どんぶりにご飯を入れて、その上に様々な具材をのせたもの
『丼物』についてです。
■今週(8/23~8/27)のテーマ:『丼物』
8/23(月) 『丼物の歴史』
丼物の歴史は室町時代の『芳飯(ほうはん)』と呼ばれる料理が
始まりといわれています。
野菜や干したお魚などを煮たものを器に盛ったご飯の上にのせて、
お出汁をかけたものです。
いわゆる“汁かけご飯”のようなものですネ。
日本には古くから『ご飯とおかず』という食文化がありますが、
別々の器に盛っていたのを一緒にしたのが、
丼物の原点と考えられています。
そんな芳飯をルーツとする丼物が、庶民の間で食べられるようになったのは、
江戸時代になってからです。
“せっかち”といわれた江戸っ子が手早く食べるために、
ご飯の上に直接おかずをのせるように注文したといわれています。
その後、丼物は時代とともに進化していきます。
そして現在では『親子丼』や『牛丼』のように、
“具材を煮て、それをのせたもの”、
『天丼』のように“揚げ物をのせたもの”
『うな丼』のように“焼き物をのせたもの”。
『海鮮丼』や『まぐろ丼』のように、
“お魚のお刺身をのせたもの”といったように、
大きく4つのタイプに分かれています。
丼物大好きです!
お蕎麦が食べたくて、お蕎麦屋さんに入っても、
つい丼物に目がいく私がいます。
ふたが付いている器もイイんですよネ。
丼、どんぶり、ドンブリ・・・
言葉自体も妙に可愛い響きですよネ。
これは井戸にモノを落とした時、“どぶ”と音がしたというところから
ついた名前なんだそうです。
8/24(火) 『カツ丼の歴史①』
同じ『カツ丼』でも大きく分けると“薄切りにしたトンカツを、
タマネギなどと甘辛く煮て卵でとじてご飯にのせたタイプ”と、
“ソースなどで味付けされたトンカツをご飯にのせたタイプ”があります。
一般的に“卵でとじたタイプ”のことは『カツ丼』、
“ソースを絡めたタイプ”は『ソースカツ丼』と呼ばれています。
それでも土地によっては『カツ丼=ソースカツ丼』のことで、
“卵でとじたタイプ”のことは『卵とじカツ丼』とか
『煮カツ丼』と呼んでいるところもあります。
私は茨城の出身ですが、
カツ丼は卵でとじたタイプのものだと思っていました。
またカツ丼に使われるカツもトンカツだけでなく、
牛肉のカツ『ビフカツ』や『チキンカツ』のところもあります。
このように、ひとくちにカツ丼といっても種類がいろいろありますので、
その発祥についても様々です。
例えば”卵でとじたカツ丼”の元祖は、東京・早稲田のお蕎麦屋さん
三朝庵(さんちょうあん)といわれています。
キッカケは大正時代のある日、宴会のメニューとして用意していた
トンカツが、突然のキャンセルで大量に余ってしまいました。
そのためお店のご主人が困っていたところ、常連客の学生さんから
”卵丼みたいにしたら?”と言われたのをヒントに作ったのが
”卵でとじたカツ丼”で、それが次第に評判になっていったそうです。
私、カツ丼、めちゃめちゃ好きなんですけど、
早稲田の三朝庵、昔行ったことがあります。
今は閉店してしまったんですよネ。
あのお店がカツ丼発祥の地だったんですネ。
意外にも身近のところに発祥エピソードがあって、驚きました。
8/25(水) 『カツ丼の歴史②』
”卵でとじていないカツ丼”、いわゆる『ソースカツ丼』ですが、
発祥には諸説あります。
1つは1913年(大正2年)、洋食屋さん『ヨーロッパ軒』の創業者、
高畠増太郎(たかばたけ・ますたろう)さんが料理の発表会で
ソースカツ丼を披露したとする説です。
この『ヨーロッパ軒』は創業当時、東京・早稲田にありましたが、
関東大震災の後、高畠さんの故郷・福井県に移転しました。
それ以降、ソースカツ丼が福井県内に広まった・・・と言われています。
もう1つは1921年(大正10年)、早稲田の高校生、
中西敬二郎(なかにし・けいにろう)さんが行きつけのお店で
ポークカツレツを小さく切ってご飯にのせて、
煮詰めたソースをかけたものを考え出しました。
それを『カツ丼』と名付けたとする説です。
さらに明治時代の後半に、山梨県甲府市のお蕎麦屋さん
『奥村本店』がカツ丼を提供していた・・・という説もあります。
こちらのカツ丼ですが、千切りのキャベツなどがのったご飯の上に
揚げたてのトンカツがのっています。
他にも、昭和初期に誕生した新潟県の『とんかつ太郎』のカツ丼は
トンカツがソースではなく、お醤油ダレにくぐらせてあります。
新潟ではこれが“カツ丼スタイル”として定着しているそうです。
カツ丼といっても、いろんなスタイルがあるんですネ。
私は全国共通、“卵とじのカツ丼”がカツ丼だと思っていました。
福井に行った時、ソースカツ丼をいただきましたが、
あれはまた別格に美味しいですよネ
とにかく丼物はご飯に染み込むタレが勝負ですネ。
カツ丼、食べたくなりました。
今日のお昼にカツ丼はいかがですか?
