「あさぼらけ」もこの春で番組開始6年目になろうとしていますが、実は番組クラッシャーと言われた私にとって最も長い担当番組となっているのです。
1986年から始まり先日大団円を迎えられた「ゆうゆうワイド」の大沢悠里さんに比べ、私がいかにヘッポコなパーソナリティであるかがよくわかろうかというものです。
そんな番組ではありますが、これまで様々なご縁を頂いてもおります。
2020年10月から始まった木曜日のコーナー「観音温泉るんるんタイム」はまさにそのご縁の一つです。
観音温泉の女将、鈴木和江会長に初めてお会いした時には「なんでお寺の住職が来ているの」と思われたそうで、企画自体も3か月限定の予定だったと後で知りました。
伊豆奥下田という山の中にある観音温泉は、都心から近場にある訳ではなく、また決して安いとは言えない料金設定となってはいますが「るんるんタイム」をお聴きになったリスナーの皆さんがこれまでに相当多数足を運んで頂いていて「女将に会えました」「写真を一緒に撮りました」「本当に素敵な温泉でした」と番組にメールも毎週のように送られて来ます。
本当に本当にありがとうございます。
そして女将の声にはなんとも言えない魅力があると多くの方からの感想も届いていますが、それはおそらく女将の人生が波乱万丈でその経験があったが故ではなかろうかと考えます。
尋常小学校を卒業した女将の父上がその働きぶりを奉公先のご主人に認められ、今のお茶の水大学を出たお嬢様と結婚をし、その事業を拡大して行きます。
昭和20年代半ばにはタクシー事業を関東一円に広め財を成してゆくのですが、これからは心のゆとりを求める時代が来ると確信し単身下田の山の中に入り温泉の掘削を始めたのが昭和30年代半ばの事です。
当然、地元の人には変わり者なよそ者と思われたのですが、昭和38年に温泉を掘り当てます。
その過程で地中から木片の観音像が出てきたことから「観音温泉」と名付けられ、その観音様は浅草の浅草寺に奉納されているそうです。
そのようなパワフルな父親と、女将がおっしゃるにおっとりとした母親の元で育った女将はやがて結婚し東京で生活を始めます。
しかしお子さんを二人授かったところで離婚、観音温泉に幼子を連れて身を寄せますが父親からは家賃と光熱費を払えと言われたと言います。
まだ電話も引かれていない電気も不安定な山の中での子育ては大変だったと思いますが、家賃のために観音温泉で働き始めたことが後の観音温泉の飛躍につながっていくとは誰が想像出来たでしょうか。
いやお父さんはそれを見抜いていて女将をあえて厳しい環境において鍛えようとしたのでしょう。
一つの源泉と産土亭という一つの宿泊施設から始まった観音温泉は、今や敷地内には用途や値段に応じて多くの温泉と施設がありますが、それはまさに今の女将が作り上げてきたものなのです。
こう書いてしまうと「スポンサーよいしょの成功物語でしょ」と言われてしまうかもしれませんが、実はまだまだ女将が解決しなければならない問題が山積しているようなのです。
しかしそれすら「有難い事なのよ」と言いながらさらに前に向おうとする女将の姿勢には頭が下がる思いがします。
ただ一つ最近お会いするたびに「後何年やれるかねぇ」と言われる事が増え「まだまだ何十年でも大丈夫ですよ」と返事はするものの「女将のように『目配り』『気配り』『思いやり』のできる方が他にいらっしゃるのだろうか」という事を思わないでもありません。
「3か月限定ですから」と始まったコーナーがこのような展開になっていくとは想像もできませんでしたが、これはもうご縁としか言いようがありません。
これからも定期的に女将にお話を伺いながら、観音温泉のために微力ではありますが何らかの貢献が出来ればと思っております。

女将に言われた「観音温泉にお越しのリスナーの皆さんは本当に素敵な方々ですよぉ。あなたはいい方々に応援してもらってるのねぇ」という言葉は本当にパーソナリティ冥利につきます。
なにせ女将は人を見る目が厳しくなかなかに辛口な方なもので…あぁ怒られる!すいません!

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