8月22日のゲストは、一般社団法人「ケアマネージャーを紡ぐ会」代表理事の宮崎直樹さんでした

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【スタッフMの番組報告】

気づけばもう8月も終わり・・・。ということは…そうです!夏休みも、終わりますよ―!!!
(家族の誰かに聞こえるように大き目の声で(笑))
宿題を今頃になってとりかかる「追い込み派(これは要はおさぼりさんですけどね(笑))」か「きっちりしっかり計画派」か、これは令和になった今も盛り上がる話題ですね…。
みなさんはどちら派でしたか?ちなみに私は極度の追い込み型でして(笑)、今頃が宿題最盛期!という人間でした。大人になるとわかりますね、「なんでも物事は計画的に!」です…(笑)

そんな追い込まれないと動かない幼少期の私に、懲りずにずっとゲキを飛ばしてくれたのが、現在80歳になる母です。以前、このホームページでも書きましたが、母はいまちょっと足腰が弱く、我が家のそばのサービス付き高齢者住宅(サ高住)に住んでいます。そこには、介護の世界に無知な娘の私に色々教えてくれたり、両親のケアをしてくれたり、サ高住・両親・私、の関係を上手くつないでくれる方がいるんです!
それが、≪ケアマネージャー≫という方で、介護が必要な人やその家族にとっては、なくてはならない存在なんです。

今日の「阿部亮のNGO世界一周!」は、そんなケアマネージャーの地位向上と存在意義を、広く世の中の人に理解してもらおうと日夜活動されている方をゲストにお迎えいたしました!
一般社団法人「ケアマネージャーを紡ぐ会」代表理事の宮崎直樹さんです。

左:一般社団法人「ケアマネージャーを紡ぐ会」代表理事の宮崎直樹さん

         
ケアマネージャーというお仕事をみなさんはご存知ですか?お恥ずかしながら3年前に母がお世話になるまで、
私は全く知りませんでした。でもこれが、介護の世界、ケアマネージャーさんの世界の現状なんだと思います。

実際に家族や自分が、介護が必要な当事者にならないと知る由もない、知ろうとしない世界、それが介護の世界。
でも、当事者になった私は本当に思いました。
「当事者になる前に、介護の仕組みをもっときちんと知っておくべきだった…」と。

住宅ローンや子どもの進学などに関しては、多くの方がその仕組みを学んだり、知識を得たり、努力されていると思います。なのに、超高齢化社会の日本ではすぐそこにある未来の、「親の介護」というものからは、やや目を
そらしがちですし、私を含む40代、50代にとっては、介護の問題は、もはや親ではなく自分自身の問題としても考えていないといけないことなのですよね…。

ケアマネージャーさんは、介護が必要になった高齢者を月に一度訪問し、心身状態をヒアリングして、その方にあった支援を調整するお仕事です。例えば、「デイサービス」や通院、在宅リハビリなどのスケジュールを考えたり
介護用品のレンタル手配など、月ごとにかかる費用を試算して、介護保険を使いながら、自費がどれくらいかかるか家族の相談に乗ったり、介護が必要な高齢者とその家族を多方面から支えてくれる存在なんです。

しかしこのケアマネージャーの離職率は非常に高く、実際ケアマネージャーとして働き、問題点をいくつも感じた
宮崎さんは、このままじゃ介護の世界が崩壊すると危機感を感じて、「ケアマネージャーを紡ぐ会」を立ち上げました。ケアマネージャーがやりがいを感じるような研修を開いたり、地域社会に貢献できる人材を育成しているんです。

宮崎さんがあげる、ケアマネージャーの問題点が実にわかりやすく、衝撃的でした。
①つくる書類が多すぎる
②給与水準が低い
③利用者やその家族からのハラスメント

たしかにこれだけ聞いても、こんな悪条件の仕事、なかなか担い手が増えないのもうなずけてしまいます…。

私も先に書きましたように、ケアマネ―ジャーさんと身近で接していて、とにかく毎月渡される書類が膨大なんです。コロナ禍では面会できないので、ケアマネージャーさんからその膨大な書類が郵送されてきて、すべてに捺印して返送するという、このペーパーレスな時代に、本当に驚愕の世界を体感したので、この問題点は非常によくわかりました…。介護保険の点数票みたいなものが膨大に印刷されているものなんですが、正直、素人は見せられても意味がわからないものですし、ケアマネージャーさんの負担を考えると、早急に改善の余地ありと私も思います。

そんな時代錯誤なやり方を強いられて、なお、お給料が安く、あげく、利用者さんから暴言を浴びせられたり、苦痛を伴うことが多いなんて、辛くてやめたくなる方の気持ちもわかりますよね。

でも、これだけの労働環境であってもなかなか大きな社会問題になりにくいのは、私たち国民の興味や関心が低いからだ、と宮崎さんはおっしゃっていました。

そもそもこの「ケアマネージャー」になるための試験合格者は約73万人と言います。でも現在働いているケアマネージャーはおそらく12万~15万人程度なんだと聞いて、ビックリしました。それだけしかいないんです。

宮崎さんが訴えるように、せっかく資格をとってもケアマネージャーの大変さ、過酷さばかりが業界では知れ渡り、担い手が育たないのでは、これからますます進む超高齢化社会の未来は真っ暗になってしまいます。

宮崎さんの言葉でとても印象的だったのは、『「ケアマネージャーはこうあるべきだ」というのを突き付けられて
多くのケアマネージャーさんがそれに苦しめられている。もっと肩肘張らずに楽に取り組めば、ケアマネージャーという職業に誇りと楽しさを感じられるはず!そういう人材を増やしたい」というものでした。

たしかに、私も今まで3人のケアマネージャーさんにお世話になりましたが、みなさん朝から晩まで対応してくださり、真面目な方ばかりでした。介護が必要になると家族は動揺しますし、大変ではありますが、こういう縁の下の力持ちの方々の苦労を、利用する側は忘れずにこちらも思いやりを持って接せねばならないな、と痛感いたしました。

宮崎さんの最後の言葉
「今、世の中はグローバルでデジタルな時代。でもケアマネージャーの仕事はローカルでアナログ。ただ、こういう時代だからこそ、誰かの役に立つと自負できるやりがいを感じてほしい。」

時代がどんなに進んでも、人間にはみな老いがやってきます。阿部さんも言っていましたが、人の助けを借りて
支えあって生きていくことが安心してできる世の中になるためにも、この介護の世界のキーパーソン「ケアマネージャー」の存在意義を私たちはもっときちんと理解するべきですね…。

正解のない介護の世界、あるべき論にとらわれず、その人その人に合ったやり方で、考え方で、ケアマネージャーさんを志す若者が増えていく日本であってほしいな、と、放送を聴いて切に願いました。

実は宮崎さんは、船橋市の市議会議員もされていて、議員としてもケアマネージャーの待遇改善に取り組んでいるんです。そのお話は再来週9月5日月曜日に!(来週は番組お休みです)

どうぞお楽しみに!