何かモノを切る時、使う道具の1つ『ハサミ』についてです。
■今週(4/11~4/15)のテーマ:『ハサミ』
4/11(月) 『ハサミの歴史』
私たちが日頃、何気なく使っているハサミですが、
歴史はとっても古くて紀元前1500年頃に登場したといわれています。
現在も残っているハサミの中で、最も古いものは紀元前1000年頃、
ギリシアで作られたとされるハサミです。
写真を見ますと、お裁縫の時に使う形をしていますが、
この形、そんな昔からあったんですネ。
このハサミですが、『握りばさみ』と呼ばれるハサミで、
その名のとおり、“握って使うハサミ”です。
“指を入れる穴”がなく、
『糸切りばさみ』ですとか、『和ばさみ』と呼ばれています。
当時は主に“羊の毛を刈る時”に、このハサミを使っていたと
考えられています。
それに対して、“指を入れる穴”があるハサミのことは、
『洋ばさみ』とか『西洋ばさみ』と呼ばれています。
洋ばさみの中でも、“布地を切る時”に使うハサミのことは、
『裁(た)ちばさみ』、『ラシャ切りばさみ』とも呼ばれています。
そんな洋ばさみですが、握りばさみよりも、
後から誕生したといわれています。
それぞれ、その見た目の形から
握りばさみは『U字型』、洋ばさみは『X字型』といったように
分けることもあるそうです。
実は私、ハサミが大好きで・・・
家のいろんなところにハサミがあるんですネ。
デスクの近くには、封筒などを切るハサミ。
キッチンには必ずあって。
ペンケースの中には、小さな文具用のハサミ。
それから玄関に置いて、宅配便の開封に・・・など、
家の中のいろんなところにハサミが置いてあります。
そんなハサミのことが知りたくて、
今回このテーマにさせていただきました。
“はさんで切る”・・・最初に思いついた人、天才ですよネ。
4/12(火) 『日本でのハサミの歴史①』
紀元前から存在するハサミですが、
日本には6世紀頃、中国から『U字型の握りばさみ』が
伝わったとされています。
その後、握りばさみは日本の生活に深く関わっていきますが、
世界では『X字型の洋ばさみ』が主流になっていきます。
その結果、今では握りばさみは、日本以外では、
ほとんど使われていない・・・といわれているそうなんです。
それに対して洋ばさみは、8世紀に建てられた
奈良の正倉院の中から見つかったことから、
この時代には既にあったことが分かっています。
その後、室町時代になると洋ばさみは、
華道の『花ばさみ』として使われるようになります。
それでも本格的に洋ばさみが普及するようになったのは、
明治時代になってからです。
洋服の文化が始まったことで、厚手の毛織物、『ラシャ』の生地が
輸入されるようになりました。
そして、それを切るための“西洋のハサミ”洋ばさみが
大量に入ってきます。
このハサミは“ラシャを切るためのハサミ”ということで、
『ラシャ切りばさみ』、『ラシャばさみ』と呼ばれるようになりました。
お裁縫の時に使う握りばさみ・U字ばさみは、
日本以外ではほとんど使われていないんですネ。
我が家の先祖は宮大工だったため、
昔からの形をした裁ちばさみとか、
見たこともないような道具がたくさんありました。
このラシャばさみも、古いものが今でも我が家にありますネ。
キレの良いハサミの布を裂いていく音、あれ、ゾクゾクしますよネ。
なにせ道具は大切ですよネ。
4/13(水) 『日本でのハサミの歴史②』
明治時代になって洋服の文化が始まってから、
厚手の毛織物の生地『ラシャ』を切るための洋ばさみ、
『ラシャ切りばさみ(ラシャばさみ)』が使われるようになりました。
ところが外国のラシャ切りばさみは、日本人には重くて大きくて、
さらに指を入れる穴も大きくて、使いづらかったそうなんですネ。
そこで、このラシャ切りばさみを参考にして、
刀を作る職人さんだった吉田弥十郎(やじゅうろう)さんが、
日本人でも使いやすいハサミを作りました。
このハサミが『裁ちばさみ』です。
今ではラシャ切りばさみも裁ちばさみも同じものと
解釈されていますが、厳密にはこういった違いがあるそうです。
このように裁ちばさみは、“布を切ること”に特化していますので、
キレイにカットできるのが魅力です。
逆に言えば“布以外のもの”に使うと、上手く切れなかったり、
刃がすり減ってしまうこともあるそうです。
同じ裁ちばさみでも材質が“ステンレス”のものと、
“鋼(はがね)”のものがあります。
ステンレスの場合は、持ち手の部分(ハンドル)が
プラスチックで出来ているので、軽いのが特徴です。
