おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
2/9は、先が読めない展開にドキドキハラハラ!史実を元に描かれる3本をご紹介。
1本目は、自作映画でイラン政府を批判したとして有罪判決を受けていたイラン人監督モハマド・ラスロフが命を懸けて世に問う衝撃のサスペンススリラー
『聖なるイチジクの種』
まだ記憶に新しいと思います。2022年9月にイランのテヘランで起きた事件。“ヒジャブの着用方法”が不適切だと道徳警察に逮捕されたクルド人女性マフサ・アミニさんが、3日後に死亡した事件がきっかけで、この作品が制作されました。
SNSを中心に広まった『マフサ・アミニ抗議運動』を背景に、ラスロフ監督は、イラン国内の家父長制度、女性の人権と自由についての問題に自国イランへの批判も込め鋭く切り込みました。
舞台は、市民による政府への反抗議デモで揺れるイラン。
国家公務に従事するイマンは20年間にわたる勤勉さと愛国心を買われ、夢にまで見た調査官に昇進。しかし仕事は、反政府デモ逮捕者の起訴状を国の指示通りに捏造することでした。
不当な刑罰を課された市民たちの反感感情は日々募り、国からは護身用の銃が支給されました。
そんなある日、家に置いていたはずのその銃が消えてしまったのです。
最初はイマンの不始末による紛失だと思われましたが、次第に疑いの目は、妻・ナジメ、長女のレズワン、次女のサナの3人に向けられます。
誰が?何のために?捜索が進むにつれ家庭内を支配する疑心暗鬼。そして家族さえ知らないそれぞれの疑惑が交錯するとき、物語は予想不能な方向に進んでいきます。
命を懸けて自国イランを脱出し、28日間かけてカンヌにたどり着いたラスロフ監督は、「私は、イスラム共和国政府の検閲による介入を受けない、より現実に近いストーリーを目指しました。表現の自由の制限や抑圧は、たとえそれが創造性を刺激するものであったとしても正当化されるべきではありません」と声明文を発表。
今なおイランから出国出来ないキャストやスタッフを案じています。
この作品はカンヌ国際映画祭で【審査員特別賞】を受賞、さらに3月のアカデミー賞の【国際長編映画賞】にノミネートされました。
167分という長さを全く感じません!誰が銃を盗んだのか、ドキドキしました。
神と国が絶対だと思っている父、家族の平和と幸せだけを考えている母、そして、体制に不満を持つ新しい時代を生きる娘たち…止めることのできない時代の流れを感じます。
抗議行動でもわかるように危険を承知で声を上げる人も増え、イランも今までのようにはいかないでしょうね。
イランだけでなく、世界中が変化の時を迎えているのかもしれません。
『聖なるイチジクの種』
2025年 2 月 14 日(金)TOHO シネマズ シャンテほか全国順次公開
公式サイト:映画『聖なるイチジクの種』公式サイト
監督・脚本:モハマド・ラスロフ カンヌ国際映画祭ある視点部門【脚本賞】『ぶれない男』(17)、ベルリン国際映画祭【金熊賞】『悪は存在せず』(20)
出演:ミシャク・ザラ、ソヘイラ・ゴレスターニ、マフサ・ロスタミ、セターレ・マレキ
2024年/フランス・ドイツ・イラン/167分
配給:ギャガ
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