日本には様々な種類があります。『汁物』についてです。
■今週(11/6~11/10)のテーマ:『汁物』
11/6(月) 『汁物の歴史』
汁物の歴史はとても古くて、約6000年前、縄文時代の頃、土器の中に、お水に貝類、海藻、旬の野草などを合わせてコトコト煮たもの、
いわゆる『スープ』が食べられていたことが分かっています。
そして、今や“日本のソールフード”と呼ばれる『お味噌汁』が登場したのは、鎌倉時代といわれています。
この時代、当時の中国から日本へやってきたお坊さまの影響で、すり鉢が使われるようになりました。
当時はお味噌をそのまま食べていましたが、すり鉢で粒味噌をすりつぶしたところ、水に溶けやすいことが分かったそうです。
こうして、お味噌汁が誕生したと考えられています。
そしてお味噌汁の登場によって、
“ごはんを中心に汁物とおかずが一品ずつ”という『一汁一菜』のスタイルが、鎌倉武士の食事の基本となった・・・といわれています。
そして室町時代になると、お味噌汁は武士以外にも広まっていったそうです。
その後、江戸時代になると、農村や山の地域では、具材に様々な野菜やキノコ、
そして海辺の地域では、お魚や海藻を入れるようになり、お味噌汁のバリエーションが豊富になっていきます。
さらに、合わせるお味噌の違いなどもあって、味噌汁の世界はどんどん広がっていきます。
【感想】
お味噌汁、私も大好きで、海外に行く時もフリーズドライのものを持っていくほどです。
鎌倉時代から食べられていたんですネ。
わりとどんな具材でも、合ってしまうのがイイですよネ。
私が一番好きな具材は、ジャガイモとかネギとかワカメかな。皆さんの好きな具材は何でしょうか。
11/7(火) 『けんちん汁』
『けんちん汁』とは一般的に、細かく切ったゴボウやニンジン、ダイコンなどをごま油で炒め、
コンニャクやお豆腐を加え、昆布と干しシイタケのだし汁で煮たものです。
味付けは、お塩とお醤油です。
そんな『けんちん汁』ですが、神奈川県の郷土料理でもあるそうなんですネ。
一説には“鎌倉が元祖”と言い伝えられています。
鎌倉時代、建長寺(けんちょうじ)の初代住職が、野菜をすべて使い切るために、ごま油で炒めてから煮る・・
という調理法を、当時の中国から持ち込んだといわれています。
そして、『建長汁(けんちょうじる)』と呼ばれて食べられていたものが、やがて『けんちん汁』になり、
その後、全国に広まったと考えられています。
『けんちん汁』の場合、一般的にお豆腐を手で崩してから入れますが、
これは修行中のお坊さまが『けんちん汁』を作っている時、お豆腐を誤って落としてしまったそうなんです。
それを見た初代住職が“もったいない”と、拾い集めて、よく洗ってからお鍋に入れたため・・・といわれています。
現在、それぞれのご家庭や地域によって、具材など様々なアレンジが加えられていて、
中には鶏肉を入れるところもあるそうなんですネ。
でも、もともとは精進料理ですので、お肉は入らないそうです。
【感想】
けんちん汁って、建長寺の名前から来てたって皆さん、ご存知でしたか?
