私が大好きな街の1つ、『京都』について。
■今週(8/3~8/7)のテーマ:『京都』
8/3(月) 『京都との出会い』
私の初めての京都は修学旅行でしたが、
そういう方って結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。
二度目の京都は24歳の時で、映画の撮影で
ひと月ほど滞在したことがあります。
その映画で、私は初めてヒロインという大役を務めたんですが、
ド新人ということもあって、毎日、しごかれる時間が過ぎていきました。
今から思えばありがたいことばかりなのですが、
当時はどんどん落ち込んで、“ハァ~、早く京都から東京に帰りたい。
京都イヤだ~”と思うようになってしまったんですネ。
そして、いよいよ精神的に落ち込みがピークになった時、
自動販売機の前のベンチに座って、ひざをブラブラさせながら
“あ~、もうダメだ。女優をあきらめようかな・・・”と
ため息をついていました。
その時、私の隣に”巨匠”と呼ばれるベテランの照明技師さんがドカッと座って、
“映画、何本目や~?”と聞かれたので
“ヒロインは初めてです”と答えると、
“初めてかぁ~。ならしゃあないな~。アンタなぁ、みんななぁ、アンタのこと、
育ててあげようと思って、いろいろ言うてるんやで。
悲しい顔でなぁ、ハイハイ言うんじゃなくて、
笑顔でなぁ、ハイハイ言うてたらいいんや。
そのうち分かるようになるで”と言ってくださった言葉で、
照明技師さんが席を立ったあと、私はしばらくそこで泣いてしまいました。
そして、そのひとことで“ヨシッ!せっかくのチャンスだ!
前向きに頑張ろう!”と決意することができたんですネ。
私が京都を好きになったキッカケは、照れ屋の職人、
照明技師さんから頂いた、やさしい言葉でした。
私にとっての京都。それは町並みや景観からではなく、
”京都の人との心の出逢い”から始まりました。
8/4(火) 『鞍馬山(くらまやま)』
鞍馬山は京都市左京区にあります標高584mの山です。
この山には”金星から降って来た隕石がぶつかって出来た”という説があって、
その隕石を”神様の石”として祀っているとされています。
また”天狗がいた”という伝説もあって、
『鞍馬天狗』という物語も生まれました。
源義経がまだ『牛若丸』という名前だった頃、
鞍馬天狗から剣術を教わった・・・という言い伝えもあります。
そんな鞍馬山の参道を昇ったところにあるのが
鞍馬寺(くらまでら)です。
本殿からの眺めは本当に素晴らしくて、
どこからでも天狗さんが現れそうな、
そんな神秘的な雰囲気があります。
本殿前の広場には、幾何学模様をした石が敷いてあります。
この石の中心部は『六芒星(ろくぼうせい)』の形をしています。
六芒星は、正三角形と逆正三角形をふたつ重ねた星の形ですが
鞍馬寺の六芒星は”鞍馬山の宇宙観”を表しているのだそうです。
私はこの中心に立つことがあります。
立ってしばらくすると、頭の先からズシンと何か重みを感じて、
体が少しずつ上下左右に揺れるような気がしました。
聞いたところによりますと、鞍馬山は天と地球の中心を結ぶ
強力なライン上にあって、それがこの六芒星の中心を通っているそうです。
つまり”エネルギーの通り道”なので、パワーをもらえるそうです。
8/5(水) 『市比賣神社(いちひめじんじゃ)』
市比賣神社は京都市下京区(しもぎょうく)にあります。
地元の方からは”いちひめさん”と呼ばれて、親しまれています。
こちらに祀られている5人の神様すべてが女性であることから、
”女性の守り神”として知られています。
特に”女性の厄除け”の神様として、厄除けに来られる女性の方が
全国から絶えないそうです。
歴史も古く、795年に”京都の市場の守護神”として建てられ、
1591年に現在の五条の地に移転されました。
こちらには『姫みくじ』という、だるまさんのような形で
コロンとしていて、とっても可愛いおみくじがあります。
おみくじは人形の下から取り出せるようになっていて、
人形は持ち帰っても神社に奉納して構いません。
多くの方は人形にマジックで願いごとを書いて、
『天之真名井(あめのまい)』という井戸の上に並べています。
今から9年前、京都のスタッフの方から1枚のカード守りを頂きました。
真っ赤な織物でできたカードで、
そこには『女人守護(にょにんしゅご)』と書いてありました。
そして裏には『女性の守り神 することなすことうまくゆく
HAPPY CARD 羽田美智子さま』という文と、1年の有効期限が
記されていました。
時代に合わせてカード形式にしたお守りですが、
“このカードに守られている”という気が本当にします。
私のカードは有効期限が切れてしまったので、
今年チャンスがあったら更新したいと思います。
8/6(木) 『京都の夏の風物詩』
京都の夏の風物詩の1つに『納涼床(ゆか)』というのがあります。
夏の期間だけ、川面や川の上に桟敷(さじき)を設けて、
水辺の涼しい風を感じながら食事をいただく・・・というものです。
同じ『納涼床』でも『鴨川納涼床』、『貴船(きぶね)の川床(かわどこ)』
