3月6日のゲストはNPO法人eboard 代表理事の中村孝一さんでした

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【スタッフMの番組報告】

先日、高校3年生の息子の卒業式が無事に終わりました。思えば、彼らの世代が中学卒業式あたりから、コロナ禍は始まり、高校の入学式が行われたのも6月の暑い初夏で、在校生もいなければ、クラスごとマスクは2時間つけっぱなしの味気ない入学式でした・・・。

あの時は、この暮らしが卒業までの3年間も続くなんて誰も予想だにしていなかったわけで・・・。
きっと彼らが大人になった時、「コロナ世代」なんて言われたくもない呼び名でくくられてしまうのでしょうね。

こればかりは、彼らの意思ではどうにもならなかった事態なので、親としてはなんだか複雑な気持ちではありますが、オンラインでの学習、身体接触のある体育や部活の制限、昼食時の黙食、こうした「新しい学校の在り方」が問われた節目の世代であったことは間違いありません。

このことに関しては、さまざまな意見があるかと思います。でも、マスクなしの卒業式での彼らの晴れやかな顔を見ていたら、この不測の事態を乗り越えた逞しい世代なのだ、と頼もしく思えてきました。

まだ18歳。人生はこれからが長いです(笑)。新しい価値観の中で学んだことは一生の宝物として、大きくはばたいてほしいです。この春、卒業を迎えるすべてのみなさんが新しいステージでも活躍できますように・・・。

さて、この学びの変化というテーマにおいて、今回の「阿部亮のNGO世界一周!」では今の社会にピッタリのゲストをお迎えしました。2013年から、教育プログラムの動画配信を続けている、NPO法人eboard代表理事の中村孝一さんです。

右:NPO法人eboard 代表理事の中村孝一さん

コロナ禍になって、多くの学校で生徒が一人一台タブレットを持つようになり、インターネットでオンライン授業を受けることが当たり前の世の中になりました。今まで対面で机を並べて学んでいたものが、オンラインで同じ授業を双方向に受けられるというのは、一昔前では想像も出来なかったことですよね。

しかし、こんなコロナ禍になるはるか昔の2013年に、「ネット上にいつでもどこでもアクセスできる動画教材があればなー」という中村さんんの強い思いから、eboardは立ち上げられたのです。すごいですよね。

でも10年前にこの仕組みを考え、教育現場や不登校のお子さんがいるご家庭に理解してもらうのは相当大変だったと思います。

中村さんのお話の中で印象的だったのは、こういう事業を成功させていくにあたって、勉強ができる子の意見やペースに合わせていくのではなくて、勉強が苦手な子どもたちが、何につまづき、どういうシステムが学びを定着させやすいのかを、必死に考え取り組んでいるということでした。

デジタルドリルを作って、まずドリルを解いてみて、わからなかったら映像授業を見て学習するという流れにすると、勉強が苦手な子でも学習意欲が増す子が増えてきたそうです。なるほどー、たしかに、学ぶ順番て大切かもしれないですね・・・。

たくさんの苦難が襲ったコロナ禍ではありますが、中村さんたちeboardが描いていた教育の理想の形が、思わぬ形で実現していったということなのかもしれません。今では、毎月20万人以上の子が約2000カ所の教育現場で
学んでいると言いますから、マンモス校ですよね!

また、中村さんが映像授業において工夫していることの一つに、「講師の顔を出さない」ということがあるそうです。勉強が苦手な子は先生の顔が映るとしんどくなってしまうようなので、尺も短めに優しい言葉で講師の顔出しなしで授業をすることを心掛けているんです。

大手の塾や予備校の映像授業では、先生がバーンと全面に出てきますが、そういうのが苦手なお子さんもいるのですね・・・。勉強になりました。

また、今の子どもたちはYouTubeやTikTokなどで動画を視聴して目が肥えているので、冒頭30秒くらいでしっかり心を掴む内容でないと飽きられてしまう、と中村さんはおっしゃっていました。

現代っ子のニーズに合わせて多様に変化を遂げるeboardすごいです・・・。

中村さんは、聴覚障害の人向けに多くのボランティアの人の協力のもと、映像授業に字幕を付けるという作業を実行したのです。名づけて「やさしい字幕」。この地道な活動が認められ、SDGs内閣官房長官賞を受賞したことは、本当に喜ばしいことです。

中村さんは「字幕は、学びの手すりだ」とおっしゃっていました。
たしかにそうですよね。階段やエスカレーターなど手すりがある場面、なくても移動できる人もいれば、手すりがないと動けない方もいる、手すりがあれば動けるのに手すりがないからと移動を諦めてしまった方にとって、こんなもったいないことはないですよね。

中村さんたちeboardは、この学びの手すり=字幕さえあれば、学べるという子どもたちが学ぶことを諦めないように、この「やさしい字幕」をつけ続けているのです。

「誰も取り残されない、学びを諦めない社会」

中村さんたちeboardの目指す未来は、明るく優しく、コロナ禍で混沌としたこの時代にこそ必要なコンテンツであることを実感いたしました。

これからのeboardの活動から目が離せません!

もうすぐ年度末がやってきます。学校に行って学ぶことが少し苦手な方も、新しい環境での学びに不安がある方も
今の日本ではNPO法人「eboard」のような優しい団体が、学びをサポートしてくれます。諦めないでぜひトライしてみてはいかがでしょうか・・・。

NPO法人eboardについて詳しくお知りになりたい方は公式HPをご覧ください。

https://info.eboard.jp/


次回の放送もお楽しみに・・・!