ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2025.06.22

サンデー早起キネマ『アスファルト・シティ』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”

6/22の1本目は、生と死の狭間に生きる救急隊員たちのリアルを描く緊迫の没入型スリラー
『アスファルト・シティ』

救急隊員といえば、出動命令で直ちに現場に向かい人々の命を救う大変な仕事ですが、この作品の舞台は、犯罪と暴力に支配され、昼間でも一人歩きを止められる街NYのハーレムなのです。
原作は、元救急隊員の作家が実話を基に執筆した小説で、「近年、救急隊員の自殺が増加し、その数は殉職者数を上回る」という状況を知ったジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督が、救急現場で闘う英雄に捧げるためにこの物語を作り上げました。
どれほど過酷な現場なのでしょうか?

混沌とした街ニューヨークのハーレムで、救急隊員になったばかりのクロスは、大学の医学部への入学を目指し、過酷な仕事の合間に勉強にも励んでいます。そんなクロスとバディを組んで、現場で厳しく仕事を教えてくれるのは、この界隈で最も腕がいいと評判のベテラン隊員のラット。
彼らを待ち受けるのは、ギャングの抗争、ドラッグを巡る銃撃戦、薬物の過剰摂取、凄まじいDVなど、想像を絶する悲惨な状況でした。
そんなある日、自宅のベッドで一人、赤ちゃんを産んだ女性の救護に当たるのですが、その新生児への処置が、クロスとラットの人生を大きく変えていくのです……。

ベテラン隊員・ラットを演じたのは、名優ショーン・ペン。もう役者はやらないと一度は断わりましたが、この作品が訴える現状への危機感に共鳴し出演を決意したそうです。
ラットの相棒、新人隊員クロス役には、『X-MEN』シリーズのタイ・シェリダン。医者を目指し人の命を救う仕事を理想としていた青年が、きれいごとなど欠片もない修羅場を目の当たりにし、混乱と葛藤に心を引き裂かれていく様子を見事に体現しました。

オープニングから畳みかけるようなスピード感とカメラワークに、目が回るようでした。
出動命令と同時に響くサイレンの音、クルクル回る救急車の赤色灯、ストレッチャーの音、救急隊員の掛け声、患者の喚き声、野次馬の怒鳴り声…目まぐるしいほどスピーディで、頭の中にワンワン鳴り響く音が、私たちを容赦なく一気にハーレムへと放り込みます。

まるで3人目の救急隊員になって救急車に乗り込んでいるようなとんでもない没入感が味わえます。
クロスが経験することは私たちも経験します。彼の心の痛みも、その先に見つかるものも。
そして、人が生きていくことの泥臭さ、きれいごとではないということも心の奥に刻まれました。
冷たいアスファルトに囲まれたハーレムの街、生と死の狭間の医療現場で救急隊員たちが見た〈地獄〉とは?

『アスファルト・シティ』
6 月 27 日(金)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

公式サイト:https://ac-movie.jp/
監督:ジャン=ステファーヌ・ソヴェール
原作:シャノン・バーク著「Black Flies」
出演:ショーン・ペン、タイ・シェリダン、キャサリン・ウォーターストーン、マイケル・ピット、マイク・タイソン
2023 年|英・米|英語|カラー|スコープサイズ|原題:ASPHALT CITY|125 分|字幕翻訳:高山舞子|映倫:R15+
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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