スポーツ伝説

2023.01.27

2023年1月23日~27日の放送内容

【プロ野球 野村勇選手】

 パンチ力を高く評価され、2021年のドラフト4位でNTT西日本から福岡ソフトバンクホークスに入団した野村選手。ルーキーイヤーの昨年4月21日、オリックス戦でプロ初ホームランを放つと、その3日後、北海道日本ハム戦である偉業を達成します。3回に先制の2号ツーランを放ち、6回にはダメ押しとなる3号ソロをレフトスタンドに叩き込んだのです。ホークスの新人の1試合2本のホームランは1994年の小久保裕紀現2軍監督以来、実に28年ぶりの快挙でした。8月21日、野村選手はまたしても1試合2発を記録し、ついにホームラン数は2ケタの10本に到達。新人の2ケタホームランは球団史上、鶴岡一人選手が39年に達成して以来、83年ぶりの偉業でした。
 野村選手は50m走5秒8の俊足の持ち主で、開幕直後は“足のスペシャリスト”として代走などで出番を増やしました。節目の10盗塁まであと1つに迫り、10月2日、レギュラーシーズン最終戦を迎えます。この試合は、引き分け以上でソフトバンクのリーグ優勝が決まる一戦。2点を追いかける8回、ツーアウト一・三塁という緊迫の場面で野村選手は一塁ランナーの代走として起用されます。ベンチの狙いは、野村選手が二塁に盗塁して一打同点の場面を作ること。緊張の場面でしたが、野村選手は果敢に盗塁にチャレンジ。判定はアウトでしたが、ビデオ判定でセーフにくつがえりました。これで野村選手は盗塁でも2ケタに到達。ルーキーが2ケタホームラン・2ケタ盗塁を記録したのは、パ・リーグでは37年ぶりの快挙でした。

 

【プロ野球 大関友久投手】

 2019年の育成ドラフト2位で、仙台大学から福岡ソフトバンクホークスに入団したサウスポー・大関投手。キレのあるストレートを武器に2年目には早くも支配下登録を果たし、1軍デビューも飾りました。そして迎えた3年目の22年は、開幕直後から予想外の展開が続きます。先発ローテーション候補のピッチャーの相次ぐ戦線離脱により、大関投手が開幕6戦目の先発に大抜擢されたのです。急きょ巡ってきたプロ初先発のマウンドで、大関投手は7回途中まで1失点、無四球の好投を見せ、みごとプロ初先発・初勝利を手にしました。さらに5月には味方の大量援護の後押しもあって初完封も達成するなど、順調に勝利を重ねた大関投手。前半戦だけで6勝を挙げ、オールスターゲームにも初出場。開催地が福岡だったため、先発のマウンドを任されます。しかし後半戦、思わぬ事態が待っていました。
 8月3日、ソフトバンクは、大関投手が腫瘍摘出のため手術を受けたことを発表。早期発見ということで、大関選手は手術からわずか1ヶ月半後の9月25日、本拠地での千葉ロッテ戦で復帰登板。2回無失点の好投をみせました。最終的に大関投手は7勝を挙げ、防御率は2点台の好成績を記録したのです。

 

【プロ野球 上川畑大悟選手】

 社会人野球の強豪・NTT東日本を経て、2021年のドラフト会議で北海道日本ハムファイターズの9位、12球団全体で最後の77番目に支配下指名された上川畑選手。社会人ナンバーワンショートと評価される高い守備力を持ちながら指名順位が低かった理由は、バッティングに課題があったからです。20年の都市対抗野球でチームは準優勝でしたが、上川畑選手は4試合でわずか1安打。翌年、ベスト4だった日本選手権でも4試合で1安打と、バットは鳴りを潜めました。そこで上川畑選手は一念発起。打撃フォームの改造に着手します。左バッターの上川畑選手にとって逆方向、レフト側にも強い打球が打てるよう、下半身で粘ってボールを呼び込み、しっかりと軸回転で打ち返すスタイルを習得。プロ入りを勝ち取った上川畑選手は、昨年の1軍デビュー戦でプロ初ヒットを記録。守備でも新人らしからぬ落ち着いたプレーを見せ、プロ初盗塁もマークしました。
 その後もヒットを重ねた上川畑選手は、シーズン後半になると、ここぞという勝負どころでもバットで結果を出していきます。9月17日の千葉ロッテ戦。3年ぶりに札幌ドームが超満員となったこの試合で、人生でもはじめてというサヨナラヒットをマーク。新庄剛志監督も今年一番のゲームと評価するほど劇的な幕切れの立役者になりました。さらにこの6日後の東北楽天戦では、延長10回に決勝打となるタイムリーヒットを放ちます。この2本の決勝打は、どちらも意識してきた逆方向への当たり。かつて守備職人と言われてきた上川畑選手は、勝負強いバッティングという新たな武器も手に入れ、打率2割9分1厘の好成績をマークしました。

