1月23日のゲストは、認定NPO法人「10代・20代の妊娠SOS新宿ーキッズ&ファミリー」理事長 佐藤初美(はつみ)さんでした

  • LINEで送る

【スタッフMの番組報告】

先日、日本の性教育が世界のスタンダードとかけ離れている、というニュースを目にして、18歳の息子を持つ私としては、「え?そうなの?」という驚きとともに、欧米では5歳からもう性教育をしている、という驚愕の事実を知りました。

高校生の息子に聞くと、保健の授業とは別に性教育の授業が何度かあると聞いただけで、昭和世代の私はとても
驚いたのですが、どうやら、このニュースを見る限り、恥ずかしながら、私こそ時代の流れに乗り遅れているお母さんだったようです・・・。

それもこれも、望まない妊娠、出産の末、乳幼児を虐待して死に追いやったり、生後すぐの赤ちゃんの尊い命が奪われたり、そんな悲しいニュースがはびこる昨今の日本では、きちんと性教育を若者たちにしていかねばならないのも頷けます。

今回の「阿部亮のNGO世界一周!」は、新宿を拠点に活動する認定NPO法人「10代・20代の妊娠SOS新宿ーキッズ&ファミリー」(以下、「妊娠SOS 新宿」と書かせていただきます)理事長の佐藤初美(はつみ)さんをゲストにお迎えして、そうした現代日本の若者が抱える悩みや社会の仕組みの問題点などについて鋭く切り込んでいただきました!

右:「妊娠SOS新宿」理事長 佐藤初美(はつみ)さん

佐藤さんは新宿区で区立保育園の保育士と子ども家庭支援センターの相談員をされていたんだそうです。どうりで
最初にスタジオにいらしたときの、ホッとするような温かな笑みが印象的だったわけです・・・。

40年以上、子どもに関わる仕事に従事してきた中で、行政の中にいては、助けられない子どもたちがたくさんいるという現実に気づき、2016年には認定NPO法人「10代・20代の妊娠SOS新宿ーキッズ&ファミリー」(妊娠SOS新宿)を立ち上げたのです。

助けられない子どもたち・・・。私もとても気になりお話を聴いていると、今の日本の社会では、中3から20代前半に、困った時にそばにいてくれる大人が必要不可欠だと、佐藤さんは感じているそうで、日本では18歳になると児童福祉法の対象からは外れてしまうため、虐待や貧困に苦しんでいても行政の支援が受けられない子たちがでてきてしまう、そういう子たちは愛された経験が乏しい故、社会のいろんな制度を全く知らず、誰にも頼れず、一人で苦しんでいるのだとか・・・。そういう子たちを一人でも多く救うべく、佐藤さんは日夜、大都会新宿で、救いの手を差し伸べているのです。

18歳の息子を持っていながら、今更ながらに知りました。18歳なんてまだまだ子どもであるけれど、制度上はもう児童福祉法からも外れる立派な大人扱いなのです。しかも、さらに親の愛を知らずにその年齢まできてしまった子どもたちにとっては、望まない妊娠をしてしまったり、DV被害などにあっても、どこの誰に相談していいかなんてわからないですよね・・・。

彼女たちにとって、佐藤さん率いる「妊娠SOS新宿」の存在がどれだけ救いになっていることでしょう・・・。

冒頭に書いた、性教育が日本は世界からみてもだいぶ遅れているというニュースにもあるように、中学までの義務教育の中で、きちんとした性教育を受けていないがために、性行為がどういうものかわからずに、生理が遅れてパニックになって、佐藤さんのところに相談してくる10代の女性も多いと言います。でも、よくよく佐藤さんが話を聞いてみると、全く性行為ではない状況なことも多く、安心したら生理がきたという子も少なくないんだそうです。

親の立場からしますと、たしかに、10代の子どもに、「性教育」というものを正面切って説くのは、気恥ずかしさと子どもの理解度への不安から避けてきた自覚はおおいにあります・・・。また、親はどうしても自分の子どもをいつまでも子ども扱いしてしまう、いや、子どもと思いたい節があるのでは、と自分も含めて思っています。
だから、できれば避けていたい、そんな親の甘さ、大人の緩さが、無知な子どもたちに悲しい経験をさせていることも、佐藤さんのお話から反省させられました。

また、今回、佐藤さんのお話の中で驚いたのは、このコロナ禍で多い相談として、家族内での性暴力(母の恋人から、兄から、などなど)の相談がとても増えているということでした。コロナ禍でリモートワークになったり、学校が休校になって、在宅時間が増えたことで、ストレスのはけ口が家族内になっているというのは、とてもとても悲しい話です。でも、現実なんです。

番組の後半では、佐藤さんが望まない性交渉をしてしまったときの対処法についても、わかりやすく説明くださいました。

望まない性交渉から、72時間以内に病院で妊娠を予防するアフターピルを服用すれば、妊娠を避けることは可能です。その病院への付き添いや費用なども、「妊娠SOS新宿」が相談に乗ってくれるそうです。一人で悩み、苦しむことなく、どうかぜひ、こうした佐藤さんたちに相談してほしいです。

「妊娠SOS新宿」では、たとえ中学生であっても、妊娠してしまったあと、産むか産まないかの判断は本人にさせているそうです。中絶はとてもつらい経験ですし、自分で決めなければ、その先の人生もきちんと生きていけないから、と佐藤さんはおっしゃていました。

佐藤さんが最後に、事情があって繁華街で夜を明かす若い女性にこう語りかけました。

「あなたは悪くない。自分の生活がどんな状況であっても、勇気をだして、私たちに相談してほしい。匿名でもきちんと話を聞きますから・・・」

今、混沌とした社会情勢の中で、自暴自棄になってしまっている若者の心の声を拾って、救いの手を差し伸べようと必死に活動している団体、それが認定NPO法人「10代・20代の妊娠SOS新宿ーキッズ&ファミリー」です。

佐藤さんたちの日夜の懸命な取り組みを、これからもずっと応援していきたいです!

詳しくは

https://www.10dai20dai-ninshin.com/


次回の放送もお楽しみに!