8月11日(木・山の日)ニッポン放送ホリデースペシャル 阿部亮のNGO世界一周!~大都会渋谷 子育て支援の現場から~」

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【スタッフMの番組報告】

コロナの第7波が猛威を奮い、猛暑、物価高…楽しみな夏休みが台無しな日々に、もううんざりされている方も多いかと思います。
本来、夏休みのような長期の自由時間にしかできないさまざまな体験が、コロナによって奪われている今の子どもたちは本当にかわいそうに思います。ですが、そんな生きづらさを誰しも感じている時代だからこそ、自分の目指す道、明るい未来のために自分にできる何かを考える、そういう夏休みの時間の使い方もいいかもしれません!

8月11日(木・山の日)午後2時からお送りした、「ニッポン放送ホリデースペシャル 阿部亮のNGO世界一周!~大都会渋谷 子育て支援の現場から~」。この放送で取材させていただいた3つの団体はまさに、今の生きづらい時代に、もがき苦しむ若者、お母さん、幼いお子さんたちを、大都会の渋谷で懸命に支え続けています。

渋谷、と聞くとオシャレで文化や流行の発信地で…とみなさんおそらく、きらびやかな面が真っ先に思い浮かぶと思います。でも、阿部さんも冒頭で言っていましたが、一本路地を行けば閑静な住宅街や昔ながらの商店街もあり、取材を進めていくと、あまり表からは見えづらい、華やかな街渋谷に暮らす若者や子どもたちをめぐる課題が色濃く見えてきました。

まず最初にご紹介したのは、認定NPO法人「フードバンク渋谷」です。

認定NPO法人フードバンク渋谷 事務局長の久保田寿江さん
「渋谷サステナブル・アワード2021」大賞を受賞されたんです!!!

「フードバンク」とは、企業や個人から不要になった食品を集め、必要とするご家庭に無償で配る団体で、食品ロスが叫ばれる今の時代、全国的に広がっています。久保田さん率いる認定NPO法人「フードバンク渋谷」は、渋谷区にある『キングダムシーカーズ』という教会のメンバーが中心となって、食糧支援が必要なご家庭に、渋谷区の生活支援課と連携しながら、≪フードパントリー≫を開催しているんです。

        先日、阿部さんとフードパントリーを取材に行ったときの写真です。
        こういうかんじに、コンテナいっぱいにお米、お野菜、飲み物などが
        入れてあるんです!すごい充実してますよね!
        (1家庭分約10キロあるんです!これはありがたい!)

久保田さんは去年の5月にレギュラー番組にご出演いただいたときも、コロナ禍で、利用者が増えているとおっしゃっていましたが、さらに深刻化するコロナ禍で、利用者も提供してくれる企業も増えたそうです。

久保田さんのお話で印象に残っているのが、渋谷区の場合、家賃が他の区より高いケースが多く、一般的な「相対的貧困」のライン=1か月の所得が約10万円を上回っていても、貧困状態に陥っているケースもあるというお話。また、経済的に困っている家庭が少数派ゆえに、恥ずかしくて手をあげにくいという状況も、渋谷区ならではの課題なのだなと実感しました。

そういう「自分が支援を受けていいのか?」と悩んでいる人たちへの周知はある程度できてきたので、これからは「支援が必要な人」と「支援したい人」を繋げていくシステムつくりに取り組みたいと久保田さんはおっしゃっていました。

SDGs推進の流れの中で、久保田さんの活動に協力したいという企業も増えたそうですが、そうなってくると一番の問題は「保管場所の確保」なんだそうです。渋谷区の理解を得て、昨年末から業務用冷蔵庫を備えた貯蔵庫を使わせてもらえるようになったようですが、需要と供給のバランスからいったら、今後もっともっと必要な気がします!(行政のみなさま。ぜひよろしくお願いいいたします…)

また久保田さんは、ひとり親家庭の居場所支援や、学習支援も行い、活動の裾野を広げています。

優しい笑顔の久保田さんから、「私は、困っている方々の人生の伴走者になりたいんだ」という言葉が聞けたときスタジオにも温かい空気が流れました。

渋谷だけでなく、今は核家族化で地域の縦や横のつながりがすっかり薄れてきちゃっています。さらにコロナ禍もあり、困ったとき、誰に、どこにすがっていいのか、わからないで悩まれている方も多いと思います。

「フードバンク渋谷」の存在が、渋谷という大都会で地域に温かいつながりをもたらしてくれているんだなと実感しました。

認定NPO法人「フードバンク渋谷」の詳しい活動内容についてお知りになりたい方は
https://foodbank-shibuya.org/

次にご紹介したのは、「NPO法人ピアサポートネットしぶや」です。ここは渋谷区内に、中高生の居場所づくりをしようという活動から誕生した「渋谷ファンイン」が母体となって、相談、訪問、学習支援、家族支援などの活動をしています。
渋谷区恵比寿にある事務所に阿部さんがお話を伺ってきました!

