5月31日、6月7日はテロリストやギャングなどの紛争当事者に、脱過激化し社会復帰を果たせる道筋を作り、その取り組みが紛争解決に繋がる…と、国連をはじめ海外でも高い評価を受けている団体、NPO法人アクセプト・インターナショナル 代表永井陽右さんです。

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先日、報道されましたが、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区への空爆が続き、ガザで多くの犠牲者が出ました。
またアジア・ミャンマーでは、今も国軍によるクーデター後、国内の混乱はおさまっていません。

そして、1970年代から長期的に内戦状態が続き、未だにテロや紛争が後を絶たない国がソマリア。
そのソマリアの若い兵士達をギャングから更正、社会復帰まで導くという、今だかつて誰もアプローチしていないプロジェクトを実践している方を、2週にわたってご紹介します。

NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事の永井陽右さんです。

ゲスト (右) 永井陽右さん

永井さんは、現在29歳。武力ではなく、平和的なアプローチで「テロと紛争のない世界の実現」を目指し、ソマリア、イエメン、インドネシアなどの危険な地域で、最前線に立ち、活動を続けています。

そもそも永井さんは大学一年だった時の2011年に高校時代の教科書でルワンダの大量虐殺を知り、何かをしたいと思い、早稲田大学入学後、ルワンダを訪れました。しかし訪問した時、ルワンダは平和な国になっていました。途方に暮れた永井さん、経由地だったケニアで数日滞在。
現地のタクシーの運転手に1人じゃ行けない危険なエリアに連れていってもらうと、タクシーの運転手が「この地区(イスリー地区)にいる奴は全員ソマリア人。あいつらは全員テロリスト。クソみたいなヤツらだ」と吐き捨てる様に言いました。

永井さんは、帰国してすぐにソマリアやイスリー地区について調べると、ソマリアでは現在進行系で、凄惨なことが起こっていて、自分が助けるべきはソマリアしかないと思ったそうです。その後、ソマリアからの留学生と「日本ソマリア青年機構」を設立します。
永井さんの話によると、イスリー地区はソマリアギャングたちの巣窟で、国連や日本の外務省も入れないし、入ってはダメだと勧告している危険な地区。
治安の改善がなかなかできないのであれば、自分たちでできるのは、「若者の留学」では?と「あしなが育英会」と一緒にソマリアの紛争孤児を日本に留学させて教育を受けさせるプログラムを企画し実施されます。
その他の支援では、サッカーボールなどの中古スポーツ用品をソマリアに送ったりも。

しかし、次第にこれが自分のしたかったことなのか、根本解決ではないんではないか、と葛藤しはじめる永井さん。
そんなとき、現地メンバーと話をしている中で、ソマリアのイスラム過激派で“アフリカで最も危険なテロ組織”と呼ばれている「アルシャバーブ」の関係者がギャング組織と繋がっていて、妻1人と車1台、50万円の月収を保証するなど破格の条件で若者を引き込み、構成員として抗争に使っていたことを知ります。
彼らはいずれ襲撃や自爆テロを行うかもしれない。ならば同年代の僕らなら彼らにアクセスして、こちら側に取り込むことができるんじゃないか…そうすれば治安を改善できると思ったそうです。この考えが浮かんだ時、これこそが自分が若者だからこそできることだと確信したとか…。
その後 脱過激化・積極的社会復帰を果たせる道を築くことで、テロリストやギャングなどの紛争当事者の自主的な投降を増やし、新たな加入者を生まないようにその循環をつくっています。

収録後の風景。阿部さんも永井さんのお話に興味津々。 阿部亮さんも財団で永井さんの活動を応援することにしました。

永井さんには2020年にリモートで一度出演していただきましたが、今回はスタジオでお話を伺いました。
話の内容は、特にソマリア政府からのオファーでスタートしているソマリア中央刑務所での活動や、投降兵、逮捕者へのプログラムの内容、アクセプト・インターナショナルの活動が評価され様々な賞を受賞された件、ミャンマークーデターの解決策のヒントなどさまざま。
日本の若き紛争解決活動家 永井さんのお話をぜひお聞きください。