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7/27の3本目は、生死の境で人間が獣と化す…極限状態の兵士に迫る非情な選択
終戦80年企画『野火』4K

終戦80年を機に、2本の戦争映画が4K版で初披露されることになりました。
生とは何か、人間の尊厳とは何か、戦争の意義を苛烈に問いかける衝撃の2作品は、1971年のアメリカ映画『ジョニーは戦場へ行った』、そして、1959年の邦画『野火』。
今日は『野火』4Kをご紹介します。
原作は、1951年に発表され、第3回読売文学賞・小説賞を受賞した大岡昇平の「野火」。ご自身のフィリピンでの戦争体験を基にした戦争文学の最高傑作です。
『ビルマの竪琴』『東京オリンピック』『犬神家の一族』などの市川崑監督がメガホンを取り、国内だけなく海外でも高い評価を受けました。

舞台は、第二次世界大戦末期、フィリピンのレイテ島。
日本の敗北が濃厚な状況の中、肺病を患った一等兵・田村は部隊から追い出され、病院からも食糧不足を理由に入院を断られます。
病院の前で、田村は同じく厄介者として見放された若い兵士の永松、足の負傷で歩けなくなった中年兵の安田と出会います。
病院が襲撃され、一人逃げた田村は、飢えに駆り立てられるように熱帯のジャングルをさまよいます。途中、別の部隊に同行しますが、米軍の一斉砲撃で他の兵士たちは全滅。
誰と、何と戦っているのかわからないまま、田村はまたジャングルをさまよいます。そして彼が辿りつく先とは?

見てから何日も経つのに、目を閉じると田村を演じた船越英二さんの姿が浮かんできます。
飢えと孤独と闘いながら熱帯のジャングルを飄々とさまようやせ細った姿。虚ろでありながらも、生き物として生を全うすることへの本能のようなものも見えます。
今まで沢山の戦争映画が作られましたが、ほとんど戦うシーンはないのに、こんなに我がことのように恐ろしく感じるのはなぜなのでしょう。
もはや敵との戦いではなく、食料もない過酷なジャングルで生き延びるための戦い…死ぬか生きるかを前に、途中で出会う兵士たちは、獣と化してなんでも食べます。
戦争という極限の中で、人はどこまで人らしくいられるのか?そもそも人らしいとは何なのか?
終戦80年、今も戦争は起きています。先人が残してくれたこの作品を今見られること、作品から学べることのありがたみを感じました。

終戦80年企画『野火』4K
8月1日より角川シネマ有楽町ほか全国順次公開
公式サイト:映画「終戦80年企画映画『ジョニーは戦場へ行った』『野火』4K」オフィシャルサイト 2025.8.1公開
監督:市川崑
原作:大岡昇平「野火」(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:和田夏十 撮影:小林節雄 音楽:芥川也寸志
出演:船越英二 ミッキー・カーチス 滝沢修
1959年/日本/105分/モノクロ/シネマスコープ ※2022年のデジタル修復によるマスターです。
配給:KADOKAWA
©KADOKAWA 1959

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