2月20日のゲストは、「グリーフサポートやまぐち」代表の京井和子さんでした

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【スタッフMの番組】

先日、車を運転していたら、目の前のトラックが思いっきり信号無視をして猛スピードで走り去っていくのを見かけました。我が家のそばは、通学路になっているところに車の抜け道みたいな細い傾斜の道があり、そこを抜けるとたしかに近道ではありますが、スピードは出るわ、通学途中の小学生は多いわ、私は怖くて絶対に利用しません。でも、毎日仕事で車やトラックを運転するドライバーさんにとっては、その「ちょっと」の面倒と油断で、近道を利用してしまうんでしょうね・・・。事故が起きてからでは遅いのに・・・。

その「ちょっと」の気持ちの緩慢が、自分や家族や多くの人を不幸にする結果を引き起こしかねない、ということを私は今回のゲストの方に教えていただきました・・・。

今回のゲストは、山口県防府市を拠点に、交通事故で家族を亡くされた方や、病気や自殺で家族を失った方などに寄り添いサポートを続ける団体、「グリーフサポートやまぐち」の代表 京井和子さんに、有楽町のスタジオにお越しいただきました。

右:「グリーフサポートやまぐち」代表 京井和子さん

京井さんは、20年近く前、4歳の娘さんを飲酒運転による交通事故で亡くされています。今では、ニュースでも
よく耳にする「危険運転致死傷罪」という言葉ですが、当時はまだ、飲酒運転の罰則が軽く、執行猶予3年、180日の免許停止の処分だけだったと言いますから、京井さんはじめご家族のやるせなさ、憤りは計り知れません。

2001年に危険運転致死傷罪が施行され、2004年に犯罪被害者等基本法の制定、2009年には裁判員裁判制度のスタートと、今まで置き去りにされがちだった犯罪被害者の権利を守る法整備が進んでいきましたが、京井さんのようにそれ以前にも悲惨な事件、事故の被害に遭われた方たちはたくさんいます。

京井さんは自分の経験した憤り、やるせなさ、そうした思いから、法制度が整っていく社会の流れの中で、2016年に、事故や病気で死別の悲しみに暮れている多くの方々が心の声を吐き出せる場所を提供し、寄り添っていく団体を作ろうと、「グリーフサポートやまぐち」を立ち上げたのです。

とっても優しい笑顔の京井さん。深い悲しみを心の奥に抱えながら、二度と同じ被害者を作りたくない、という強い志が、お話の随所に垣間見られました。

そんな京井さんが収録中語った言葉で、私が印象に残ったのが
「全国の交通事故被害者・遺族の方と署名活動をしたとき、人を頼っていいんだ、と初めて思った」というものでした。何気ないこの言葉の裏には、幼い娘さんをある日突然奪われ、残された息子さんのケアもしながら、お一人でずっと闘ってこられた京井さんの本音がつまっている気がしました。

先ほど挙げたような法律が施行されても、まだまだ、日々、交通事故のニュースは後を絶ちません。最近は飲酒運転への危機意識が高まった反面、高齢者ドライバーによる悲しい事故が多くなっていますよね。高齢者だから
では、言い訳になりません。高齢者ドライバーのいるご家族も含め、みんなで考えていかねばならないし、免許返納を叫ぶだけではなく、国も本気で対策を講じていかねばならないフェーズなのかな、と思います。

京井さん率いる「グリーフサポートやまぐち」では、学校、企業、トラック協会などで、年間30~50回ほど講演をしているそうです。「誰でも被害者にも加害者にもなりうる!」このことを改めて私たちが肝に銘じて日々生きていかねばなりません。そして、被害者にも加害者にも家族がいて、自分の起こしてしまった事故、遭ってしまった事故で家族がどん底の悲しみに落とされてしまうことも現実としてしっかり意識しないといけないなと強く思いました。

私もほぼ毎日車を運転します。幸い、今まで交通事故に遭遇した経験はありません。でも、だからと言って、常に意識高く運転をしているかと問われると、早朝眠気と闘いながらハンドルを握っている時や出発が遅れて急いでいる時などなど、振り返れば、速度や一時停止の標識など、適当にやり過ごしてしまった自覚、何度もあります・・(猛省)

運転される方の中に私のような方がいらしたら、本当に気を引き締めて、ハンドルを握りましょう!!!

お仕事で車を運転される方なんかは、特に、さまざまな体調、状況でハンドルを握らないといけないですよね。
ラジオリスナーの方の中には、長距離ドライバーさんもたくさんおられるかと思いますので、みなさんがお仕事でがんばったことが、先ほどから何度も出てくるこの「ちょっと」の隙で吹っ飛んでしまうんだ、ということだけ
どうかお忘れなくいましょう!!!

1月にこの番組にゲストでお越しいただいた一般社団法人「リヴオン」の尾角光美さんも、大切な方を亡くした方に寄り添う「グリーフケア」をされていました。日本ではまだまだ「グリーフ」という言葉が浸透していないかもしれませんが、さまざまな形の喪失感というものを、自分の速度でじっくり受け入れて、寄り添ってくれるこうした団体の存在というのが、本当に今の時代には必要だなと尾角さんや京井さんのお話を聴いて痛感しました。

番組の最後で、京井さんが阿部さんから原動力を聞かれて、「原動力は我が子です!!」とはっきり、そしてニッコリ、力強く答えていたのがとても印象的でした。あの時の京井さんのお顔は、愛する我が子を大切に思う、最高のお母さんそのものでした!

もちろん、悲しい事件、事故、病気などさまざまな理由で大切な人を亡くされた方の笑顔のために、京井さんたちが活動されていることは言うまでもありません。でも、京井さんが多くの人に講演をしながら、そういう悲しい事件事故を防いでいこうとお話をされるときにいつも心にいてくれるのは娘さん、息子さんの存在なんだというのが
伝わってきて、胸が熱くなりました。

「子どもたちがこれから生きていくのに、住みよい世の中であってほしい・・・」

京井さんのメッセージは、今を生きる、これからを生きる、すべての人たちに向けられたものとして、私も大切に生きていこうと思いました。

2月、3月は教習所で運転免許を取得する若者も多いと思います。いつまでも、若葉マークをつけて走るときの緊張感、責任感を忘れずに・・・。

「グリーフサポートやまぐち」のさまざまな取り組みについては、公式ホームページをご覧ください。
https://griefyamaguchi.amebaownd.com/

次回の放送もお楽しみに!