ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2025.08.03

サンデー早起キネマ『長崎―閃光の影で―』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”

8/3の1本目は、1945年の夏、原爆投下直後の長崎で被爆者救護に奔走した看護学生たちの“青春”
『長崎―閃光の影で―』

今年は終戦80 年。もうすぐ原爆の日です。
この作品は、被爆者救護に当たった看護師たちが、被爆35年後に当時を振り返った「閃光の影で-原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記-」を基に、脚本が執筆されました。

太平洋戦争末期、大阪の看護学生、スミ、アツ子、ミサヲの3人は、空襲で休校になったため長崎に帰郷し、家族や友人との平穏な時を過ごしていました。
しかし、1945年8月9日午前11時2分、原子爆弾が投下され、その日常は一瞬にして崩れ去ります。
街は廃墟と化し、彼女たちは未熟ながらも看護学生として負傷者の救護に奔走。
まっさらな少女のまま状況に巻き込まれていくスミ、軍国主義的な価値観を持つアツ子、カトリック信者のミサヲと、違う背景を持つ3人は、救える命よりも多くの命を葬らなければならないという非情な現実の中、それぞれの視点で、命の尊さと生きる意味を問い続けていくのです。

スミを演じたのは、『月の満ち欠け』『か「」く「」し「」ご「」と「』の演技が冴えた菊池日菜子さん。映画初主演です。
アツ子には、『ハケンアニメ!』NHK大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」をはじめ、映画・ドラマに大活躍の小野花梨さん。
ミサヲ役は、『沈黙のパレード』、連続テレビ小説「虎に翼」などで繊細な演技力を見せた川床明日香さん。
また、原案の手記に寄稿した唯一の存命者・元看護学生の山下フジヱさんがラストシーンに出演、長崎原爆の被爆者でもある美輪明宏さんが声で出演しています。

監督・共同脚本は、以前ご紹介した『桜色の風が咲く』の松本准平監督。ご自身も長崎出身の被爆三世です。
とても優しい視点で物語を紡ぐ方ですが、事実は事実として、辛いことも良くないことも描いています。

この作品を観て、教科書やニュース以上、自分は何も知らなかったのだと思い知らされました。
見習いの看護師さんたちの視線で描かれた物語は、感情移入しやすく、よりリアルに感じました。
そして、常に身近に教会があり支えとしている方が多くいたのだと、改めて“長崎”という土地を思いました。信仰心と現実の狭間で葛藤するクリスチャン・ミサヲの清らかさが胸を締め付けます。

泣くことも忘れ、彼女たちの戦いを夢中で追いかけてきましたが、最後の最後に涙が溢れました。
世界では、今も1万2千発以上もの原子力爆弾が保有されているという事実に、人間の存在の悲しさがひしひしと感じられたからなのかもしれません。
80年経っても、忘れたくても、忘れることのできない日々…戦争の記憶がどんどん薄れている今、この作品を繋いでいくことの大切を実感しています。

『長崎―閃光の影で―』
全国公開中

公式サイト:映画『長崎―閃光の影で―』公式サイト
出演:菊池日菜子
小野花梨 川床明日香
水崎綾女 渡辺大 田中偉登
呉城久美 坂ノ上茜 田畑志真 松尾百華 KAKAZU
加藤雅也 有森也実 萩原聖人 利重剛 / 池田秀一 山下フジヱ
南果歩 美輪明宏(語り)
原案:「閃光の影で―原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記―」(日本赤十字社長崎県支部)
監督:松本准平
脚本:松本准平 保木本佳子
2025年/日本/日本語/109分/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch
配給:アークエンタテインメント
©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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