今年もこの季節になりました。『卒業』についてです。
■今週(3/7~3/12)のテーマ:『卒業』
3/7(月) 『卒業とは』
『卒業』という言葉を辞書で調べますと、
『学校のすべての課程を学び終えること』とあります。
同じ学校でも小学校や中学、高校、大学では
『卒業』という言葉を使いますが、大学院や専修学校などでは
卒業ではなく、『修了』という言葉を使います。
修了は『学業などの一定の課程を終えること』という意味です。
つまり、同じ学校でも“すべての課程”と“一定の課程”の違いで
『卒業』か『修了』になるというわけなんですネ。
また卒業には『ある段階や時期を通り過ぎること』という
意味もあります。
例えば“ゲームから卒業しました!”“実家暮らしを卒業しました!”
“ネガティブな自分から卒業します!”といったように、
卒業という言葉を使いますネ。
他にも『束縛や規則から解放されること』という意味でも、
卒業が使われています。
尾崎豊さんの曲『卒業』にも『この支配からの卒業』という歌詞が
出てきますよネ。
さらにメディアでは“レギュラー番組からの降板”や
“バンドやグループから脱退”の意味で、
『卒業』という言葉がよく使われています。
このように『卒業』という言葉は、いろいろな場面で
様々な意味で使われています。
この頃は離婚することも『卒婚』という言葉を使う方たちも
いらっしゃいますよネ。
『卒業』、学び終えてそこから巣立っていくイメージです。
寂しいイメージもありますが、新しく始まることに
ドキドキしたりワクワクしたり、未来を感じる言葉でもありますよネ。
3/8(火) 『卒業式の歴史』
『卒業式の歴史学』の著者で、『卒業式』をテーマに研究されている
有本真紀(ありもと・まき)さんによりますと、
日本の卒業式は“日本特有の学校文化”といえるんだそうです。
そんな日本の卒業式の歴史は、1876年(明治9年)
現在の東京・新宿にあった陸軍戸山学校で
始まったそうです。
その翌年には東京大学で初めての卒業式が行われ、その後、
他の公立学校などでも行われるようになっていきました。
ただ当時の卒業式は“試験の場”とか
“成果の発表の場”という意味合いが強かったそうなんですネ。
その後、1892年に全国の小学校が『4月始まり』で統一され、
同時に“卒業式=3月”というスタイルが全国化されていきます。
こうして卒業式が3月に行われるようになったことから、
“卒業=桜”のイメージが出来上がったそうです。
やがて卒業式は現在のような“学校生活の集大成”として、
位置付けられるようになります。
同時に、卒業生や教職員の方々の感情も伴うものになり、
これが“涙の卒業式”の始まりと考えられています。
そして戦後になると卒業式は、“学校生活最大の節目”として
重視されるようになり、より感動的な卒業式を目指す傾向が
強まっていったそうです。
卒業式。
慣れ親しんできた友達との別れ。
これから外の世界に向かう不安感。
文句を言いながらも、いつもやさしかった先生たち。
いろんな感情が入り混じって感動するんですよネ。
卒業式って、素敵な行事ですネ。
3/9(水) 『卒業式の服装』
今では“女性の卒業式の服装=着物に袴姿”というスタイルが
すっかり定着していますが、このスタイルが出来上がったのは
明治から大正の頃です。
教育者の下田歌子さんが、女学生のために
“マチのないスカート状の袴”を開発し、とても評判となりました。
やがて“袴に革靴、髪に大きなリボン“というスタイルが完成し
全国に広まっていきます。
ところが昭和になると、女学校の制服にセーラー服が
取り入れられると、着物と袴は段々と姿を消していって、
卒業式の時に女性の先生が着るくらいだったそうです。
そんな女性の袴姿が復活したのには、大きなキッカケがあります。
それは1975年(昭和50年)に発表された、
漫画家・大和和紀(やまと・わき)さんの『はいからさんが通る』です。
大正時代を舞台にしたラブ・コメディで、ヒロインの
『花村紅緒(はなむら・べにお)』の服装が袴姿です。
この作品はのちにアニメや舞台、ドラマ化され、
話題になっていきます。
さらに1987年(昭和62年)には、南野陽子さん主演で映画化され、
大ヒットしました。
この『はいからさんが通る』に影響を受けた女子大生の方々が
