おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
3/23は、自分らしく生きた型破りな人々を描く3本をご紹介。
2本目は、1900年代、家父長制度社会の中で、新しい時代を切り開く女性の宿命の物語
『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』
モンテッソーリと聞いて「教育」という言葉が浮かんだ方もいらっしゃるのではないでしょうか?このコーナーでも、以前『モンテッソーリ 子どもの家』というドキュメンタリー映画をご紹介しました。
世界中で実践されている教育メソッドは、Amazon創業者のジェフ・ベゾス、Google創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、シンガー・ソングライターのテイラー・スウィフト、将棋の藤井聡太などが受けたことでも注目されています。
その教育法の生みの親であり、イタリア初の女性医師、そして未婚の母でもあったマリア・モンテッソーリ。この作品は、彼女が自らの教育実践の場として1907年「子どもの家」を開設するまでの試練と歩みの7年間が描かれています。
舞台は1900年代初めのローマ。医学を学び、一般の学校では受け入れられなかった子どもたちを教育する矯正施設を恋人と一緒に運営していたマリア・モンテッソーリは、ある「成功者」と出会います。フランスの有名なクルチザンヌ=高級娼婦であるリリ・ダレンジです。
リリは、母親が亡くなり、預けていた娘の学習障がいが明るみに出ることを恐れ、自分の名声を守るためにパリから逃亡してきたのです。
マリアはこの時期すでに画期的な新しい教育法の基礎を築いていました。リリはマリアを通して、娘はただの障がいのある女の子ではなく、強い意志と才能を持った人として、ありのままの娘を知るようになっていきます。マリアも恋人との間に生まれた婚外子の息子マリオのことであれこれ悩んでいました。
マリアに共鳴したリリは、男性中心の社会の中でもがくマリアの野望の実現に手を貸すようになるのです。
この作品を観ていると、男尊女卑の社会の中で、人のため、社会のためとはいえ、女性が自分の夢をかなえていくのはどんなに大変だったのか痛いほどわかります。
これが長編劇画初監督作品となったレア・トドロフ監督は、そんなマリアの人生に共感したばかりではなく、遺伝性の病気を持つ娘が誕生したことがこの作品を制作するきっかけになったそうです。
「モンテッソーリの教育方法で私が本当に気に入っているのは、子どもを観察することを求めている点。子どもは皆同じではないし、学校は子どもに合わせるべきであって、その逆ではない」と語っています。
自分の人生のすべてをかけ確立したモンテッソーリの教育は、100年以上が経ったこの社会でもずっと必要とされ続けているのです。
『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』
3 月 28 日(金)より シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋、UPLINK 吉祥寺 他 全国順次ロードショー
公式サイト:TOP – 映画「マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド」 公式サイト
監督・脚本:レア・トドロフ
脚本:カトリーヌ・バイエ
出演:ジャスミン・トリンカ 、レイラ・ベクティ、ラファエル・ソンヌヴィル=キャビー、ラファエレ・エスポジト、ピエトロ・ラグーザ、アガト・ボニゼール、セバスティアン・プドゥル、ラウラ・ボレッリ、ナンシー・ヒューストン
2023年/フランス・イタリア/イタリア語・フランス語/99分/1:1.85/5.1ch/字幕:杉本あり/
原題:Maria Montessori (La ouvelle Femme)
配給:オンリー・ハーツ
© Geko Films – Tempesta – 2023
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