 

【プロ野球 木澤尚文投手】

 昨シーズン、セ・リーグ連覇を果たした東京ヤクルトスワローズ。しかし先発投手ではサイスニード投手の9勝が最高で、2ケタ勝利を挙げたピッチャーは1人もいませんでした。そこをカバーしたのがリリーフ陣。中でも活躍が光ったのが、中継ぎで同じく9勝を挙げた木澤投手です。慶應義塾大学出身、今年3年目の木澤投手は、2020年のドラフト1位でヤクルトに入団。150キロ台のストレートが魅力で即戦力として期待されましたが、1年目の21年はプロの壁にぶつかり、一軍登板はありませんでした。なぜ二軍でも打たれてしまうのか、自分のピッチングを振り返った木澤投手。伊藤智仁コーチとシュートのマスターに取り組みます。
 迎えたプロ2年目の昨シーズン。木澤投手はバッターの懐を鋭くえぐる新たな球種・シュートを武器に、中継ぎ投手として一軍に定着します。5月8日の巨人戦、2対3と1点リードされた8回に登板した木澤投手は、わずか6球で無失点に抑えると、9回にヤクルト打線が逆転に成功。木澤投手に嬉しいプロ初勝利が転がり込みました。その後も、競り合っている試合の勝負所で起用されるようになった木澤投手。昨シーズンのヤクルトは逆転勝ちが多く、特に木澤投手が投げる試合は、リードされた場面でも味方が逆転して勝ちが付くケースも多かったため、“勝利を呼ぶ男”と呼ばれました。終わってみれば、チームトップタイの9勝をマーク。守護神のマクガフ投手と並ぶ、チームトップの55試合に登板したことも高く評価されました。

  
【プロ野球 長岡秀樹選手】

 昨シーズン、セ・リーグ2連覇を飾った東京ヤクルトスワローズ。チームを勢い付かせたのは開幕戦の大逆転劇でした。その反撃の口火を切ったのが、高卒3年目にして6番・ショートで開幕スタメンに抜擢された長岡選手です。京セラドーム大阪で行われた、阪神との開幕戦。投手陣が打ち込まれたヤクルトは、前半の5回を終えて1対8と7点をリードされる苦しい展開に。続く6回、ツーアウト一塁の場面で打席に立った長岡選手が右中間にタイムリーツーベースを放ち、これがプロ初打点となりました。さらにヤクルトは7回に1点を返し、8回には一挙4点を挙げ、7対8と1点差に迫ります。そして9回には、山田哲人選手のソロとサンタナ選手のツーランで10対7と逆転。長岡選手も4安打の大活躍で、大逆転勝利に大きく貢献しました。これでスタメン定着に大いにアピールした長岡選手。この開幕戦でのミラクル勝利は、長岡選手の野球人生を変える試合になりました。
 ヤクルトのショートは、なかなかレギュラーが定まらなかったポジションでした。そのポジションに、 高津臣吾監督は長岡選手を開幕戦から辛抱強くショートで使い続けます。神宮球場での開幕戦となった3月29日の巨人戦では、6回ワンナウト満塁のピンチで打球をファンブル。決勝点を許すという致命的なミスを犯しましたが失敗を成長の糧にし猛練習に励んだ長岡選手。最終的に長岡選手は139試合に出場。1年間ショートのポジションを守り抜き、打っては打率2割4分1厘、ホームラン9本、48打点をマーク。長岡選手がホームランを打った9試合は、全てヤクルトが勝つという不敗伝説も生まれました。守備の名手を讃える「ゴールデングラブ賞」も受賞し、今シーズンから背番号が「7」に変わる長岡選手。今年の目標は、ひとケタの番号にふさわしいチームの顔になることと、リーグ3連覇、そして日本一奪回です。

 

来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!

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    パーソナリティ
    • 滝本沙奈
      滝本沙奈
      滝本沙奈

      滝本沙奈

      生年月日:1984年6月6日
      出身地:東京
      学歴:青山学院大学文学部英米文学科卒
      趣味:マリンスポーツ(ダイビング、サーフィン、釣り)
      資格:PADIオープンウォーターダイバー、おさかなマイスターアドバイザー

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