    写真左奥;NPO法人「ピアサポートネットしぶや」理事長の相川良子さん
      左前;統括リーダーの石川隆博さん

生きづらさを抱え、何らかの事情で学校へ通えない中高生たちに、彼らより少し年齢が上の高校生、大学生が兄弟や友達のような感覚で「1対1」で相談にのってサポートすることを「ピアサポート」と言います。
親や先生など大人の指示で動くのではなく、ナナメの関係でのサポート、これがピアサポーターの活動なんです。

学校に行きづらくなった中高生だけでなく、その後また事情があってひきこもってしまった20代、30代の方もピアサポートネットしぶやの利用者には多いそうです。

核家族化が進み、昔ならば近所のおじちゃん、おばちゃんが助けてくれたようなことも、今は叶いません。
渋谷区は小中高の学校数もそんなにたくさんあるわけではないので、そこで孤立してしまうと本当に誰を頼っていいのか、深刻な悩みだと思います。

そんなときに、そっとよりそってくれるお兄さん、お姉さん、ありがたい存在ですよね。
ゲームやYouTube、漫画、そういった学校生活の中で普通に友達と語り合うようなことを、ちょっと年上の人生の先輩たちと語り合うことで、自分の居場所ができていくのでしょうね…。

また、「ピアサポートネットしぶや」では、中学校での居場所づくりというのにも取り組んでいて、コロナ禍による長い休みで、学校に居場所がないと感じるお子さんは増えているそうです。
学校内でそういう場所を設けてあげることで、クラスでは緊張して自分が出せず苦しい子も、自分探しのヒントが見つかるのかもしれません。

コロナだから…と諦める前に、こういう活動をしている団体に出会えたら、都会の中高で悩む若者たちの生き方も変わっていくはずですよね。

番組後半では、実際に子どもたちと接している「せせらぎファンイン」の小水映さんと「原宿ファンイン」の鈴木由紀さん、安藤多佳美さんにもお話を伺いました。

みなさん、表参道や原宿など本当にオシャレな街の一本通りを入ったところで、いつも変わらぬ笑顔で子どもたちを迎えてあげているんです。

都会に暮らしているからなのか、いまどきの子どもだからなのか、ファンインに来る子どもたちはみんな、聞きわけのいい子ばかりだそうです(笑)怒られるような遊びはやらず、いい子でいすぎる子どもたちを見て、小水さん、鈴木さん、安藤さんたちは、多くを詮索せず、子どもたちのやりたいことをなるべくやらせてあげるように努めているそうです。

「見守る」こと、これが一番大切で一番難しいこと、親の私には痛いほどわかるだけに、地域にこんな優しい方がいる渋谷区がうらやましく思えました。

何かと生きづらさを感じやすいこの時代、追い打ちをかけるコロナ禍。
不登校、ひきこもり、ニート、そういった言葉だけが独り歩きして、世間で責められているような気がします。

しかし、今回このスペシャル番組で取材させていただいた3団体のように、問題の原因を必死に考え、ひとりひとりに寄り添いサポートする、この当たり前なようで一番難しいことに懸命に取り組んでいる人たちもいるんです!

華やかな大都会渋谷の一角に、こういった陽だまりのような温かい場所が存在していることを、子どもたちの成長を見守る素敵な大人たちがいることを、この放送をきっかけに多くの方に知っていただけたら幸いです。

「NPO法人ピアサポートネットしぶや」、「渋谷ファンイン」の詳しい活動をお知りになりたい方は
https://peersupport.jp/
           


    NPO法人「ピアサポートネットしぶや」「渋谷ファンイン」のみなさんと阿部さん
    (左から石川さん、小水さん、相川さん、安藤さん、鈴木さん)