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2026.02.22

サンデー早起キネマ『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”

2/22の3本目は、人間の<悪の本質>に迫る恐るべき実話
『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』

ヨーゼフ・メンゲレ…ご存知の方も多いですよね。
第二次世界大戦中、アウシュヴィッツ収容所で戦慄の実験を行い、<死の天使>と呼ばれたナチスの医師です。
人類学者でもあったメンゲレは優生学に取り憑かれ、子供、特に双子に想像を絶する実験を重ね、ユダヤ人や不要とみなした人々を次々にガス室へ送り込み、後に<ナチスが生み出した最大の悪>と形容されます。

終戦後、メンゲレはヨーロッパと南米を結ぶ極秘ルート、通称“ラットライン”を使って逃亡。
アルゼンチンのブエノスアイレスでは、ペロン政権下の混乱の中、比較的自由な生活を送り、同じ亡命者たちと交わりながら過去を否定し続けます。
しかし、時代が変わりナチ戦犯への国際的関心が高まるにつれ、次第に追い詰められていきます。
イスラエル諜報機関モサドによる捜索や、アドルフ・アイヒマン逮捕・処刑の知らせに怯え、メンゲレはパラグアイ、さらにブラジルへと移動。
辺境の地で孤立を深め、身体の衰えと妄念に苛まれながら、30年間も、己の罪から逃れ続けたのです。

原作は、オリヴィエ・ゲーズの世界的ベストセラー小説「ヨーゼフ・メンゲレの逃亡」。
『LETO -レト-』『チャイコフスキーの妻』『リモノフ』などのキリル・セレブレン二コフ監督が、メンゲレの潜伏生活を軸に、息子との対話、モサドによる追跡を交錯させながら、モノクロをベースに映像化しました。

とてもショックでした。なぜって、メンゲレは、最後まで自分が悪いと思っていないのです。
「凄い研究をしてきたのに、こんなに悲惨な逃亡人生を送るなんて」と恨めしく思い、すべて他人のせいにし逆ギレする…本人にとっては辛い潜伏生活だったとは思いますが、自分がしてきたことの償いにしては軽すぎます。
全体はモノクロ映像ですが、アウシュヴィッツの部分はカラーで残虐さが際立ち、観ているのが辛くなりました。
また、息子の母イレーネとの想い出のシーンもカラーで描かれ、アウシュヴィッツの時代と共に、彼にとっては輝かしく幸せな日々だったのだと思わされます。

同じ出来事でも、見る側によって善悪が全く変わってしまうという恐ろしさを感じました。「自分は正しい」…その根拠のない自信から、人間はもしかしたら簡単に善悪の境界線を越えてしまうのかもしれません。
戦争が後を絶たない今だからこそ、見るべき作品です。戦争を起こしている本人は、罪のない人が何人亡くなっても己の罪を感じないのですから。

『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』
2月27日(金) シネマート新宿、シネスイッチ銀座ほか全国公開

公式サイト:死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ オフィシャルサイト|2026年2月27日(金)シネマート新宿、シネスイッチ銀座ほか全国公開
監督・脚本:キリル・セレブレンニコフ
原作:オリヴィエ・ゲーズ 『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』 (東京創元社・創元ライブラリ刊)
出演:アウグスト・ディール、マックス・ブレットシュナイダー、フリーデリケ・べヒト
2025年/フランス・ドイツ合作/ドイツ語・スペイン語・ポルトガル語/135分/モノクロ(一部カラー)/5.1ch/原題:Das Verschwinden desJosef Mengele 英題:The Disappearance of Josef Mengele/日本語字幕:吉川美奈子/字幕監修:柳原伸洋/R15+
配給:トランスフォーマー
Ⓒ2024 CG CINÉMA / HYPE STUDIOS / LUPA FILM / CG CINEMA INTERNATIONAL / BR / ARTE FRANCE CINEMA

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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