夏によく食べるもので、ツルツルとしてノドごしが良い『素麺』についてです。
■今週(7/29~8/2)のテーマ:『素麺』
7/29(月) 『素麺とは』
素麺とは、お水とお塩を加えてこねた小麦粉に植物油を塗って、細く引き伸ばして、天日干しした麺のことです。
3世紀頃、現在の中国で誕生し、日本には奈良時代に伝わったといわれています。
実は“素麺の原型”とされるのは、『索餅(さくべい)』と呼ばれる、小麦粉と米粉を練って作る、お菓子の一種だそうです。
『索餅』の“索”という字には、“縄”という意味もあるそうなんですネ。
写真を見ますと、細長くねじってあって、確かに縄のような形をしてるんですネ。
その後、鎌倉時代になると中国から“麺を作る技術”が伝わり、『索餅』から進化した麺が作られるようになりました。
その麺は『索麺(さくめん)』と呼ばれるようになり、それが『素麺』になったと考えられています。
当時は特別な食べ物で、庶民が気軽に食べられるようなものではなかったそうです。
そんな素麺が庶民の間に広まっていったのは、江戸時代になってからです。
水車の力を利用して、粉をひく機械が誕生し、現在の製粉技術の基礎ができたといわれています。
【感想】
素麺は最初は、お菓子が始まりだったんですネ。
索餅の写真を見ますと、長崎にある『ねじねじ』という固いお菓子に似ているんですネ。
夏に素麺は欠かせませんよネ。
何と言っても、茹で時間が短いのがイイですよネ!
ツルツルとしたノドごしも良くて、ホントに大好きです。
【おことわり】
長崎銘菓のことを『ねじねじ』とお伝えしましたが、
『よりより』、『麻花兒(マファール)』、『唐人巻(とうじんまき)』などの名称があります。
7/30(火) 『素麺と冷や麦の違い』
『日本農林規格・JAS(ジャス)』では、麺の太さが“直径1.3mm未満のもの”を『素麺』、
“直径1.3mm以上1.7mm未満のもの”を『冷や麦』としています。
但しこれは、“機械で作られる麺”に適用される基準で、手作業によって作られる“手延べの麺”の場合、
“直径1.7mm未満の麺”であれば、『素麺』、『冷や麦』のどちらを名乗っても構わないそうなんです。
実際、徳島県の名産の『半田手延べそうめん』の場合、日本農林規格では『冷や麦』に分類されています。
それでも江戸時代から続く伝統や、麺の文化の地域性が認められ、特別に『そうめん』と表記できるそうです。
ちなみに『冷や麦』という名前ですが、
室町時代の頃、小麦粉をこねて細く切った麺のことを、『切麦(きりむぎ)』と呼んでいたそうです。
その『切麦』を温めたものを『熱麦(あつむぎ)』、冷たいものを『冷や麦』と呼ぶようになったそうです。
そんな冷や麦には、ピンクやグリーンなど色のついた麺が入っていること、ありますよネ。
これは素麺と冷や麦を区別できるように、冷や麦に入れられるようになったといわれています。
最近では冷や麦だけでなく、素麺にも入っていること、ありますよネ。
【感想】
素麺と冷や麦の違いは、太さの違いだったんですネ。
また冷や麦に対して、熱麦というのもあるんですネ。
素麺と冷や麦、皆さんはどっちが好きですか?
私たちのスタッフで話した時に、“冷や麦がイイ”、“素麺がイイ”って分かれたんですけども、
どちらにしても夏に食べたくなる麺ですよネ。
7/31(水) 『日本三大そうめん① 三輪そうめん』
“日本三大そうめん”とは、奈良県の『三輪そうめん』、兵庫県の『播州(ばんしゅう)そうめん』、
そして香川県の『小豆島そうめん』の3つの素麺です。
この中で『三輪そうめん』とは、奈良県桜井市を中心とした三輪地方で作られている素麺です。
奈良時代、日本で最も古いとされる神社、三輪山(みわやま)の
大神神社(おおみわじんじゃ)の神主さんの息子さんが、当時、飢饉や病気で苦しむ人たちのために祈りを捧げました。
そして神様のお告げに従って小麦を栽培し、
それを粉にし、湧き水でこねて延ばして糸状にしたものが、“素麺の始まり”と伝えられているそうです。
そんな“手延そうめん発祥の地”で作られている『三輪そうめん』ですが、コシの強さやノドごしが特徴です。
そして同じ『三輪そうめん』でも、『等級(グレード)』というのがあるそうなんですネ。
最も一般的で生産量も多いのが、『三輪の誉(ほまれ)』です。
そして、『三輪の瑞垣(みずがき)』、『三輪の緒環(おだまき)』と続き、
最高級品とされているのが『三輪の神杉(かみすぎ)』です。
1300年にもわたる、手延べの技術をつめ込んで作り上げた“超極細”の素麺です。
この『三輪の神杉』も『三輪の緒環』も、限られた生産者の方しか作ることができないそうです。
【感想】
三輪そうめんは有名で、絶対にいただいたことがあるんですが、あれは『三輪の誉』だったんでしょうか。
最高級品の『三輪の神杉』、超極細の素麺、食べてみたいですよネ。
素麺ってただでさえ細いのに、超極細ってどんななんだろう・・・?