着物に袴姿で卒業式に出席するようになり、
その後、全国に広まって定着したものと考えられています。
そうだったんですネ。
私も短大の卒業式の時は袴姿になりましたが、
気分が上がって良いものでした。
『はいからさんが通る』、大好きな漫画でしたよ。
袴姿で自転車に乗るんですよねぇ~。
懐かしいなぁ~。
3/10(木) 『卒業ソング』
昭和の中頃まで、卒業式で歌われる歌は『蛍の光』、
または『仰げば尊し』でした。
但し、『仰げば尊し』のほうが歌も伴奏も難しいこともあって、
『蛍の光』を歌う学校が多かったそうです。
その後、ドラマ『3年B組金八先生』の主題歌、
海援隊の『贈る言葉』の大ヒットとともに、
卒業ソングのスタイルが変わっていったそうです。
そして平成になって誕生したのが、
今や“卒業式の定番ソング”となっている『旅立ちの日に』です。
この曲、もともとは1991年3月、
埼玉県秩父市の影森(かげもり)中学校の卒業生のために、
先生方が作られた曲なんですって。
そこには“卒業式前に、学校が生まれ変わる原動力となった
3年生のために世界に1つしかない贈り物をしたい・・・”
そういった先生方の思いがあったそうです。
こうして出来た曲を『3年生を送る会』の時、サプライズで、
先生方全員で歌われたそうなんですネ。
このように、本来はその1回きりの『3年生を送る会』のために
作られた曲なんです。
ところが翌年からは生徒さん達も歌うようになり、
それがキッカケで周囲の中学校でも歌われ始め、
“卒業式の定番ソング”になっていったそうです。
へぇ~、このエピソードを聞いて曲を聴いてみてください。
泣けてきます。
生徒さんたちも素晴らしければ、先生たちも素晴らしく、
その愛の力が全国に広がっていったんですネ。
名曲です。『旅立ちの日に』。
卒業ではなくても、心が折れそうになったら聴いてみると、
温かいものがこみ上げてきますよ。
3/11(金) 『卒業アルバム』
一般的に卒業アルバムには、卒業生や先生方の顔写真や
学校の行事での様子の写真などが載せられています。
そんな卒業アルバムも、時代とともに大きく進化しています。
例えばその昔、写真撮影の時にお休みしてしまった生徒さんは
丸抜きで表示されていましたよネ。
今はほとんどが自然に合成されて、
一緒に写っているように見えるんだそうです。
ここに先生方を写した写真があるんですが、当日お休みした先生方が
上手に合成されていて、見ていてまったく違和感がありません。
凄いですねぇ。
また大勢で撮影した時、誰かしら目をつぶってしまうことって、
ありますよネ。
これも別の写真から、開いている目を持ってきて
合成することができるですって。
さらに『眼鏡の反射』とか『風で乱れてしまった服装』なども
合成で直すことができるそうなんです。
これを聴いて“私の卒業写真、直してほしい!”って思われた方、
いらっしゃるんじゃないでしょうか。
また昭和の時代にはあった住所録、
これも個人情報の問題からなくなったことも、大きな違いですよネ。
今日は3月11日。東日本大震災が起きた日です。
津波によって、大切な卒業アルバムが流されてしまったという方が
たくさんいらっしゃると聞きました。
アルバムはなくなってしまっても、被災された方の心に
思い出の写真たちが残っていることを、ただただ願うばかりです。
■今週の感想
学校を卒業して、もう何十年も経っているのに、
毎年この時期になって、『卒業』という言葉を聴くと、
胸の奥がキュンとしてしまう私です。
今年、卒業ですという皆さん、
そんな卒業生がいらっしゃるご家族の皆さん、
本当におめでとうございます。
4月からの新しいステージでの生活も頑張ってくださいネ。
そして3月11日の東日本大震災から、今年で11年です。
当時、小学校を卒業というお子さんも、今では立派な成人です。
この年、様々な思いの中、卒業された皆さんの未来が
いつまでも輝き続けることを願っております。
【お知らせ① 次週(3/14~)からのテーマ】
海にはお魚以外にも、いろいろな生き物たちが暮らしています。
『海の生き物たち』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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