8月8日のゲストはNPO法人「アスリード」の共同代表理事 武政 祐(たけまさ・たすく)さんでした

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【スタッフMの番組報告】

コロナに振り回されて早2年以上経つでしょうか…。思いっきり遊びに出かける夏休みを今年こそは…と思っていた矢先の、再びの第7波…。みなさんいかがお過ごしでしょうか。

我が家の高3の息子も高校最後の夏休みですが、部活の試合も無観客になり、大会が開催されるだけありがたいことではありますが、コロナ禍の高校生活で、なにも雄姿(かどうかは、親の贔屓目です(笑))を目にできていなかったので、再びのコロナの猛威に、肩を落として過ごしております。

そんな高3の息子も、進学、進路の話をよくするようになりました。最近では学校の授業でもキャリア教育なるものが取り入れられているそうです。
社会に出る前に、どんな職種が世の中にあるのか、現場の方のリアルな声を聞けるなんて、今の子たちは幸せですよね―。(昭和な母にはうらやましいかぎりです)

しかし、こういうキャリア教育の重要性が唱えられるようになった背景には、少子高齢化や教育格差などで、進路選択の時に「未来に希望が持てない」という若者が増えている現実があるようです。

「阿部亮のNGO世界一周!」、今日から2週に渡ってゲストにお迎えしたのは、そんな若者たちに「何のために働くのか」を考える機会を提供している団体、NPO法人「アスリード」の共同代表理事 武政 祐(たけまさ・たすく)さんでした。

右:NPO法人「アスリード」共同代表理事 武政 祐(たけまさ・たすく)さん

         

武政さんは大学卒業後、OA機器の会社に就職しましたが、中に入ってみて、企業としての風土が整っていない現実から、入社して3年でうつ病になってしまったそうです。そのときに、「もっと学生時代に将来のことを真剣に考える機会を持つべきだった」と痛感して、自分のような後悔をする若者を減らしたいという思いから、中高生向けに職業を紹介する冊子を制作する仕事を始め、現在の「アスリード」に成長していったのです。

日本では3年以内の離職率が高卒で4割、大卒で3割、そんなミスマッチに加えて、最近の若い世代によく聞く
「自分なんて…」という自己肯定感の低さ、こういう状況に置かれた日本の若者の救世主として、武政さん率いる
「アスリード」は立ち上がったのです。

放送で阿部さんも、「日本は大丈夫なのか・・・」と呟いていましたが、私も武政さんの口から数字として聞いてしまうと愕然といたしました。社会に出て働くということは、たしかに生易しいことではありません。それはどんなに時代が変わっていっても、そう思います。でも辛く、大変なことを乗り越えてこその喜びを知る、ということが
働く意義であると、今の若者世代が感じられないのだとすれば、ちょっと寂しいですし、阿部さんと同様、私も少し心配になってしまいました…。

でもよくよく考えてみたら、時代が変わって、働き方も、幸せの価値観もだいぶ多様化した今、「将来やりたいことがない」のではなくて、「将来やりたいことが見えにくい」くらいに選択肢が多いのかもしれませんね。
「アスリード」では、どんな環境でも自分で力強く歩いていく力を「生き抜く力」と呼んで、その力が身につく
お手伝いをしていることがよくわかりました。

今回の放送では、「アスリード」の活動の4つの柱のうち3つをご紹介いただきました。
1つ目は、地元企業が中学校や高校に赴き、仕事や生き方について語る「みらいティーチャー」。

この試み、最近では本当によく聞くようになったキャリア教育の一貫ではありますが、アスリードの場合、「キャリア共育」と謳っているんです。中高生は職業講話を聞くことで具体的な職業の実態を掴むことができ、授業を行う企業側は生徒に話をする前に、自分のキャリア人生を振り返って、いわば人生の「棚卸し」という作業ができる
と武政さんはおっしゃていました。

これには阿部さんも、「自分のキャリアの棚卸しは大切!」と大きくうなずいていました。本当にそうですよね!
「阿部亮のNGO世界一周!」、この番組も放送開始から早12年がたちます。そろそろ棚卸ししておいたほうが
よいかもしれませんね(笑)

「勉強しなさい!」⇔「勉強って将来何に役立つの?」そんな押し問答が当たり前だった昔の学校教育からすると
「アスリード」のような団体の登場で、中高生たちは未来を描くうえでの輪郭がはっきりしてくる、阿部さんも納得の言葉でした。

2つ目は「みらい百花」という雑誌の発行です。これは地元の企業でいきいきと働く社会人へのインタビュー記事を掲載して、働く楽しさを伝えています。社会をリアルに学べる貴重な冊子として学校の授業の教材にも使われているそうです。

    
                            「みらい百花」は、アスリードのHPからもPDFでダウンロードできます!

3つ目は「わたしごと」という動画で、こちらは働く「人」にフォーカスした内容で、会社から紹介されたイチ押し社員さんが登場するんです。

働くということは、もちろん生活していくために必要不可欠なことでもあります。でもそれだけになってしまうと
将来になかなか希望が持てなくなる、だから、いきいきと仕事を自分事のようにとらえることが大切、という武政さんのお話は、多くの方の心に刺さったのではないでしょうか…。
「ライスワーク」ではなく、「ライフワーク」に巡り会えるように、武政さんの思いやりが私の心にも刺さりました…。

エンディングで武政さんが、「日本にはドネーション(寄付)文化が定着しておらず、NPO=ボランティア、食べていけないというイメージも根強くあるので、アスリードが社会的にも経済的にも自立して、1つのロールモデルになっていきたい」とおっしゃっていましたが、素晴らしい目標ですよね!

仕事に誇りをもっていきいきと働く若者が増えることが、今の混沌とした空気漂う日本を明るくしていくことでしょう。「アスリード」の挑戦から目が離せませんね!

来週は、アスリードのもう1つの活動、居場所支援「SAKURA🌸cafe」について詳しく伺います!

収録日の気温は、30度を超える猛暑日でしたが、武政さんはネクタイ姿でスタジオにいらっしゃいました。その理由も、来週明かされます!そちらもぜひお聴き逃しなく!

≪番組からのお知らせ≫
8月11日(木・祝)午後2時~3時、「ニッポン放送ホリデースペシャル 阿部亮のNGO世界一周!~大都会
渋谷 子育て支援の現場から~」というスペシャル番組が放送されます!華やかな大都会渋谷で、食の支援をする団体「フードバンク渋谷」と生きづらさを抱える若者たちに寄り添う団体「ピアサポートネットしぶや」「渋谷ファンイン」へ、阿部さんがお話を伺ってきました。
渋谷に持っているみなさんのイメージがガラッと変わるかもしれませんよ!都会にもこんな温かい場所があるんだと…。
夏休み真っ只中の今、たくさんの方に聴いていただきたい内容満載です!こちらもお楽しみに!