おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
2/8の2本目は、フランスから届いた母と息子の愛と巣立ちの物語
『私のすべて』

去年の横浜フランス映画祭2025で上映された作品、ご覧になった方もいらっしゃるかも。

パリ郊外の小さなアパートで暮らすシングルマザーのモナは、発達に遅れのある30歳過ぎの息子ジョエルを女手ひとつで育ててきました。モナはショッピングモールのビューティ・サロンで、ジョエルは障がい者のための職業作業所で働いています。
互いを支え合い、いたわりながら暮らしてきた二人。
ところがある日、モナは、ジョエルと同じ施設で働くオセアンが、彼の子を妊娠したと聞かされます。
二人の関係を何も知らなかったモナは動揺し、母子の絆も揺らぎはじめていくのです…。

メガホンを取ったのは、フランス人のアンヌ=ソフィー・バイイ監督。このコーナーでもご紹介した『犬の裁判』で共同脚本を務めた彼女の長編監督デビュー作です。
医療従事者の家庭で育った監督は、「この映画では、「親が障がいを持つ子どもをどのように受け入れ、どのように手放すのか?」という問いを扱っています。障がいを持つ人々の恋愛や家庭生活は、未だに社会の中でタブー視されることが多いですが、彼らにも自立し、家族を持つ権利があります。この映画が、そのような議論のきっかけになればと思っています」と話しています。

この作品では、親離れをし始めた息子をどのように手放せるのかという母親の子離れの物語でもあり、障がいというテーマを特別なものとして扱っていません。モナとジョエルの人生の一部として自然に描かれています。
セリフがないところも多く、見ている私たちが考える余白をもらっているような気がしました。

人が人として生きていく権利、人は生まれて死ぬというシンプルだけれどつい忘れてしまいがちなこと、母であることと女性であることの葛藤など、共感できることが多かったです。
それまで抑えていた感情が、最後のシーンで涙となってばーっと流れ出てきました。
人生にとって大切なことが沢山詰まっている作品なのに、派手さがなくそれがいいのです。
大切に心の中にしまっておいて、時々取り出して会いたくなる作品です。

『私のすべて』
2026 年 2 月 13 日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
公式サイト:映画『私のすべて』オフィシャルサイト
監督・脚本:アンヌ=ソフィー・バイイ
出演:ロール・カラミー、シャルル・ペッシア・ガレット
2024|フランス|95 分|フランス語|カラー|ビスタ|5.1ch|R15+
原題:Mon Inséparable/英題:My Everything 日本語字幕:岩辺いずみ
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
© 2024 L.F.P. – LES FILMS PELLÉAS / FRANCE 3 CINÉMA

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