
左:NPO法人「アスリード」共同代表理事 武政 祐(たすく)さん
【スタッフMの番組報告】
コロナの第7波、物価高、猛暑、せっかくの夏休みなのにー、という嘆きの声があちらこちらで聞こえてきます。
気分爽快な夏の日は、なかなかやって来ないですね・・・(涙)
さて、11日のスペシャル番組「阿部亮のNGO世界一周!~大都会 渋谷 子育て支援の現場から~」みなさんお聴きいただけたでしょうか…。その中でも、大都会に生きる若者の「居場所支援」というものが取り上げられていましたが、先週に引き続き今週もゲストでお迎えした武政祐(たすく)さん率いるNPO法人「アスリード」も
また、若者の居場所作りに力をいれているんです。
先週の放送で、アスリードの活動の4つの柱のうち、3つをご紹介しました。地元の企業の人が中高に出向いて仕事のやりがいなどを話す「みらいティーチャー」、様々な職種の人にフォーカスした冊子「みらい百花」の発行、
働く人へのインタビューをまとめた「わたしごと」という動画の配信、の3つでした。
今回は、最後の柱である「定時制高校での居場所作り」について詳しく伺いました。
武政さんが定時制高校に居場所を作ろうと考えたきっかけは、2015年に起きた川崎での中学生の殺人事件だったそうです。どうにかして子どもの居場所を作ろうと、川崎市教育委員会からの委託事業として、今は川崎市立高津高校の定時制で、毎週水曜日の午後4時から10時まで「SAKURA?cafe」を運営しています。
武政さんのお話で私も驚いたのが、定時制というと、どうしてもちょっとやんちゃな若者が通っているイメージがありますが、実際には生活保護世帯や、障害を抱えていたりなど、様々なバックグラウンドを持つ生徒が多いので
定時制に入学した生徒のうち4割は途中で辞めてしまうという…。
学習意欲があるとかないとか、そういう問題以前に、家庭環境などのやむを得ない事情で、中途退学せざるを得ないというのは、本当に悲しいですし、周囲の助けでなんとかならないものか、と思ってしまいますよね。
そこで救世主としてあるのが、「SAKURA?cafe」というわけです。
進路の相談から、恋の相談、勉強のサポートなど、cafeにいるボランティアの方たちが親身になって、生徒たちを支えているんだそうです。
武政さんは、このボランティアの方たちと生徒の関係を、「親でもなく、先生でもないナナメの関係」と称していました。これにはなるほど!と唸ってしまいました。
ナナメの角度からのアドバイスは広く、深く、きっと悩める生徒たちの心に突き刺さるんでしょうね!
また、番組後半では、「SAKURA?cafe」に通う生徒たちの多くが相談を持ち掛けるという【就職】についての話題が…。
みなさんは、高校生の就職活動についてどれくらいご存知でしょうか?
お恥ずかしながら、私は全く知らなかったので、武政さんから聞いた高校生の就職活動の実態は目からうろこでした。
私のようにご存じない方のために、ここで少し、高卒就職の独自の文化やルールを簡単にまとめますね。
①学校斡旋(あっせん)
高校生の就職活動は、学校斡旋という、学校推薦を受けて就職活動を行うのが一般的です。採用したい企業は
求人内容をハローワークに提出し、発行された求人票を高校へ送ります。高校生は、学校に届いた求人票の中
から受験先を選びます。
→学校斡旋のメリットは、就職後に労働条件などで問題が生じた場合に、ハローワークや学校が間に入ること
ができる点
②一人一社制
高校生は大学生のように同時に何社も応募できるわけではなく、一人一社しか応募できません。
これには理由があって、勉学に時間を費やさねばならない高校生が複数応募することで就職活動に追われ、学校
生活に支障が出ないようにと考えられているためなんです。
③校内選考
基本的には、1つの求人に対して学校から1名応募となっています。
生徒の希望が重なることもあるため、応募をする前に、学校内で評定平均や出席日数などを参考に校内選考を行
います。
どうですか?知らなかったという方多いのではないでしょうか…。
こういう独自のルールがある高校生の就職ゆえ、生徒たちは「SAKURA?cafe」でいろんな大人にアドバイスをもらおうとしているのでしょうね!
最後に武政さんが、就職してから「SAKURA?cafe」に遊びに来た女の子から「初任給が入ったので・・・」
と言って、ネクタイをプレゼントしてもらったエピソードを話してくださいました。
その、ネクタイがなんと、収録につけてきてくださった、このネクタイなんです!!!
30度越えの真夏日に、わざわざネクタイをしめてスタジオに来てくださった理由がこれだったとは・・・。
いい話で、暑さも吹っ飛びました!
武政さんの原動力は「関わった若者から感謝の言葉がもらえた時」。
ピンク色が入ったネクタイは、きっと「SAKURA?cafe」にちなんだその女の子の思いがこめられているんでしょうね。そのネクタイをつけてやさしく微笑む武政さんは輝いていました!
「会社は人」・・・。昔よくそんな言葉を聞かされました。
時代が変わっても、変わらないことなのかもしれません。
武政さんのような温かい人の周りには温かい若者が集い、希望に満ちた若者がどんどん増えていくでしょう…。
NPO法人「アスリード」の詳しい活動についてお知りになりたい方は、
https://aslead.org/
来週の放送もお楽しみに!