2月27日のゲストは、一般社団法人「TEN-SHIPアソシエーション」代表理事 戸所信貴(とどころ・のぶたか)さんでした

  • LINEで送る

【スタッフMの番組報告】

2023年に入って早々、私には大きなミッションがありました・・・。
高齢の両親が、施設に移って早3年。ついに実家のマンションを売却して、荷物などを全て整理しなければならなかったのです。

いやー、この経験ある方、いらしたらおわかりかもしれませんが、本当に大変でした・・・。

まず、性格もあるかもしれませんが(笑)、実家の母は、とにかく物を大切にとっておいて捨てない人で・・・。
レシート、領収書などの紙から、古い写真、置物、人形などなど挙げたらきりがないものだらけで。その処分、片付けに費やす時間は半端ないものでした。やはり、思い出が詰まっているものはそう無下にはできないですよね・・・。(わたしも母の血が流れているもので(笑))

ぎっくり腰も途中で経験しながら、思ったことがありました。「この作業を、高齢の両親だけでやるのは無理だな」と。高齢になればなるほど、掃除、片付け、など身の回りのことを自分でやるのが困難になっていきます。
それは、自分の両親を見ていてもつくづく感じております。

今回は、超高齢化社会のこの日本で、そうしたお年寄りが困ったときにサポートをしてくれる、「町の便利屋さん」の方をゲストにお迎えしました。渋谷区笹塚、幡ヶ谷を中心に活動する、一般社団法人「TEN-SHIP アソシエーション」代表理事の戸所信貴(とどころ・のぶたか)さんがそのお助けスーパーマンなのです!!!

左:一般社団法人「TEN-SHIP]アソシエーション 代表理事 戸所信貴さん

元々は建築業界の仕事を10年くらいやっていらした戸所さん。あるとき親が病気で介護保険を利用することになり、その仕組みを知れば知るほど、高齢者の身に起きる生活の困りごとをもっとどうにか解決してあげたいという気持ちになったそうです。

この戸所さんのお話。私も聴いていて、うなずくことばかりでした。放送を聴いた方の中にもそういう方多かったのではないでしょうか。介護保険制度は、高齢者であれば、病気の有無関係なく利用する権利はあります。ただ、
介護5~要支援2まで、その細かく分けられた等級の中で自費を払わずに納得のいくサービスを求めていくのは
なかなか厳しいのが現実、ということに多くの要介護者を持つ家族の方なら気づかされてしまうのですよね・・。

お年寄りの方は体調も日に寄りますし、助けが必要な事例も人によって大きく異なります。でも、国の制度の下ではそうしたさまざまなケースすべてをフォローしてもらえるわけでもないので、結局は家族がどうにかしないといけない、そうなったときに、身寄りのない一人暮らしの高齢者の方などは、誰に頼れば・・・となってしまいます。もちろん、ケアマネージャーさんの存在も大きいとは思いますが、それにも限界がありますよね。

そんなときに、とにかく何でもやりますよ!という、戸所さんのような「街のお助け便利屋さん」的存在は本当にありがたいと思います。

戸所さんは地域包括支援センターに12年勤務した後、2019年に、現在の一般社団法人「TEN-SHIP アソシエーション」を立ち上げました。

昔は「向こう三軒両隣」お互いに支え合うことが当たり前だったライフスタイルも、時代の変化と共にご近所付き合いも減り、親切で時におせっかいな「隣のおじさん、おばさん」みたいな存在がいなくなっている、そういう存在になれたら・・・と、戸所さんはおっしゃていました。

高齢者の方々はどんな困りごとが多いのか・・・。伺ってみたら面白かったのが、一番多いのは植物に関する依頼なんだとか。夏は草むしり。伸びきった植木の剪定、庭の水まきなどなど。たしかに、昔からの一軒家にお住いの高齢者の方にとって、庭の草木の手入れは一番後回しになりがちだけども、やらないと大変なことになってしまいますよね・・・。

「TEN-SHIP アソシエーション」の料金設定がまた、良心的でわかりやすいんです!

★健康や生活の不安や愚痴を聞いて欲しいなどの「生活相談サポート」は無料
★エアコンのフィルター掃除、電球交換など「30分サポート」は300円
★草むしり、部屋の片づけなどの「しっかりサポート」は30分ごとに1300円

介護保険をお使いの方ならおわかりかと思いますが、介護保険の点数の範囲でお願いできるサービスももちろんありますが、制度上できる範囲や時間などにかなり制限があって自由に頼みづらいことが多いので、こういう風に
時間と内容ではっきりと料金が提示されていると、高齢者の方も依頼しやすいですよね!

戸所さんの柔和な笑顔と真摯な対応が実を結んで、今では相談は月に300件。依頼に応えてサポートする回数は
月に150~200件くらいだそうです。このサポートの調整を戸所さん一人でやってらっしゃるのですから、本当に頭が下がります。

戸所さんのお話の中で印象に残っているのが、「高齢者の方のおうちでサポートをしていると、多くの方が、「昔は自分でやってたのよ・・・」とさみしそうに語られる方が多いんだそうで。でも、昔話なんかを聞きながら、依頼されたことを一緒にやってあげると、「あら、できたわ!」と、嬉しそうな顔に変わる瞬間に遭遇するので、それを見ると、この仕事をやっていてよかったなと思う」とおっしゃていたこと。

誰でも、人にやさしく、そう生きたいと思っていても、人間どこかで自分勝手な部分がでてきて、惜しみない優しさを注げなくなってしまいます。でも、戸所信貴さんという方は違いました!本当に渋谷区笹塚、幡ヶ谷に住みたい!と思ってしまうほど、大都会にこんな温かい人が、団体が、あるなんて・・・。

収録スタジオは、今もまだ写真にあるようにパテーションを使用しているのですが、収録前にそれをおぼつかない手つきで組み立てる私に、さっと手を差し伸べてくださる戸所さんは、さすがでした!

人と人が直接会って、コミュニケーションを取ることが、コロナ禍を経てさらに減ってしまった現代。でも、それによって取り残されてしまう高齢者の方が増えてしまっては、あまりにも悲しいですよね。

「より多くの街を、誰も取り残されない街にしたい!」

戸所さんの力強い今後の目標、絶対実現してほしいです!これからも応援しております!

一般社団法人「TEN-SHIPアソシエーション」の取り組みについて詳しくお知りになりたい方は公式ホームページをご覧ください!

https://tenship.org/

次回の放送もお楽しみに!