『高雄の川床』、『しょうざん 渓涼床(けいりょうゆか)』があります。
『鴨川納涼床』は、鴨川沿いにある料亭などが設けた桟敷のことで
略して『床(ゆか)』とも呼んでいます。
『貴船の川床』の”貴船”とは”京の奥座敷”と呼ばれ、
京都市の中心部よりも気温が10℃近く低いとされることから、
避暑地としても知られています。
貴船川(きぶねがわ)の川沿いにあります料亭が設けた桟敷のことを
貴船では『川床(かわどこ)』と呼んでいます。
『高雄の川床』の高雄は、清流と渓谷の美しさで知られていて、
清滝川(きよたきがわ)沿いに川床が設けられています。
『しょうざん 渓涼床』は、京都の北側・洛北(らくほく)の
鷹ヶ峯(たかがみね)にあります『しょうざんリゾート京都』の中を
流れる清流、紙屋川(かみやがわ)に張り出した床(ゆか)のことです。
今、お聴きいただいたように、同じ納涼床でも
鴨川のように『ゆか(床)』と呼ぶところもあれば、
貴船や高雄のように『とこ・どこ(床)』と呼ぶところがあります。
近年、大雨の被害で川の氾濫が起きて、心配な時もあります。
でも床が出ると“今年も夏が来た~!”と思って、嬉しくなります。
暑い夏を乗り切る知恵ですよネ。
8/7(金) 『京都の夏の文化』
京都には”うちわ文化”というのがあって、
『京うちわ』という歴史ある伝統工芸品があります。
『都(みやこ)うちわ』ともいいます。
『京うちわ』の一番の特徴は、”うちわの面”と”持ち手の柄”の部分が
それぞれ別々に作られていることです。
細い竹の骨で作られた”うちわの面”に”持ち手の柄”をはめ込む
”挿柄(さしえ)”という技法が使われています。
貼り絵でキレイに装飾がされたものも多く、
繊細な絵柄を”鑑賞用”として楽しむ方もいます。
他にも京都には『京扇子』と呼ばれる
京都やその近郊で作られた、
こちらも歴史ある伝統工芸品の扇子があります。
そういったところから京都では、
うちわや扇子のお店をよく見かけます。
そして京都の町家では、暑さをしのぐために
『すだれ』や『よしず』を使う習慣があります。
どちらも日差しを避けて風を通す・・・といった特徴がありますが、
別物です。
『すだれ』は軒先などに吊るして使いますが、
『よしず』は立てかけて使います。
また、『すだれ』の材料は”細く割った竹”ですが、
『よしず』の材料は『葦(あし)』というイネ科の植物です。
京都は夏は暑く、冬は寒いという盆地の気候です。
その暑さと寒さをしのぐ、先人たちの知恵が豊富にあって、
京都の風物詩になっているんですネ。
京都に行きたくなりました。
■今週の感想
私は取材などで“羽田さんの好きな街はどこですか?”と
聞かれることがあります。
そんな時、“京都です”と答えることが多いのと、
リスナーの方からも“いつか京都のお話をしてください”という
おたよりを頂きましたので、このテーマにしました。
月曜日に、私が京都を好きになったキッカケとして、
初めてのヒロインを務めた映画で、上手く演技ができず、
怒られてばかりで落ち込んでいた時、ベテランの照明技師さんからの
励ましの言葉で前向きなれた・・・というお話をしました。
実は私が座っていたベンチには、夏目雅子さんも座っていらっしゃって、
初めて京都に来て撮影した時、“何もできない”と言って
泣いてらっしゃったそうなんです。
あの夏目雅子さんもこのベンチで泣いてらしたんだ・・・
私だけじゃないんだ・・・
それを知って前向きに頑張ろう!と決意することができました。
あのベンチでの光景は、今もハッキリと覚えてます。
京都の人たちの大切な出逢いに感謝しています。
【お知らせ① 次週(8/10~)からのテーマ】
空にぽっかり浮かぶモノ、『雲』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
2025.05.02
2025年4月28日週 テーマ「昭和」
今年2025年は『昭和』の元号にあてはめますと、ちょうど100年になります。そこで『昭和』についてです。 ■今週(4/28~5/2)のテーマ:『昭和』 ...
2025.04.25
2025年4月21日週 テーマ「シジミ」
お味噌汁の人気の具材のひとつ、『シジミ』についてです。 ■今週(4/21~4/25)のテーマ:『シジミ』 4/21(月) 『日本のシジミ』 &...
2025.04.18
2025年4月14日週 テーマ「本音と建前」
“日本の文化を象徴するもの”のひとつ、『本音と建前』についてです。 ■今週(4/14~4/18)のテーマ:『本音と建前』 4/14(月) 『本音と建前...
2025.04.11
2025年4月7日週 テーマ「遊園地」
遊園地の中で、人気のアトラクションのひとつ『観覧車』についてです。 ■今週(4/7~4/11)のテーマ:『観覧車』 4/7(月) 『観覧車の歴史』 ...
2025.04.04
2025年3月31日週 テーマ「キャベツ」
季節を問わずお店に並んでいて、“いつでも手に入る身近な野菜”のひとつ、『キャベツ』についてです。 ■今週(3/31~4/2)のテーマ:『キャベツ』 3...