ちとなったことで、出場機会の少ない他の選手たちも”チームファースト”の姿勢を徹底。彼らが限られた時間の中で全力を尽くし、日替わりでヒーローが生まれたことが、パリオリンピック出場決定につながったのです。
【バスケットボール ジョシュ・ホーキンソン選手】
身長208㎝、”ビッグホーク”の愛称を持つバスケットボール日本代表ホーキンソン選手は、アメリカ・シアトルの出身です。両親はともに元プロバスケットボール選手で、13歳の頃にはすでに身長は190㎝を超えていました。大学からバスケに専念すると、強豪リーグにおいて過去数人しかいない通算1000得点1000リバウンドを達成し、NBA入りが有力視。ところがドラフトではNBAチームからの指名はなく、プレー機会を求めて日本のBリーグでプロのキャリアをスタートさせます。すると、またたく間に日本バスケに適応し、Bリーグでも指折りのセンターとなったのです。そして今年2月、「僕をここまで成長させてくれた人たちに恩返しをしたかった」とホーキンソン選手は日本国籍を取得。ワールドカップのメンバー入りを果たします。
リバウンドを制するものはゲームを制す。バスケの世界で有名なこの格言を、ホーキンソン選手は今年のワールドカップで見事に証明してみせました。1次リーグ第2戦のフィンランド戦では、28得点・19リバウンドを記録してダブルダブルを達成。最大18点差をひっくり返す、大逆転勝利の立役者となりました。続くオーストラリア戦は、試合には敗れたものの、ホーキンソン選手は両チーム最多の33得点を挙げ、1次リーグを終えた時点で1試合の平均得点ランキングは4位。リバウンドは全体1位タイという好成績を収めたのです。そして順位決定ラウンドのベネズエラ戦では、チーム最多の11リバウンドで勝利に貢献。オリンピック出場がかかるカーボベルデ戦では、両チーム最多の29得点を決めて、パリ行きの立役者となりました。今大会通じてホーキンソン選手は、全体2位の平均10.8リバウンド。2点シュートの成功率は大会トップを記録し、出場時間は渡邊雄太選手と並びチームトップの平均35分。試合中は5分しか休むことなくプレーし、チームに貢献したのです。
【MLB 千賀滉大投手】
福岡ソフトバンクホークスから海外FA権を行使して、アメリカメジャーリーグのニューヨーク・メッツへ移籍した千賀投手。育成選手でプロ入りした選手のメジャー移籍は初めてのことです。背番号は、歴代最多の5714奪三振を誇る伝説のピッチャー、ノーラン・ライアン投手がメッツでデビューしたときに背負っていた34番。千賀投手は開幕4戦目、マイアミ・マーリンズ戦の先発を任されました。球場は、今年のWBCで日本が優勝を決めたローンデポ・パーク。初回、味方に2点の援護をもらってマウンドに上がった千賀投手でしたが、その裏1点を返され、なおもノーアウト満塁のピンチを迎えます。この窮地を救ったのが、タテに大きく落ち、バッターの視界から突然消える通称”お化けフォーク”でした。このお化けフォークで2者連続三振を奪うなど、この回を最少の1失点で切り抜けた千賀投手は2回から立ち直り、6回途中まで投げて3安打1失点。メジャーデビュー戦で、みごと初勝利を挙げました。
その後も、着々と白星を積み重ねていった千賀投手。8月のセントルイス・カージナルス戦で10勝目をマークし、シーズン最後の登板となった9月末のマーリンズ戦で規定投球回に達すると同時に、1年目の日本人投手では4人目となる、シーズン200奪三振を達成します。しかしあと1勝に迫っていた、日米通算100勝は来年に持ち越しとなりました。チームもプレーオフに進めませんでしたが、1年目から29試合に先発して12勝7敗、防御率2.98、202奪三振と、申し分のない結果を残しました。
【MLB 吉田正尚選手】
昨シーズンは主砲としてオリックス・バファローズを日本一に導き、メジャーリーグのボストン・レッドソックスに移籍した吉田選手。開幕メジャーデビュー戦を4番・レフトで迎え、いきなり2安打を記録すると、開幕カード3試合で13打数4安打3打点の活躍を見せ、ファンを大いに喜ばせます。4戦目には本拠地・フェンウェイパーク名物のレフト側にある巨大なフェンス”グリーンモンスター”を軽々と越える待望のメジャー初アーチを放ちました。4月は時打率が1割台に落ち込んだこともありましたが、すぐにフォームを見直して復調できる、この対応力こそ吉田選手の強みです。
4月23日には、1イニングにホームランを2本放つという珍しい記録を。これは日本人選手初で、しかも2本目は満塁ホームランでした。7月22日には3割1分9厘まで打率を上げ、日本人では2009年のイチロー選手以来となるリーグトップに浮上しました。メジャー1年目は140試合に出場して、ホームラン15本、72打点、リーグ5位の打率2割8分9厘という成績でシーズンを終えた吉田選手。2安打以上のマルチヒットは50回に達し、球団の新人記録を塗り替えました。
来週のスポーツ伝説は……
11/20(月) 卓 球 木原美悠・張本美和選手組
11/21(火) 柔 道 斉藤立選手
11/22(水) 柔 道 舟久保遥香選手
11/23(木) レスリング 藤波朱理選手
11/24(金) レスリング 鏡優翔選手
お楽しみに!!
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2025年3月17日~21日の放送内容
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2025年2月24日~28日の放送内容
【プロ野球 遠井吾郎選手】 今年で球団創立90周年を迎えた阪神タイガース。遠井選手は1950年代~70年代にかけて、阪神ひと筋で20年間プレーした名物選手です。ぽっち...