糸みたいなのかなぁ。興味ありますよネ。食べてみたい・・・。
8/1(木) 『日本三大そうめん② 播州そうめん』
『播州そうめん』の“播州”とは、兵庫県南西部の播州地方のことです。
この播州地方には『揖保川(いぼがわ)』という川があって、その水や播州平野で採れる質の良い小麦、
全国でも有名な赤穂(あこう)の塩を使って、素麺づくりが始まったそうです。
そんな『播州そうめん』の中でも、全国的に知られるトップブランドが『揖保乃糸』です。
『兵庫県手延素麺協同組合』さんが製造・販売している、とても人気のある素麺です。
そんな『揖保乃糸』を束ねてある帯の色ですが、“赤”のイメージが強いかと思います。
実は小麦粉の種類や麺の細さ、作られる時期によって、『等級(グレード)』が決められていて、
その違いによって、帯の色も名前も違うそうなんです。
例えば、一般的に知られている『赤い帯』は『上級』で、他にも『金色の帯』の『熟成麺』、
『緑色の帯』の『播州小麦(ばんしゅうこむぎ)』、
『紫色の帯』の『縒(より)つむぎ』、『黒い帯』の『特級』があります。
そして最高級品には、黒い帯に金色で『三神(さんしん)』と書いてあります。
【感想】
昨日ご紹介した三輪そうめんにも『グレード』がありましたが、揖保乃糸にも『グレード』があるんですネ。
最高級品は“三つの神様”と書いて、『三神』。
三輪そうめんの最高級品にも、『三輪の神杉』っていうのがありましたよネ。
“神様が宿るほど美味しい”とか“神に捧げる品物”という意味なんでしょうかねぇ。
こちらもぜひ食べてみたいですネ。
ひとくちに素麺って食べちゃうんですけど、グレードとかあまり考えたことがなかったので、
こんなに細かく分かれているんだなぁ・・・って思いますネ。
8/2(金) 『日本三大そうめん③ 小豆島そうめん』
『小豆島そうめん』は香川県の小豆島で、400年以上前から作られている手延べ素麺です。
小豆島の方が奈良県に立ち寄った際に、素麺の製造技術を学んで、島に持ち帰ったとされています。
小豆島は小麦の栽培に適した気候で、瀬戸内海で取れるお塩があり、
さらに素麺を作る時に使うゴマ油も豊富にあるなど、素麺づくりには最適な土地柄なのだそうです。
そんな『小豆島そうめん』ですが、一説には“一番伸びにくい素麺”といわれているそうなんですネ。
コシが強いんですが、かといって硬いというわけではなく、モチモチした食感が楽しめるのが特徴です。
そんな『小豆島そうめん』を代表するブランドが、
『小豆島手延素麺協同組合』さんが製造・販売している『島の光』です。
『三輪そうめん』や『播州そうめん・揖保乃糸』と同じように、『等級(グレード)』があります。
具体的には、『上級』の『赤帯』と『特級』の『黒帯』、そして“最高品質”とされる『金帯(きんおび)』です。
また小豆島といえば、オリーブが特産で有名ですが、
そんなオリーブの天然素材をたっぷりと練り込んだ『オリーブ素麺』というのもあるそうです。
【感想】
実は私のお店(羽田甚商店)では、小豆島のそうめんを取り扱っているんですが、
確かにモチモチして美味しいんですよネ。
この季節にはサッパリ、ツルツルとノドごしの良い冷たい素麺は美味しいですし、
冬にはあったかくして煮麺にしてもイイし、素麺は常備しておくと本当にイイなと思います。
とっさのお客様にも、サッと出せますしネ。
【今週の感想】
厳しい暑さが続くと、食欲が落ちてしまうことがありますが、
それでも“素麺なら食べられます”という方もいらっしゃいますよネ。素麺、本当に大好きです。
今回、『日本三大そうめん』をご紹介した時、“徳島の半田そうめんは入らないんだ”とか
“長崎の島原手延そうめんは?”といったコメントをいただきましたが、
それだけその土地によって、古くから素麺が作られて、長く愛されているんだなぁ・・・と思いました。
代々伝わる素麺文化、大切にしていきたいですネ。
【お知らせ① 次週(8/5~)からのテーマ】
“夏の風物詩”のひとつ、『盆踊り』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング ♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング ♪To Be / モントルー
2025.04.25
2025年4月21日週 テーマ「シジミ」
お味噌汁の人気の具材のひとつ、『シジミ』についてです。 ■今週(4/21~4/25)のテーマ:『シジミ』 4/21(月) 『日本のシジミ』 &...
2025.04.18
2025年4月14日週 テーマ「本音と建前」
“日本の文化を象徴するもの”のひとつ、『本音と建前』についてです。 ■今週(4/14~4/18)のテーマ:『本音と建前』 4/14(月) 『本音と建前...
2025.04.11
2025年4月7日週 テーマ「遊園地」
遊園地の中で、人気のアトラクションのひとつ『観覧車』についてです。 ■今週(4/7~4/11)のテーマ:『観覧車』 4/7(月) 『観覧車の歴史』 ...
2025.04.04
2025年3月31日週 テーマ「キャベツ」
季節を問わずお店に並んでいて、“いつでも手に入る身近な野菜”のひとつ、『キャベツ』についてです。 ■今週(3/31~4/2)のテーマ:『キャベツ』 3...
2025.03.28
2025年3月24日週 テーマ「切手」
“ハガキや封書など、郵便物に貼るもの”、『切手』についてです。 ■今週(3/24~3/28)のテーマ:『切手』 3/24(月) 『切手の歴史①』 ...