ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2025.06.22

サンデー早起キネマ『フォーチュンクッキー』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”

6/22の3本目は、モノクロで描くユーモアたっぷりハートフルでチャーミングな幸せ探し
『フォーチュンクッキー』

フォーチュンクッキー、召し上がったこと、ありますか?
日本が発祥だともいわれる運勢が書かれた紙が入っているクッキー。この作品は、そんなフォーチュンクッキーが引き寄せる希望の物語です。

舞台は、多様な民族が暮らすアメリカ、カリフォルニア州の都市フリーモント。
8ヵ月前に母国アフガニスタンからアメリカにやってきたドニヤは、チャイナタウンにある手作りフォーチュンクッキー工場で働き、アパートと工場、行きつけの食堂を往復する単調な生活を送っていました。
カブールの米軍基地で通訳として働いていた彼女は、基地での経験から、PTSDや慢性的な不眠症に悩まされています。精神科のカウンセリングに通ってはいても、簡単には憂鬱から抜け出せません。
そんなある日、転機が訪れます。フォーチュンクッキーのメッセージを書く仕事を任されたのです。ドニヤは、新たな出会いを求めて、メッセージの一つに「幸せになりたい」という言葉と自分の電話番号をこっそり紛れ込ませます。
すると間もなく1人の男性から、会いたいとメッセージが届くのですが……。

ドニヤを演じたのは、演技初体験のアナイタ・ワリ・ザダ。アフガニスタンでジャーナリストとして活動していましたが、タリバンから逃れるためアメリカに避難してきました。まさにドニヤと重なります。

メガホンを取ったのは、イラン系イギリス人のババク・ジャラリ監督。ドニヤの抱える悲しみや迷い、そして「幸せになりたい」という誰もが抱く普遍的な願いを共感のまなざしとユーモアであたたかく描き出しました。

この作品の何がいいって、登場人物がみんな個性的でユニークなんです。工場の社長やカウンセリングに通う精神科医、行きつけのアフガン料理店の主人、そして、ドニヤが偶然出逢う自動車整備士など、みんな自分の哲学があって、平凡でも一生懸命生きているんですよね。一つ一つのセリフが沁みます。

とってもとっても好きなタイプの作品でした。大きなことがあるわけではないけれど、本当に癒されます。肩の力が抜けました。幸せはどこに転がっているかわからないし、考えて幸せになれるものでもないと。自分の心のままに向かえばいいのかなと前向きな気持ちになれますよ。
“フォーチュンクッキー”というタイトルがピッタリ!

『フォーチュンクッキー』
2025年6月27日(金)よりシネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷ホワイトシネクイント、アップリンク吉祥寺ほか全国公開

公式サイト:https://mimosafilms.com/fortunecookie/
監督:ババク・ジャラリ 
脚本:カロリーナ・カヴァリ、ババク・ジャラリ 
出演:アナイタ・ワリ・ザダ、グレッグ・ターキントン、ジェレミー・アレン・ホワイト
2023年/アメリカ/英語、ダリー語、広東語/91分/モノクロ/1.37:1/5.1ch 原題:FREMONT 字幕:大西公子 
配給:ミモザフィルムズ
© 2023 Fremont The Movie LLC 

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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