8/26(木) 『牛丼』
時代が明治になり、牛肉を食べる文化が伝わると同時に、
牛肉と野菜を一緒に鉄鍋に入れ、そこに割り下を入れて
グツグツと煮る『牛鍋(ぎゅうなべ)』が誕生しました。
そこに日本人のお米の文化が結びついて登場したのが、
牛鍋をご飯にのせた『牛飯(ぎゅうめし)』です。
そんな牛飯に注目したのが、牛丼チェーン『吉野家』の創業者・
松田栄吉さんです。
1899年(明治32年)、“東京・日本橋の魚市場で働く人たちに、
美味しいものをお腹いっぱい食べてもらいたい“という思いから、
牛肉とご飯を有田焼のドンブリに入れて提供しました。
これが牛丼の始まりとされています。
その後、1958年(昭和33年)、『株式会社吉野家』が設立されると、
牛丼以外のメニューはすべて排除して、牛丼専門店へと転身します。
さらに『牛丼を食べに来るお客さんは、牛肉を食べに来ている』と、
たっぷりの牛肉とタマネギだけの具材の
シンプルな牛丼の提供を始めました。
こうして、現在の牛丼文化が日本の食生活に根付いていきます。
『牛丼』があるように、『豚丼』もあります。
こちらは昭和の初め頃、北海道帯広市の食堂で、炭火焼きした豚肉に
ウナギの蒲焼き風のタレを絡めて、ご飯にのせて提供したのが
始まりとされています。
牛丼はカレーと並ぶ、男性が大好きな食べ物ですよネ。
“つゆだく”とか、ここから生まれた言葉もありますよネ。
そして豚丼。今年、帯広で舞台があったので、本場の豚丼をいただきましたが、
とっても美味しかったです。
8/27(金) 『うな丼』
江戸時代の後半、江戸に大久保今助(おおくぼ・いますけ)さんという
芝居小屋のスポンサーの方がいました。
ある日、今助さんが故郷である現在の茨城県常陸太田市に帰る途中、
牛久沼のお茶屋さんで渡し船を待っていました。
その時、ウナギが大好きな今助さんは蒲焼きとドンブリご飯を
注文しましたが、料理が出て来たのと同時に、
“船が出るよ~”という声が聞こえてきました。
そこで今助さんはドンブリご飯に蒲焼きをのせて、
借りたお皿を逆さにかぶせて船に乗り込みます。
そして向こう岸に着いてから食べたところ、蒲焼きがご飯の温度で
蒸されたことでより柔らかくなって、さらにタレがご飯に
ほどよく染み込んで、とても美味しかったそうなんです。
こうしてうな丼が誕生しましたが、どのように広まったのかは、
いくつかの説があります。
1つは、今助さんが帰りにお茶屋さんに食器を返しながら
そのことを話したところ、それを聞いたお茶屋さんが
うな丼を出すようになって、水戸街道の名物になったという説です。
もう1つは、今助さんが自分の芝居小屋でうな丼を売り出したことで
江戸から広まった・・・という説です。
私、実は先日、牛久沼のうな重をテイクアウトでいただいたんですよ。
とっても美味しいんですよネ。
あそこが発祥地ということに、またまたビックリしています。
今こんなに美味しいうな丼を食べられるのは、
偶然の賜物だったんですネ。
とにもかくにも丼物、最高です!
■今週の感想
この番組で食べ物をテーマにしますと、
“お昼に食べようかな”ですとか、
“晩ごはんに食べました!”といったお話をよく聞きます。
私も丼物は本当に大好きで・・・
今回ご紹介しましたカツ丼、牛丼、豚丼、うな丼もそうですが、
天丼や親子丼、海鮮丼なども大好きです。
そう言いながら、また丼物が食べたくなりました(笑)
【お知らせ① 次週(8/30~)からのテーマ】
今も解明できない謎がいっぱい!『宇宙』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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