ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2025.10.05

サンデー早起キネマ『見はらし世代』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”

10/5の3本目は、世界から注目を浴びる団塚唯我監督の長編デビュー作。都市と家族をめぐる、新しいスタイルの日本映画
『見はらし世代』

今年のカンヌ国際映画祭・監督週間に日本人史上最年少26歳で選出された団塚唯我監督の東京・渋谷を舞台にした作品です。
青信号1回で千人以上の人々が行きかう〈世界で最も混雑するスクランブル交差点〉がある渋谷。大規模な再開発が続く都市の変遷と、ある家族の歴史を重ねた挑戦作です。
主人公の父親はランドスケープデザイナー。街をデザインし、人の動きを変え、ひいては都市の在り方や環境をも変えてしまう大きな仕事を手掛ける男が、人間関係の最も小さな集合体である家族の基礎を作り損ねてしまうという物語。

主人公は、再開発が進む渋谷で胡蝶蘭の配送ドライバーとして働く青年・蓮。
ランドスケープデザイナーの父・初は10年前、家族旅行の最中、建築コンペの最終選考に残ったと連絡を受け、母・由美子との口論の末、仕事場へとんぼ返りしてしまいます。その決断のおかげで、家族4人が揃うことは二度とありませんでした。
そして現在、今や国際的に活躍している初が7年ぶりに帰国し回顧展の準備をしていることを知った蓮は、もう一度、家族で再会することを望みます。しかし、姉の恵美は一見すると我関せずといった様子で、黙々と自分の結婚の準備を進めています。
それでも蓮は、10年前の家族旅行へと時間を巻き戻そうと目論むのですが……。

疎遠状態になった家族を再度、見つめ直そうと模索する主人公、蓮を演じるのは『さよなら ほやマン』『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』での好演も記憶に新しい黒崎煌代さん。
姉、恵美には『鈴木家の嘘』『わたし達はおとな』などで、存在感を見せる木竜麻生さん。
キャリアを優先させたことで家族から離脱し、著名なランドスケープデザイナーとなる初役には遠藤憲一さん。
何よりも家族を大切に思っている妻・由美子役は井川遥さん。

役者さんたちがみんな素晴らしく、心に沁みるセリフが沢山詰まった宝箱のようです。
家族も街も一度壊れてしまったらもとには戻りませんが、また新しい形になっていくんですよね。でも、誰かの犠牲の上に成り立つことも忘れてはいけないと思いました。
映像も音楽もとっても素敵で、伏線もいろいろあって、何度も見返したい作品です。
渋谷の街が大好きな方も、ちょっと苦手だった方も、この作品を観たら渋谷の街を歩きたくなると思いますよ。また違う景色が、きっと見はらせるはずです。

『見はらし世代』
10 月 10 日(金) Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国公開

公式サイト:映画『見はらし世代』公式HP
黒崎 煌代
遠藤 憲一
木竜 麻生 菊池 亜希子
中山 慎悟 吉岡 睦雄 蘇 鈺淳 服部 樹咲 石田 莉子 荒生 凛太郎
中村 蒼 / 井川 遥
監督・脚本:団塚唯我
制作プロダクション・配給:シグロ 
2025 | カラー | 115分 | 2:1 | 5.1ch | DCP
©︎2025 シグロ / レプロエンタテインメント

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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