それに対して鋼の場合、プロ仕様の本格的なもので重みがあります。
他にも、“鋼と鉄”のものもあるそうです。
我が家は断然、“プラスチックの持ち手に、ステンレスのもの”が
多いですが、実家に行くと“重~い鋼のハサミ”がありますネ。
でも、刀を作る職人さんも時代の流れで
ハサミを作るようになった歴史・・・。
いつの時代も進化していく流れがあるんだなぁ~と
気づかされるエピソードですネ。
いろんなタイプのハサミを使うと、なんか楽しいですよネ。
やっぱり私、ハサミ好きだな(笑)
4/14(木) 『ハサミの進化』
ハサミは時代や生活スタイルの変化とともに、
どんどん進化していきます。
そんな中、1967年(昭和42年)、
フィンランドのメーカー、『フィスカース』のハサミの登場は
ハサミの歴史を大きく変えていきました。
このハサミは『オレンジハンドル』と呼ばれていて、
持ち手の部分がオレンジ色の樹脂でできています。
それまでハサミといえば金属製が当たり前だった時代に、
“良質で錆びないステンレス”を使ったことで、
それまでのハサミよりも軽くなっています。
見た目にも使いやすさにも優れていて、
さらにハンドルが目立つ色をしていますから、
デスクや引き出しの中に埋もれていても、
すぐに見つけることができます。
そういったことから、フィスカースのハサミは
“現在の文房具や事務用のハサミの原型”とされています。
その後もハサミは進化していきますが、2000年代になると
“小型化”がブームになっていきます。
その中でもレイメイ藤井さんの“ペンの形をしたハサミ”
『ペンカット』の登場は、ハサミの歴史の中でも
画期的なものとなりました。
スリムになったことで、ペンケースにも入れやすくなりましたよネ。
昔のハサミって、親指を入れる穴は小さくて、
人差し指を入れる穴って大きかったんですが、
このあたりから両方の穴の大きさは、
同じになってきたんですかネ。
そして“たためばペン、開けばハサミ”・・・画期的でしたよネ。
すごい進化!ハサミはこれから先、どうなっていくのかな?
楽しみですネ。
4/15(金) 『ハサミの豆知識』
ハサミといえば、美容師さんや理容師さんにとって
“なくてはならない道具”です。
そういった美容の世界で“日本製のハサミ”が、
海外からも高く評価されているそうなんですネ。
実際にハサミを手にして、その切れ味や使いやすさに驚く
外国人の方も多いそうです。
ハサミの世界でも“Made in Japan”の素晴らしさが
知れ渡っているのは、嬉しいですよネ。
“日本製のハサミ”が優れている理由に、“日本人の髪質”があります
欧米の方の髪質と比べて硬いので、“より鋭い切れ味”が
ハサミに求められているそうなんです。
そのうえで“使いやすさ”も求められますから、それに応えるために
日本のハサミのメーカーさんは、技術力を高めてきたそうです。
また日本には古くから“刃物づくりの歴史”があって、
その技術が“ハサミづくり”にも活かされていることも大きいそうです
『ラシャ切りばさみ』を日本人にも使いやすいように、
『裁ちばさみ』に改良したのも、
もともとは刀の職人さんでしたよネ。
他にも新潟県の燕や三条、岐阜県の関、大阪の堺、
さらには兵庫県の小野や三木といった、
昔からの刃物の産地の技術が
受け継がれていることも、日本製のハサミが優れている点でもあるそうです。
“Made in Japan”、嬉しいですよねぇ~。
本当に良いハサミを1つ持っていると、なんかイイですよネ。
美容師さんもハサミにはこだわりがあって、
道具を愛する人は技術も向上する気がします。
■今週の感想
私は本当にハサミが好きで・・・
今回もそのことを知った番組のスタッフの方から
“羽田さん!今度『ハサミ』をテーマにしませんか?”と言われた瞬間、
何のためらいもなく、すぐに“ハイ!”と答えました(笑)
今週の放送で、私がいかにハサミ好きか
お分かりいただけたでしょうか(笑)
それにしてもハサミがなかったら、日々の生活って
本当に不便ですよネ。
当たり前のように存在するから気づかないけど、
ハサミのありがたさを改めて知ることができました。
ハサミさんに感謝です。
【お知らせ① 次週(4/18~)からのテーマ】
“麺を使った料理”の中から私も大好き!『焼きそば』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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