私は恥ずかしながら初めて知りました。
私の家でもけんちん汁は、お豆腐を手で崩してから入れてますネ。
お坊さんが落とした・・・というレシピなんですネ。
なんとも微笑ましいエピソードですネ。
11/8(水) 『豚汁』
『豚汁』は地域によっては、『ぶた汁』とも呼ばれています。
その名のとおり、豚肉が入った汁で、他にはダイコンやニンジン、コンニャクといった具材を、だし汁とお味噌で煮込んだものです。
ジャガイモやサトイモといった芋類やゴボウ、油揚げなど具材は様々です。
そして器に取り分けたら、薬味のネギを入れていただきます。
そんな『豚汁』のルーツですが、諸説あります。
例えば、『けんちん汁にお肉を入れた』という説。
『イノシシのお肉を使った「ぼたん鍋」を参考にした』という説。
『明治時代、北海道の開拓をしていた屯田兵(とんでんへい)の皆さんが食べていた「屯田兵の汁」のことを、
『屯汁(とんじる)』と呼ぶようになった・・・する説です。
そんな中、『鹿児島県に古くから伝わる郷土料理、「さつま汁」を参考に作られた』という説があるそうなんです。
『さつま汁』とは、ダイコンやニンジン、ゴボウ、コンニャク、シイタケ、そして鶏肉などを使った“味噌仕立ての汁物”です。
鶏肉を使うのは江戸時代、当時の薩摩藩の武士たちの間で、士気を高めるため、
鶏のオス同士を戦わせる『闘鶏(とうけい)』が盛んに行われていたそうなんです。
戦いに負けた鶏はその場で絞められて、野菜などと一緒に煮込んで食べたのが始まりとされています。
そして鶏肉の代わりに、豚肉を使ったのが『豚汁』とする説です。
【感想】
豚汁は芯まであったまる、冬に恋しくなる汁物ですよネ。
役者にとっては、寒い冬のロケ中にスタッフさんが作ってくれる豚汁、
これが最高に嬉しくて美味しくて、ありがたいものなんですネ。
ちょっと七味をかけるのもイイですよネ。豚汁、食べたくなりましたネ。
11/9(木) 『カニ汁』
汁物の中には、郷土料理になっているものがあります。
例えば『てっぽう汁』です。
こちらは“カニが入ったお味噌汁”、『カニ汁』の中でも、北海道の東側、道東の地域では、このような名前で呼ばれています。
『てっぽう汁』は古くから、“根室地方の漁師料理”として食べられてきたもので、
同じカニでも特に根室地方で水揚げされる『花咲ガニ』を使ったものが有名です。
この『てっぽう汁』という名前なんですが、“お箸でカニの足をつついて食べる様子”が、
“鉄砲に弾薬を詰める仕草”に似ていることが由来といわれています。
鳥取県の『カニ汁』も、郷土料理の汁物です。
山陰地方ではズワイガニは『松葉ガニ』と呼ばれていますが、その中でも『親がに』と呼ばれる、
“メスの松葉ガニ”が『カニ汁』に使われています。
また大分県宇佐地方には、『がん汁』と呼ばれる『カニ汁』があります。
こちらは、川などに生息する『ツガニ』と呼ばれる『モクズガニ』が使われています。
これを殻ごとミキサーにかけて、こしたあとに、お塩を入れて温め、高菜を加えます。
【感想】
『てっぽう汁』も『がん汁』も初めて知る汁物ですが、写真を見ると美味しそうですねぇ~。
北陸や北海道、山陰地方にこの季節に行くと、カニが楽しみですよネ。
カニ汁、ぜいたくな汁物。食べたいなぁ~。
11/10(金) 『だんご汁』
大分県の郷土料理に、『だんご汁』という汁物があります。
小麦粉を練って作っただんごが入った、味噌仕立ての汁物です。
“だんご”といっても、大分の『だんご汁』の場合、形は丸くなくて平たい麺のような形をしています。
同じように、だんごが入った汁物のひとつに、『だご汁』があります。
『だご』とは『だんご』のことで、『だご』が入った『だご汁』は、熊本県や佐賀県の郷土料理として知られています。
同じ『だご』でも、地域やご家庭によって形が違っていて、
佐賀県では“ちぎっただご”が入ったものを『つんきりだご汁』と呼んでいるそうです。
“小麦粉で作っただんごが入った汁物”と聞いて、『すいとん』をイメージされる方、いらっしゃるかと思います。
『すいとん』も『だんご汁』に使われる『だんご』も、小麦粉から作られていますが、
『すいとん』が練った状態でそのままお鍋に入れるのに対して、『だんご』の場合、
練ったあと、しばらく寝かしてから使う・・・といった違いがあるそうです。
また“形の違い”や、“すいとんのだんごは作る時に小麦粉と一緒に、片栗粉を入れることもある”といった違いもあるそうです。
さらに、富山県の郷土料理『三日(みっか)のだんご汁』のように、
小麦粉ではなく、もち米の粉で作っただんごで作られているものもあります。
他にも、だんごを使った汁物は全国にたくさんあります。
【感想】
郷土料理の汁物って、何かイイですよネ。
汁物って、心もお腹も温まる魔法のようなものですネ。
【今週の感想】
お味噌汁をはじめ、日本にはたくさんの汁物がありますよネ。
豚汁やけんちん汁のように、ポピュラーなものもあれば、その土地に行かなければなかなか食べられない汁物もあります。
汁物の世界って、本当に深いと思います。
中には“これは汁物なの?煮物なの?”と区別が難しいものもあるそうです。
これからだんだん寒くなっていきますので、ますます汁物が恋しくなりますよネ。
【お知らせ① 次週(11/13~)からのテーマ】
意外に知らないことばかり・・・『髪の毛』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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