秋の味覚の代表、『マツタケ』についてです。
■今週(10/5~10/9)のテーマ:『マツタケ』
10/5(月) 『マツタケと香り』
奈良時代の歌集『万葉集』に、こんな歌があります。
『高松(たかまと)のこの峯(みね)も狭(せ)に
笠(かさ)立てて盈(み)ち盛(さか)りたる秋の香(か)のよさ』。
これは“高松(たかまと)の山の頂(いただき)も狭いほどに、
キノコが笠を立てて満ちあふれていて、
とても良い秋の香りがします“といった意味です。
『高松の峯』とは、奈良にあります高円山(たかまどやま)のことだと考えられます。
そこに生えている、たくさんのキノコの良い香りのことを詠んだ歌ですが、
特にマツタケのことを指しているといわれているそうです。
昔から『香りマツタケ 味シメジ』といわれていますが、
少なくともこの時代にはマツタケの香りの良さが知れ渡っていたと
考えられるそうです。
そんなマツタケの香りですが、研究の結果、成分が解明されています。
さらに、この香り成分を作り出すことにも成功していて、その結果、
誕生したのが『マツタケエッセンス』です。
このエッセンスは“まつたけ風味のお吸い物”などにも
使われているそうです。
このように、日本では親しまれているマツタケの香りですが、
欧米の方々には残念ながら、あまり好まれていないそうです。
私、マツタケって東京に出て来て初めて知ったんですネ。
あの香りがイイんですよネ。
キノコの中では断トツにお値段がお高いですけども、
やっぱり秋といったら、マツタケってなりますよネ。
ハァ~、食べたくなっちゃった・・・
10/6(火) 『マツタケの豆知識①』
現在、日本に流通しているマツタケの
約95%は海外からの輸入です。
そのうち中国からの輸入が約3/4を占めています。
他にはトルコやアメリカ、カナダなどです。
日本国内の生産量ですが、最も多かった1941年(昭和16年)と比べると、
現在は1/200程度だそうです。
去年のデータでは生産量が最も多かったのは長野県で、
全体の半分近くを占めています。
その次が岩手県で、さらにその次が岡山県。
そして、石川県や京都が続きます。
他のキノコ類はほぼ前の年と同じでしたが、マツタケは
天候が良くなかった影響もあって、大幅に少なかったそうです。
国内産のマツタケが年々、少なくなっていく中、他のキノコのように、
マツタケの人工栽培の研究が長年にわたって行われています。
2018年にはマツタケに近い『バカマツタケ』というキノコの
人工栽培に成功しましたが、残念ながらマツタケは
まだ成功していないそうです。
人工栽培が難しく、収穫量も限られている分、国内産のマツタケは
貴重な存在で、その分、お値段も高くなってしまいます。
そんなところから“高嶺の花”になってしまうそうです。
そうなんですネ・・・。人工栽培は難しいんですネ。
まぁ、それも含めて“高嶺の花 マツタケ”ということなんでしょうか。
10/7(水) 『マツタケの豆知識②』
マツタケを始めとするキノコは、植物ではありません。『菌類』です。
そのため学術的には、カビや酵母と同じ仲間なんだそうです。
そんな中、同じキノコでもマツタケは、
他のキノコとは大きく違う点があるそうです。
シイタケなど多くのキノコは、木の組織を分解して栄養源にしています。
そのため生きている木ではなく、倒れたり枯れてしまった木に
くっ付いて成長します。
伐採した木を使った『原木シイタケ栽培』がありますが、まさにそんな感じです。
ちなみにマッシュルームは、木の枝や葉っぱが微生物によって分解されて
土のような状態になった腐葉土(ふようど)から栄養分を摂っています。
それに対してマツタケは、木と一緒に共に生きる、
いわゆる“共生”をしています。
どういうことかといいますと、マツタケを作る菌は、
土の中にある水分やミネラルといった栄養分を木に供給します。
その代わりに木は、光合成で作られた栄養分を
マツタケを作る菌に与えています。
そうやってマツタケは成長していきます。まさに共生ですよネ。
このように他のキノコとは違い、マツタケは木と共生しているため、
人工栽培がとても難しいとされています。
へぇ~すごいなぁ~、共生か。
マツタケといえば、私は『マツタケの土瓶蒸し』が一番好きです。
皆さんは何が好きですか?
10/8(木) 『マツタケの豆知識③』
マツタケは主に“アカマツ”という松の木の林に発生しますが、
北海道ではエゾマツとかトドマツの林に発生するそうです。
でも、アカマツやエゾマツ、トドマツの林がある所、
すべてにマツタケが生える・・・というわけではないそうです。
生えるのに合った環境じゃないと、ダメなんだそうですよ。
マツタケの発生に欠かせないものに『シロ』があります。
『シロ』とは菌糸(きんし)とアカマツの根っこが一緒になった
かたまりのことです。
菌糸とはその名のとおり、白い糸のような形をしています。
マツタケを始めキノコは、この菌糸がたくさん集まって出来ています。
『シロ』は自然に発生して、地面の下でリングのような形に
育つことが多いといわれています。
マツタケはこうした『シロ』に沿って生えるため、
松林に行くと、リング状に発生しているマツタケを
よく目にするそうですよ。
このように『シロ』がある所にマツタケが生えていることになりますが、
その場所を知らない人には、なかなかマツタケを
見つけることはできないそうです。
さらに『シロ』は毎年、10cmから15cmずつ外側に広がっていくため、
前の年とは違う場所にマツタケが生えることになります。
マツタケを見つけるのが難しいのは、こういった理由なんだそうです。
マツタケ探しって、宝探しに似てるんですネ。
マツタケは宝物、松林からの贈り物なんですネ。
10/9(金) 『マツタケの気になる話題』
今年7月、国際自然保護連合は、絶滅の恐れがある動物や植物をまとめた
『レッドリスト』の最新版を公表しましたが、
マツタケが『絶滅危惧種』に指定されたことが分かりました。
『絶滅危惧種』に指定されたことで、マツタケを採ったり
食べたりすることが制限されるわけではありませんが、
保護する必要があるそうです。
日本でもマツタケの生産量がこの70年間で大きく減っていますが、
その理由の1つに“山の環境の変化”というのがあるそうです。
どういうことかといいますと、昭和の中頃までは山林にある木や枝、
落葉が燃料や肥料として使われていました。
常に山に人の手が入っていたことで、山の土地は乾いて痩せていたそうです。
実はこうした“乾いて痩せた土地”を、マツタケやアカマツは
好むんだそうです。
ところが石油やガス、電気が普及し、さらに肥料も人工的に
作られるようになったことで、人の手が次第に入らなくなりました。
そうなると土が栄養豊かになって、他の木や微生物が増えることで
マツタケやアカマツが生息しづらくなるそうです。
他にも、松の木の伝染病によって木が枯れてしまうといった被害も
要因なんだそうです。
マツタケって、絶滅危惧種だったんですネ
これは大変なことです。
“秋の味覚といえばマツタケ”って言える時代が続いて欲しいなと思います。
■今週の感想
番組でも何度も言いましたが、私は“秋の味覚=マツタケ”なんです。
でも、何といっても高嶺の花ですから、
なかなか出会える機会がないんですが(泣)
それでも以前、いただいた丹波のマツタケの
あの香りは今でもよ~く覚えています。
またお目にかかりたい!
そんなマツタケですが、絶滅危惧種に指定されたのは、
世界中の松林が大きく減っているからだそうですよ。
自然を守らないといけないですネ。
【お知らせ① 次週(10/12~)からのテーマ】
日々の暮らしの中で、ふと感じる『小さな幸せ』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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